導入製品 サイボウズ デヂエ | かんたんシリーズ
企業情報
■会社名:
ナラサキ産業株式会社
■ホームページ:
ナラサキ産業株式会社ホームページ
■利用製品:
- サイボウズ デヂエ
- サイボウズ Office 6
■業種:
商社・その他卸売業
■サーバー OS:
Windows 2000 Server
■管理者レベル:
専任管理者
ナラサキ産業株式会社
経営企画部 IT 戦略課 小澤 光司氏
経営企画部 IT 戦略課課長 屋敷 進氏
総合技術商社であるナラサキ産業株式会社は、1902年(明治 35年)北海道室蘭で港湾荷役、回漕業からスタート。北海道の開拓と発展とともに取扱い製品を増やしてきた。現在は、建設、産業機器設備、環境関連機械、建設資材、エネルギー関連商品の販売、生産力のアップや省力化を図るFAシステム、e−ソリューションビジネス、とさらに事業領域を拡大している。また 1999年には、北海道のオンライン食品通信販売『北北便(ほくほくびん)』を立ち上げ、2003年 12月には楽天市場への出店も開始している。
北海道から九州まで 1つの支社、5つの支店と 11 の営業所を構えるナラサキ産業では、社内情報の共有方法として社内ポータルページを活用している。そこで発信される様々な情報は、「デヂエ」で管理・運営されており、132個のライブラリが運用されている。その豊富な活用法を追ってみた。
導入背景
ナラサキ産業株式会社では、2002年 10月に社内情報共有の場として社内ポータルページ『Narasaki Group Web』を立ち上げた。社内の一部の部署では「サイボウズ Office」シリーズを使用しているが、全体での利用まではまだ至っていなかった(※)。
※2004年 6月からは「サイボウズ Office 6」の全社利用が決定しているという。
社内情報の発信基地として企画された 『Narasaki Group Web』は、経営企画部IT戦略課が管理・運営している。このポータルページには、人事・総務・経営・経理・審査・営業・物件管理・IT 戦略といったカテゴリ別の情報の発信に加え、会議室予約・座席表・株価情報など業務に関する情報を集めたものとなっている。ポータルページを皆に見て貰うためにはメニューの豊富さ、さらにこまめな更新が必要だが、そのメンテナンスが大変でもあった。
そんな時、経営企画部 IT 戦略課 小澤 光司氏は Net&COM 2003 のサイボウズブースを訪れ、「サイボウズ デヂエ」に出会った。
「Net&COMには特にポータルページの更新に使えるものを探しに行ったわけではないのですが、サイボウズブースで デヂエの説明を受けて、これは!とひらめきました。そこで、項目の追加、項目名の変更が簡単であるか、CSV ファイルのデータを取り込めるか、ファイルを添付できるか、等々、さまざまな質問をしたが、できないことがほとんどなかった。こりゃ凄いな!と思いましたね。そこで屋敷におねだりして買ってもらったんですよ(笑)。」(小澤氏)
他にも、IP アドレスの管理、ハードウエア資産管理といった情報システムでこれまで管理しにくかった情報もデヂエを使えるかな、と感じたという。
デヂエの運用は、まずは人事管理関係のライブラリから開始された。社内規定一覧、社内共通文書、社内電話・FAX 番号一覧表、慶弔情報、人事異動マニュアルなどがそうである。こういったライブラリの作成は、ほとんど小澤氏が行っている。
「小澤はもともと営業だったということもあり、現場に行って話を聞いてくる、というのを徹底してやっていました。全国を回り、地道に要件を集めてきて、ライブラリを作成しプロトタイプとして見せる、というやり方が導入へと結びついたんですよ。やはり現場はイメージを見せないと飛びついてこないですからね。」(屋敷氏)
活用方法
ナラサキ産業では、デヂエのシステム管理及びライブラリ管理は IT 戦略課の 3名で行っている。にも関わらず、132個のライブラリが運用されていることは驚きである。これは前述のように、小澤氏の地道なリサーチによって『現場の困った』を見つけていることから可能になっていると思われる。
デヂエは以下のような部門毎でフォルダ分けがされている。
人事総務部・経理部・審査部・営業推進部・経営企画課・IT 戦略課・情報通信システム部・エネルギー部門・建材部門・本州機械建機部門・機器営業部・ISO関連
- アンケートタイプ 7個
- リンク集 3個
- 情報システム管理文書 22個
- マニュアル系 2個
- ワークフロー 3個
- IT 戦略課 経費収集 2個
- 〃 情報共有 2個
- 全社用 情報共有 26個
- 営業部門 情報共有 14個
- 〃 月度業務報告 15個
- 〃 実績データ 21個
- 〃 物件管理 10個
- 〃 ライブラリリンク集 4個
- 〃 ISO 関係 1個
これらのライブラリへは、ポータルページ『Narasaki Group Web』からリンクされている。
アンケートタイプ
パソコン利用実態調査、情報セキュリティに関するアンケートなど全社員対象のもの、インターネット取引についてなど限定された社員に向けてのアンケートなどがある。
