導入製品 サイボウズ Office 6 | かんたんシリーズ

医療法人社団慶成会 青梅慶友病院

次長 細田 良治氏

青梅慶友病院では「一人でも当院のファンを増やしたい。」と、グループウェアで業務を効率化した分、徹底したきめ細かい患者様への対応を心がけている。そんな病院内での、スタッフへの教育方法と使い方の工夫を学ぶ。

日本屈指の高齢者専門の医療機関
青梅慶友病院は、高齢者向け医療機関として日本でも指折りの施設である。医療をサービス業と言い切り、患者、およびその家族に徹底的なサービスを提供しているのが特徴だ。約 800人の入院患者に対して約 600人もの職員で対応しており、特に患者に直接触れる看護師、看護助師の比率が高い。同院の手厚い看護サービスは評判で、入院する患者の 9割は口コミという。
「昔の老人向け病院は『暗い、汚い、臭い』の 3K と言われていました。当院はそれを打破しようと作られた施設です。患者様には、人生のラストステージを安心して送る場所として、なるべく日常生活に近い状態で入院生活を送っていただいています。病院にありがちな割れない食器ではなく、陶器の器と箸で食事を提供しています。ご家族との宿泊施設も用意しており、自分の親を安心して預けられる施設になっています」(次長 細田 良治氏)

導入前の状況 〜FAX と内線で 15 の病棟に伝達するのは限界

病院には伝えるべき情報が膨大にある。会議などの予定、当直医師の勤務表、車椅子やおむつなどの備品納入など、さまざまな情報が行き交う。しかも、同院には 15 の病棟があり、それぞれが独立機関のように機能するシステムになっている。つまり、各情報を 15 の系統で流す必要があった。
各病棟の師長はそれらの情報を把握しつつ、業務を行っていかなくてはいけない。そのために師長には「クラーク」と呼ばれる事務員が補佐に付いている。しかし、それらの情報を FAX や内線電話で伝えていたので、効率がよいとはいえなかった。

「情報共有のしかたを改善しなくてはいけない状況でした。また、ちょうどその頃(2001年)、病院の増改築の際に院内 LAN を構築したこともあり、院内 LAN を使って情報共有のしくみを作ることになったのです」(細田氏)

そして、2001年に導入されたのがグループウェア「サイボウズ Office 4」だった。利用者は、職員のうち約 160名。中心になって使うのは各病棟の師長、クラーク、医師、および事務職員である。

次長 細田 良治氏

次長 細田 良治氏

導入の決め手 〜実際にテストしてみて「使いやすさ」に納得

細田氏は以前から雑誌の記事などでサイボウズの存在は知っていたが、詳しい機能や使い勝手までは把握していなかった。そこで同院のシステムコンサルタントに相談して、実際にテストしてもらい、細田氏の目で確かめた上で、導入に踏み切ったのである。
細田氏は選択の理由を「決定的なのは使いやすかったこと」と述べている。

「当時はパソコンが得意でない職員がほとんど。だから、誰でも簡単に使えることが絶対条件でした。その点、『サイボウズ Office』はインターネットエクスプローラでの操作なので Windows ライクで簡単、しかも画面も見やすい。それにパーソナルにカスタマイズできました」(細田氏)

また、病院は一般の企業と異なることも注意しなくてはいけない。これまで使ってきた業務ソフトでは、購入して使ってみてから病院にあわないところが見つかっても、使い方を工夫することで対処してきた。場合によってはメーカーに依頼してカスタマイズ(仕様変更)することもあった。

「サイボウズの製品はお試し期間があるのでユーザーサイドに立っているという気がしました。お試しができるので、自分達のやりたいことが実現できるかを購入前に確かめられます」(細田氏)

導入教育 〜利用者への事前説明が確実に使われるポイント

細田氏は「サイボウズ Office 4」を最初に導入したとき、中心になって利用する約 50人の職員を集めて、同院のシステムコンサルタントに依頼し説明会を開いた。説明会では話を聞く一方だったが、各職員はすぐに使用するようになったそうだ。その結果、約 2ヶ月で「サイボウズ Office 4」は浸透した。

「説明会では、業務に必要な最低限の機能についてだけ説明しました。最初は基本だけを抑えて浸透するのを待つという考えです」(細田氏)

