企業情報

東洋ケース株式会社イメージ

■会社名:
東洋ケース株式会社

■ホームページ:
http://www.toyo-case.co.jp/

■利用製品:

  • サイボウズ Office 9

■従業員規模:
約100名

■業種:製造業

■設立:
昭和35年7月12日

■事業概要:
収納ケース企画販売事業、雑貨専門店事業、彩蒔絵シール事業、レイングッズ事業



業種の壁を超えて独創的なチャレンジを続ける東洋ケースの
「サイボウズ Office 9」活用法

東洋ケース株式会社
常務取締役/経営戦略室長 吉川 慎一氏

東洋ケース株式会社は1954年に京都で創業され、今年で59年目を迎える従業員数約100名(2012年6月)の老舗企業。
創業時は社長自ら自転車の荷台にダンボールをくくりつけ、営業に励んでいたという。そこからシール印刷、衣類ケースやカラーボックスなど収納ケースの企画販売、雑貨専門店事業など次々と新事業でアイデアを打ち出して躍進してきた。
2007年6月には、日本の伝統工芸である蒔絵をモチーフにした「彩蒔絵シール」の企画販売を開始。「彩蒔絵シール」は鮮やかな色彩と高級感が特徴の転写シールで、携帯電話などを手軽にデコレーションできる。この技術は現在(2012年6月)、日本で2社しか持っていないという。戦国武将や新撰組などのオリジナルシールが特に人気で、若い世代を中心に大ヒットしている。
さらに2009年2月、全くの異業種であるレイングッズ事業を立ち上げた。当時、レインウェアといえば安価なカッパか、数万円もする高級ブランド物かという両極端な商品しかなかった。そこへ同社が「普段着の感覚でおしゃれに楽しめる、リーズナブルな価格帯のレインウェア」という斬新なコンセプトで打って出たのである。この試みは、ファッションに敏感な女性たちから高い人気を集め、その人気は現在も続いている。

課題と効果

課題1 施設予約や交通費・出張費の申請、社員スケジュールの管理、稟議の承認など事務処理関するルール統一がなされておらず、業務が滞り非効率的だった。
効果1 「サイボウズ Office 9」カスタムアプリの導入によって、業務フローを決めなければならないものの可視化ができ、社内にワークフロー設計の手がかりを作れた。
課題2 過去の営業活動の内容やクレーム処理の対応がデータ化されていなかったため、情報が共有されず、不都合が生じていた。
効果2 営業活動とクレーム対応の両方でデータベースを立てて情報を共有。営業活動の詳細が把握できるようになり、クレーム対策も再発防止につながっている。
課題3 業務担当・企画担当部署と商品を生産している中国工場との間で、連絡ミスや指示ミスなどからくる不良品の発生と、納期遅延トラブルに悩まされていた。
効果3 全工程を製作段階ごとに分け、商品画像をカスタムアプリに反映。関係者がそれを確認後に次の工程に進み、全段階でOKが出たら貿易担当の承認後、「サイボウズ Office 9」のスケジュールで納期確定。納期の遅延防止になっている。

■導入の背景 〜バラバラな対応で、ワークフロー設計が必要不可欠に〜

「業態変化のスピードに、社内業務フローの整備が全く追いついていない」―「彩蒔絵シール」やレイングッズなど新たな事業が次々と成功し、会社の業績が順調に伸びる中で、吉川氏はそんな悩みを抱えていた。

当時、同社では様々な稟議、施設予約、出張費・交通費の申請などの業務に関して、社員がそれぞれ自己流で処理していた。社内連絡に関しても口頭、手書きのメモ、メールなど伝達方法が人によってバラバラで、社員同士で「言った」「いや、聞いていない」というやり取りが頻発していたという。

また社員のスケジュール管理、クレーム対応、営業活動の詳細チェックなどについても、社内に統一されたルールが存在しないため、なかばブラックボックスと化していた。そのため業務がスムーズに流れず、社内のあちこちで混乱が生じていたのだ。

常務取締役/経営戦略室長 吉川 慎一氏

常務取締役/経営戦略室長
吉川 慎一氏

「最初は稟議規定もなかったんです。極端な話、何か稟議をあげたい場合には担当者が直接社長と交渉して、OKが出ればそのまま進めるというやり方でした。社員のスケジュール管理についても問題がありました。例えば営業が外出や出張の際、ホワイトボードに『大阪』とか『東京』とか、行き先しか書かないんですね。そこで何をしているのかが全く見えないので、お客様から急ぎの電話が入ってもコールバックのお約束もできない。当然ながら業務は滞ります。その原因は社内に統一されたルールがないせいだと痛感していました。」(吉川氏)