2003年末に行った情報セキュリティに関するアンケートもデヂエで行われた。パソコンのパスワードを変えたことがあるか、バックアップを取っているかなど、2,3分程度で終わる質問を行っている。アンケートの告知はメールで行い、デヂエのライブラリの URL と回答方法を記載し誘導した。レコード登録者のアクセス権を使い、管理者以外は自分の登録したアンケートしか見えないようになっている。デヂエでアンケートをすれば、誰がまだ回答していないかも簡単にわかり、回答を促進することも容易となった。アンケート終了後は、個人データは見えないようにし、全レコードを社員に公開している。集計機能を使えば、簡単な結果がわかるのがいい、と小澤氏は言う。
「こういったアンケートは、経営企画部のお客様である社員の満足度を高めるための情報として収集しています。満足度をあげるためには、今何が問題なのかを調査しなければなりません。それを見つけられたら、改善にとりかかれます。こういったアンケートは、過去に 1回行ったことはありますが、デヂエなら簡単にできるので、今後は定期的に行っていきたいと思っています。」(小澤氏)
アンケート形式のもので面白いものとして、営業推進部管理の『ニュービジネス提案コーナー』ライブラリがある。このライブラリでは、社長のもと、新しいビジネスの提案を受け付けている。今までは、各部門の部長に申し出、いけそうだったら会議に持っていく、というラインだったが、デヂエにすることで自分の部門という枠にとらわれず、提案ができるようになった。実際に、自分の部署の枠を超えた提案もされているという。このライブラリも、同じくレコード登録者のアクセス権を使用し、自分以外の投稿は見えないようにされている。また登録されると、営業推進部の部長にメール通知がされる。その後、取締役会にかけ、本人に直接フィードバックがされている。
IT 戦略課 情報システム管理文書
IP アドレス一覧、推奨フリーソフト、ハードウエア資産管理など多くのライブラリがある。資産管理のライブラリだが、ダイレクト表示が実に活用されている。ナラサキ産業のハードウエアはリース契約のものが多く、いつリースが切れるのか、再リースしたものはどれなのかといった情報を 1クリックで見れるようにされている。また古い OS をアップグレードするもの、メモリが少ないマシン、過去に故障したマシン一覧なども、ダイレクト表示で簡単に絞り込めるようにされ、予算組みの時に参考にしているという。
「資産管理のライブラリでは、集計機能を使って、各部毎にどれだけ費用が掛かっているのかもわかるようになっています。ウチの部署はどれだけ経費が掛かっているのか、と聞かれた場合も、すぐに答えられますね。」(小澤氏)
IT戦略課 ワークフロー系
ワークフロー的な使い方として『消耗品注文サイト』ライブラリがある。これは各店所からの消耗品の発注を受付け、納品までのフローを管理しているものである。北海道と東京とライブラリが分かれており、4名で対応をしている。
- 消耗品を注文する(レコード登録)
- レコードを登録した人、小澤氏他 3名にメール通知がされる
- 通知を受けた担当者は、手配担当確認日と予定納期を登録する
- 注文者と担当者 4名にメール通知がされる(処理したことがわかる)
- 納品されたら、注文者が納品日を登録し、担当者にメールがされ、一つのフローが終わる
デヂエを使うまでは、FAX・電話・メールなどさまざまな手段で消耗品発注の依頼が来ていた。処理状況の確認のやりとりや確認もれがあった場合のやりとりなどに時間を取られていた。デヂエになってからは状況がメールで通知されてくるため無駄なやりとりが無くなった。また注文する側も、過去に注文した記録が残っているので、再利用登録で登録の手間も省けると好評ということだ。
営業部門 情報共有系
営業部門のライブラリは、大まかには、各店所ごとの販売実績データ参照(オフコンから抽出したデータをCSV ファイルで読み込み)、情報共有もの、機械建機部門用の物件管理に分けられる。情報共有ものの一つ 、『コンクリートポンプ車 中古車情報共有』 ライブラリを紹介しよう。
このライブラリは、全国の営業同士で、お客様のコンクリートポンプ車の売りたい・買いたいという情報を集めたものである。過去にはこのやりとりは、電話で行われていた。今では、営業担当者がレコードを登録すると全営業担当者にメールが通知されるようになり、売り手と買い手のマッチングが容易になっている。ライブラリには、コンクリートポンプ車の画像も添付できるようになっているので、どのような状態のものかも、簡単にわかるようになっている。成約したものはレコードを消し、常に募集中のものだけが表示されるように運用されている。
一番効率があがっていたのは情報通信システム部だ、と小澤氏は言う。
「『HPC(ハイパフォーマンスコンピュータ)物件情報管理』というライブラリがそれです。このビジネスは、入出金方法や書類のやり取りが非常に煩雑です。そのため成約、引合段階の商談管理、受注後の処理を管理しています。どの案件が入金されているのか、代金未回収のものはどれか、最初の稟議を変更したものはどれか、注意事項があるものはどれかなど、ダイレクト表示で見やすいようにしています。客先に出す書類も、ここの情報を元に印刷しているんですよ。ただ、デヂエの印刷は、ブラウザ機能を使うので弱い。運用をちょっと工夫しまして、フィールドレイアウトと Excel を組み合わせて、簡単に印刷できるようにしたんですよ。」(小澤氏)