説明会は「サイボウズ Office 6」に上げたときにも開かれた

「バージョンが変わって使いやすくなっていたとしても、多少操作方法が変わるので、何の説明もしないと『使い勝手が悪くなった』と誤解されるかもしれません。誤解される前にきちんと説明することが大事です。『よくするためにバージョンアップした』と思って使い始めるのと、『使い勝手が悪くなった』と思い込んで使うのとは、ユーザーの気持ちが違いますから。そのためにはメールで『変わります』と伝えるだけでは足りないのです」(細田氏)

細田氏は、それ以外にもスムーズに浸透させるための工夫をしていた。
それは「サイボウズ Office 4」の前に勤務表作成の支援システムを導入したことだ。看護師の勤務表を作るのは手間のかかる面倒な作業だったが、そのシステムを使えば簡単に作成できるということで、それまでパソコンに興味を示さなかった職員も使い始めるようになったという。この段階で「パソコンは便利、自分たちの仕事の手間が軽減できる」と理解してもらったことが、「サイボウズ Office」が短期間で浸透した要因になっていると細田氏は考えている。

導入効果 〜既存の FAX や内線が減少

まず挙げられる効果は、大量にあった FAX や内線電話が少なくなったことだ。これまで院内の各病棟に FAX で送っていたものが、「サイボウズ Office」を使って一斉に配信されるようになったからだ。その結果、送る方の手間も減っただけでなく、受け取る側の管理も楽になった。しかも、送った側で「相手がちゃんとそれを見たか」をチェックする機能もあるので、連絡漏れの心配もない。

また、スケジュールや設備予約に柔軟に対応できるようになったことも大きな効果だ。
以前は、FAX で送られてくる勤務表や当直表でスケジュールを把握していたが、変更も多いので、正確なものを知るには、当人、または事務室に確認を取る必要があった。設備を利用する場合も、管理している事務室に連絡を取って、空いているかを調べてもらった上で予約を入れなくてはいけなかった。

「『サイボウズ Office』を使うと、自分の机にあるパソコンの画面で、最新の正しいスケジュールや設備の予約状況が見られ、しかも事務室に依頼しなくても自分で設備の予約を入れることまでできます。師長を補佐するクラークや事務室での仕事がだいぶ軽減されました」(細田氏)

このように日々の仕事が効率よく進められることから、各職員は出勤したらまず「サイボウズ Office」を立ち上げるのが日課になっているほどだ。

「以前はパソコンアレルギーの人もいましたが、今では『サイボウズ Office』がないと困る状態になっています」(細田氏)

活用方法 1「スケジュール」 〜クラークが師長の分まで管理

師長はパソコンの前にいないことも多いので、師長の情報は、補佐するクラークも確認、入力できるようになっている。そこで、クラークは自分のパソコンで、二人分の「サイボウズ Office」の画面(自分と師長の分)を常に表示し、必要な情報を師長に知らせることになっている。

「二人分の画面を表示していると、表示しているのが誰のデータなのか間違いやすいのですが、『サイボウズ Office』なら画面の色や配置をカスタマイズできるので、自分と師長の画面の色を変えられるから、識別が楽ですね」(細田氏)

「クラークが予定を入れてくれるので、医局の先生や師長が『サイボウズ Office』を開くと、以前のようにクラークに確認しなくても、自分でその日の仕事がわかります。だから、先のスケジュールが立てられるようになりました」(細田氏)

また、以前たいへん困っていたのが、他病棟のスケジュールや当直の医師を調べることだ。FAX で送られてくる勤務表や当直表を見ても変更が多いため、その都度、本人または事務室に確認を取らなくてはいけなかったからである。

他人のスケジュールでも最新の状態が画面を見るだけでわかります。内線電話で相手を呼び出す、または事務室に連絡を取って誰かのスケジュールを聞くことはなくなりました」(細田氏)

また同院でユニークなのは、患者の家族などの来客予定を「サイボウズ Office」の 1ユーザーとして管理していることだ。つまり、「来客窓口」という実際には存在しないユーザーを作って、来客予定の登録をする段階で「来客窓口」も参加者に含めておく。だから「来客窓口」のスケジュール情報を見れば、誰宛にどんな来客があるかを知ることができる。これも病院という職場にあった工夫といえるだろう。