特に重視していたのが、営業活動の可視化とクレーム対応の改善だ。

「これまでは、営業担当が替わったら、その会社に関する情報が全くわからなくなってしまっていました。過去の営業活動は会社の資産といえるほど貴重なものなのに、担当が替わった途端にそれまでの蓄積がゼロになってしまう。これではいけないと思い続けていました。クレーム対策についてもそうです。クレームの内容と対応方法を共有していなかったので、担当Aが受けたクレームを担当Bが繰り返すというミスが絶えず起こっていました。クレームにいかに速く対応できるかがお客様の信頼を得る鍵といえるのに、そこでミスをしていては大問題です。」(吉川氏)

会社の規模が小さかった時期は、統一されたルールがなくても社内は何とか廻っていた。しかし社員数が増え、業務が多様化するにつれ、確実な情報共有やワークフローの確立は欠かせないものになっていった。

吉川氏が意識していたことがもう1つある。

ワークフロー設計と同時に、社員に『こういう方法は正しくない』『こんなやり方をしたらトラブルが起きる』という問題意識を持ってほしかった。諸々の問題を本当に解決するためには、絶対にその視点が必要だと思いました。」(吉川氏)

これら2点を踏まえ、同社は情報共有、業務フローの改善、そして社員の意識改革を目標に、本格的にグループウェア導入を検討し始めた。

■選択のポイント 〜わかりやすいこと、使い勝手がいいことが最大の決め手〜

数あるグループウェアの中で、同社が「サイボウズ Office 9」導入を決めた最大の理由は「使いやすさ」だったそうだ。

「実は僕自身が、グループウェアとかあんまり使い慣れてなくて(笑)。本当に素人だったんですけど、その僕でも『本当に使いやすいなあ』と思います。」(吉川氏)

使いやすさと同様に、営業担当者の使い勝手についてもしっかりチェックした。なかでも注目したのは、外出先でのメールとデータへのアクセスに関する快適さだ。

現在、同社ではメールを個人フォルダに飛ばす形式をとっているが、ここである問題が起こっていた。

「各パソコンにメーラーで入っていると、営業中にお客様からのメールを確認したいと思っても、違うメーラーを使用している場合はメール履歴を追いかけられないんですよ。その点、「サイボウズ Office 9」を使うとメールの履歴が全て追いかけられるので、すごく便利です。外部からのデータ閲覧に関しても満足しています。「サイボウズ Office 9」導入以前もファイル共有のためにサーバーで管理はしていましたが、そのサーバーには会計システムも入っていたのでポートを開けないんです。だから、営業が外出先で何か資料を見ようと思ってもアクセスできなかった。その点、「サイボウズ Office 9」はちゃんとアクセス権限を設定できるから、外部から見えてもいいデータだけ閲覧できます。これ、営業から見ると本当に使い勝手がいいんです。助かっています」(吉川氏)

今後、社内データに関しては「サイボウズ Office 9」のメッセージでツリー管理していきたいという。

■導入概要

活用方法1 「ワークフロー設計」
〜業務の効率化+タスクの意識付けを社員に徹底〜

ワークフローの設計と社員の問題意識付けを目指して「サイボウズ Office 9」を導入後、同社は現状を知るための情報収集に取り掛かった。業務のどの部分にどんな問題があるのか可視化するためだ。

「例えば稟議については、個人でバラバラに社長にネゴシエーションしていることが問題の根本にありました。そこできっちり稟議規定を作り、どういうフローで稟議を承認するか決めたんです。しっかりしたワークフローを作ることで稟議がスムーズに進むのはもちろん、社員に対して『こんなやり方では稟議が通らないかも』という意識付けにもなっていると思います。」(吉川氏)

さらに、「言った」「聞いていない」という不毛なやり取りの温床になっていた社内連絡に関しては、「サイボウズ Office 9」のメッセージ機能を活用している。

「聞いていない、知らないという人に対しては、『いや、メッセージを送っているでしょう?きちんと確認してくださいね』とうながせるようになりました。」(吉川氏)

2012年6月現在、導入から2〜3ヶ月ほどなので、業務の改善に前向きな人とそうでない人がいるのも事実だという。吉川氏はそういった現状について、「現在は効率化より、タスクの意識付けの下地作りをしている」と認識している。実際に効果が出てくるのは来年くらいではないかと見ているそうだ。

活用方法2 「クレーム対策」
〜クレーム内容・対策の徹底した共有で、お客様の信頼を得る〜

クレーム対応について同社が行った対策は、徹底した情報共有だ。まずクレーム全体を「対応に関するクレーム」と「製品に関するクレーム」に分類し、それらの内容と対応策を「サイボウズ Office 9」にあげ、周知徹底したのである。

これで同じクレームが発生するミスを防げますし、クレームそのものに対する注意喚起にもつながるという効果が出ています。」(吉川氏)