印刷までのフローはこうだ。
- 印刷したいレコードを開く
- フィールドレイアウトを「書類発送」にする
- レコード内容をドラッグしコピーする
- 印刷用の Excel を開き、データ貼付用のシートに「3」をコピーする
こうすると、印刷画面用のシートに値が入り、用紙・封筒の印刷ができる
実際にこの流れを見せていただいたが、非常に運用が工夫されていた。デヂエで足りない機能は、他の手段で補い、利用者が使いやすいようにされているのだ。
「このライブラリは、すごい業務効率があがった、と実際に現場から声をもらっているんですよ。」(小澤氏)
営業店所ごとに作られている販売実績データ参照のライブラリは、オフコンからデータを抽出し、定期的に CSV ファイルでデヂエに読み込んでいる。利用者には閲覧権限のみ与えている。集計機能を利用し、担当者ごとや得意先別に集計し分析できるようにされている。今までは、予算を組む時は過去のデータをひっくり返してきて書類を作らなければならなかった。また店所ごとに出してくる書類が違うとなると、まとめて見るほうも大変であった。
「実は営業部門のライブラリは、まだまだ実際の活用までには至っていない状況です。営業時代の経験をいかし、こういった観点からデータの集計が必要なんじゃないか、という提案も込めてダイレクト表示や集計を用意しているんですよ。過去の情報を見て、今後に活かしてほしいと思っています。」(小澤氏)
導入の結果と今後の展望
デヂエ導入当初に考えていたポータルページコンテンツのメンテナンスとして、デヂエは非常に役立っている、と小澤氏は言う。豊富な情報提供もデヂエだからこそ、容易にできているということだ。システムの知識や経験がない小澤氏が、現場での経験をいかした豊富なアイデアを デヂエという道具を使って実現できる、ということは凄いと屋敷氏は感じている。
「SQL やオラクルを操る際には、デヂエのように簡単にはできない。後々重くならないように設計やチューニングを考えて DB 屋さんは創っていたものです。デヂエを見るとこんなに簡単に作られてたまるか、と思うくらい簡単に作れちゃう。正直悔しかったですね(苦笑)。自分が覚えてきたものが、ポッと出のやつに抜かれちゃいましたからね(笑)。」(屋敷氏)
「実際、ライブラリを作るのに、特に苦労した点はありませんでした。デヂエ4.0になってからは、メール通知機能も充実してきましたし、テンプレート機能によって同じようなライブラリの作成も随分楽になりました。」(小澤氏)
屋敷氏は、ライブラリが実際に使われているのかを知るために、デヂエを動かしている WEB サーバー(IIS)のログを解析する SQL ツールを自作し、導入効果を見ている。
「ご説明したように、まだまだリードオンリーのライブラリが多いので、どのライブラリが使われているのかわからない状況でした。例えば営業向けに作ったものなのに管理部しか使っていない、というのでは意味がありません。導入した効果を見るためにも、こういったツールが必要だったんですよ。」(屋敷氏)
同社では、全員のパソコンに固定 IP アドレスが割り振られているため、誰がアクセスしたかもわかる。例えばあるライブラリの使い勝手はどうか聞きたいときは、そのライブラリをよく見ている人に聞きにいくことができるようになった。
今後は、現在作成している営業部門用のライブラリをもっと充実していきたい、と小澤氏は語る。
「営業部門用のライブラリは、営業担当者はまだまだリードオンリーでナレッジ活用という段階までは行っていません。次のステップは、営業の人間が自分でデータを入れて、その便利さをわかってもらうこと。Excel で蓄積しているデータの移行は、CSV ファイルで簡単にできますが、形になっていない情報の蓄積というのは、まだまだ難しいですね。
我々のような管理部門がどれだけ業務効率をあげて省力化しても、限界があります。我々のような会社では、営業の人に売り上げをあげてもらうことが大きく会社に影響します。そのためには、営業の人がもっと外に出る時間を増やすとか、書類作成に追われる時間を少なくし、情報の分析や的の得た戦略を立てられるようにタイムリーな情報発信ができる仕組み作りをしていきたいと考えています。」(小澤氏)
現在は、社員に対して「サイボウズ デヂエ」という製品を意識させずに解放している状態。ゆくゆくは全員が情報を登録し、ナレッジ活用をしていきたい、そのためにはちょっとしたミスで消してしまったデータのリカバリができる機能が必要だ、と小澤氏は熱く語った。
小澤氏の経験に基づくひらめきと地道なヒアリングをもって作成されたライブラリが、営業の現場で活用されることもそう遠くはないだろう。今後の活用にも注目していきたい。
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