▼受付では「来客窓口」で来客予定を確認する
受付では「来客窓口」で来客予定を確認する

活用方法 2「設備予約」 〜事務室の管理が軽減

備品や会議室、患者の家族の宿泊施設など、たくさんの共有設備がある。この管理はこれまで事務室にあるノートに記録していた。つまり、利用したいときに事務室に連絡をして、空き状況を確認した上で予約を入れていたのである。
これは現在「サイボウズ Office」の設備予約の機能で管理している。

「いちいち内線電話で事務室に確認を取らなくてもよいので、予約が楽になりました。もちろん電話を受けていた事務室からも好評です。電話を受けるたびに仕事を中断してノートを開く必要がなくなったのですから」(細田氏)

活用方法 3「社内メール」 〜確実な情報伝達が可能に

従来 FAX で一斉送信していたものは、社内メールに置き換わった。社内メールは「サイボウズ Office」内で使えるメールのシステムで、相手が読んだかを確認できるのが特徴だ。これで確実に情報が伝えられるので、送る側にとっても安心である

「社内メールがよいのはそれだけではありません。一般のインターネットのメールだと外部とのやり取りができますが、病院内の情報、特に患者様に関する情報が外部に漏れることは許されません。ですから、『サイボウズ Office』内部だけしか使えない社内メールは安心です」(細田氏)

なお、相手が読んだことを確認する必要がないものは、社内メールではなく掲示板などの機能を使って告知している。

「患者様が安らげるようにと、絵画などの作品を展示するのが方針なので、病院内の廊下には職員向けの連絡掲示板は置いてはいけない決まりになっています。『サイボウズ Office』ならすべての情報が画面で見られるので、患者様の目に触れないから当院の方針にぴったりですね」(細田氏)

活用方法 4「リマインダー」 〜忙しい職員にとっての必需品

同院で欠かせないものになっているのが、リマインダーである。リマインダーは「サイボウズ Office」を支援するフリーウエアのひとつだ。「サイボウズ Office」を起動していなくても、自分に関係する情報が公開されたことや、登録している予定が近づいたことをパソコンの画面で知らせる機能を持っている。時間に追われるように仕事をしている病院では、他の仕事に没頭していると予定が入っていても忘れがちになる。その点、予定が近づいたことがパソコンの画面で通知されると安心だ

「師長の会議の予定などはその都度クラークが伝えることになっていますが、パソコンの画面で通知されるので伝達忘れがなくなりました。
ただ『サイボウズ Office』はひとつのパソコンでも複数ユーザーが同時に利用できますが、リマインダーはパソコン 1台につき 1ユーザーしか登録できません。クラークは常に二人分の使っているので、リマインダーも複数ユーザーで使えるようになるともっと便利ですね。今のところクラークのパソコンでは師長のアカウントでリマインダーを使っています」(細田氏)

▼少し前にリマインダーで予定の通知がある
少し前にリマインダーで予定の通知がある

活用促進の工夫 〜導入前に基本的な設定を済ませておく

最初に使い始めるにはユーザーごとにアカウント、部署、グループ、委員会などの設定が必要だ。しかし、パソコンに不慣れな職員も多かったので、各自に各種設定をさせることで利用するのが嫌になる可能性もあった。そこで、細田氏はシステムコンサルタント に依頼して、利用するユーザーの分だけ事前にそれらの設定を済ませておいた。そのため、各職員は初めて「サイボウズ Office」の画面を開いたときからすぐに使い始めることができた。

最初から自分に関係する部署や委員会が登録されているので、見たらすぐに『ああ、こういう情報が入ってくるのか』とイメージできます。グループウェアは初めて使う人ばかりなので、最初の段階でどういうふうに使うのか理解してもらうのが大事と思ったのです」(細田氏)

今後の展望 〜拠点間で活用させていく

青梅慶友病院では、2005年に第二病院が都心にできる予定だ。現在の病院と第二病院との間は、外部からの侵入ができないように専用線で結ぶことになっている。

「病院がふたつになると、情報共有の効率化がこれまで以上に重要になってきます。現在、どういうシステムを作るか、今のシステムをどう改良するかを検討しているところです」(細田氏)

システム概要

ネットワーク 院内に置かれたWindows NT 4.0 Serverにインストールした「サイボウズ Office」を利用している。クライアントの OS は Windows 98。外部とはファイヤーウォールを介してつながっているため、外部からリモートで院内の「サイボウズ Office」にアクセスすることはできない。一部の限られた職員だけが、別のシステムで外部とメールのやり取りができるようになっている。

システム概要図

システム概要図

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製品情報

サイボウズ Office

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