ユニークな商品を企画・開発していることで知られる同社だが、「商品そのものだけでなく、対応の良さでも勝負していかなければ」という吉川氏。今後も、クレーム対応の情報共有に「サイボウズ Office 9」を活用していくそうだ。

活用方法3 「工程管理」
〜納期の遅れ防止のため、カスタムアプリを最大限に活用〜

レインウェアの生産を中国の工場で行っている同社は、生産中の工程チェックや納期のコントロールにも「サイボウズ Office 9」を利用している。

「商品のクオリティに関して、現地工場との意識統一がうまくいかないという悩みがありました。要は不良品が多いのですが、よく話を聞いてみると工場側ばかりが悪い訳ではなく、うちの段取りの悪さや指示ミスなどが原因の部分もあったんです。これでは駄目だということで、工程管理を見直すことにしました。」(吉川氏)

工程管理について同社が考えた改善案は、生産仕様書を作っていくこと。現在はまだ制度を整えている最中だというが、近い将来に実行される見込みだ。

その詳細はこうだ。初めに全工程を染色、裁断、縫製などの段階ごとに分けて現地工場でチェックして写真に撮り、その画像をカスタムアプリに載せる。それを営業と企画が確認し、クリアできたら次の工程に進む。

全工程でその作業を行い、最終工程でOKが出たら業務チームの貿易担当にメールが飛び、納期を決める。同じ方法で全商品の納入時期が確定したら、「サイボウズ Office 9」のスケジュールに飛ばして情報を共有するのだ。

この方法は、内部の連携ミスからくる納期の遅れ防止にもつながると思います。うちでは商品デザインなどの仕様を企画チームが、納期に関する決定を業務チームが担当しています。仕様変更などがあると、企画チームには連絡がいくものの業務チームには伝わらずに納期が遅れることがありますが、その防止策にもなるだろうと期待しています。」(吉川氏)

ゆくゆくはデザインレビューもデータベース化していきたいと話す吉川氏。例えばレインウェアに刺繍をする場合、ざっとイラストを書いて「ここに刺繍を入れる」といった指示方法のため、刺繍を入れる場所に微妙な差が生まれてしまっているという。そのあたりをきっちり数値化し、商品のクオリティを均一化していく予定だ。

■今後の展開 〜ワークフローで社員教育を行っていきたい〜

導入した当初は一部の社員から抵抗があったものの、現在は「こんなデータベースを立ててほしい」という声があがるほど定着しつつある「サイボウズ Office 9」。吉川氏は「まだまだこれから」と言うが、今後はどのような展開を考えているのだろうか。

「将来的にやっていきたい、具体的な計画が3つあります。1つは、中国のメインの提携工場に「サイボウズ Office 9」のライセンスを1つ与えて、工程管理を共有していくこと。もちろん他の部分はアクセス権限をかけますが、そうやって不良品の発生率を抑え、よりスムーズな生産へとつなげたいです。

2つめは、社内だけでなく外部のクライアントとのメールのやり取りにおいても『言った、言わない』というトラブルをなくしていくこと。

3つめは、企画のアイデアや過去の企画内容をカスタムアプリにまとめていくこと。基本的に、うちは営業に行くときは企画も込みで持っていくので、全社で企画に関する情報を共有し、部の枠を取り払った商品開発ができればいいなと思っています。販路は結構持っているので、ヒット商品の開発にもっと力を入れていきたいですね。」(吉川氏)

同社には、さらに大きなスパンで「サイボウズ Office 9」を活用し、やっていきたいことがあるという。それはワークフロー整備によって社員教育、とりわけ新卒社員に向けた教育を行うことだ。

「営業活動内容をデータベース化するときに、これは会社の資産だけでなく、コーチングの材料にもなるなと思いました。営業で上司が部下を教育する場合、どういうクライアントをどう訪問して、どんなプレゼンをするのか、どんな資料を持っていけばいいのかについて考えないと、効果的な教育はできないですから。

業務のワークフロー設計についてもそうです。採用した会社には、新卒社員をいっぱしの人間に育てる社会的な責任がありますよね。そのためには、やはり社会人としての判断基準をワークフローを通じて最低限身に付けないと、社会で通用する人間にはなれないと思うんですよ。そのために「サイボウズ Office 9」を活用していきたいと考えています」(吉川氏)

「その道のプロではない僕らが異業種でヒット作を作れたのは、素人的な発想のおかげ。その一方で、素人ゆえに失敗したり、非効率的だったりすることもたくさんあります」と語る吉川氏。異業種に慣れきっていないからこそ可能である斬新な発想はそのままに、業務フローを整え、プロセス管理や情報共有に着手した同社は、これからさらに飛躍的な成長を見せてくれるに違いない。

製品情報

サイボウズ Office

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