戸塚建設株式会社のサイボウズOffice3利用法の中で、最もオリジナリティーあふれる形で使われているのが「電子会議室」である。
この機能は、サイボウズOffice3ユーザーはあまり使っていないケースがあるのだが、戸塚建設株式会社の場合は、添付の機能をフルに使いながら、仕事上のデータベースとして活用している。桃知氏は、この使い方を「イマジネーション豊かだ」と絶賛しつつ、こう説明を加えてくれた。
「サイボウズOffice3が面白いのは、使っているうちに、各社がみんな独自の使い方をするようになることです。その会社の組織と仕事のニーズに合わせて、イマジネーションを働かせるんですね。戸塚建設株式会社では、『電子会議室』を『掲示板』に近い形で、独自にカスタマイズして使っています」。
具体的に、その使い方を紹介しよう。『電子会議室』は本来、実際の会議室に集まることなく、オンライン上で会議をするための機能である。議題にそって参加者が入力した発言を、時間を追って一覧表示することができるし、各自の発言にはファイルを添付することもできる。
戸塚建設株式会社では、これを現場ごとの工程の推移を監理・記録・報告するために使っているのだ。 まずその現場の名を、議題として登録し、工程の節目ごとに、進行の状態とそこでの問題点や対処法などを施工管理者が書き込んでいく。その記事ごとに、デジカメで現場を撮った写真が添付されるわけだ。
この種の記録は、完全にオープンにすると、全社員に見られるのを慮って、現場の社員が書き込みをためらうかもしれないという心配があった。そのため、半年間ほどは仲間内だけのクローズな形にしたという。半年後に、皆が慣れてきた頃を見計らって完全オープンにしたが、現場の抵抗もなく、スムーズにオープンな形が受け入れられた。こうして、現場の詳細な記録になるばかりでなく、全社員が自由に閲覧して、仕事のノウハウを学ぶこともできる記事がずらりと並ぶことになった。
「建設業では、効率の良い手順とか、細かいノウハウの部分は、個人の技量に負うところが大きい。
この『電子会議室』の記事を閲覧すれば、若い社員でも、そのノウハウを疑似体験できるわけです」(戸塚常務)。
営業マンにとっても、この記事は有益なものになっている。数多くの現場が同時進行しながら不定期に交代していくのだから、営業マン1人1人がすべての現場の内容を把握するのはなかなか難しい。それが『電子会議室』のおかげで、現場に行かなくても写真付きで詳細に状況を把握できるのだ。
施主さんから「あの現場の工法がいいのかな?」などと言われた時に、これまでなら冷や汗を流す場面もあった。現在では、「あそこはこういうやり方です」と即答できるようになったというわけだ。営業力アップである。
もちろん電子会議室の有用性は、営業マンだけに限った話ではない。同じ工務に携わっている技術者同士や現場間、そして何より部門を越えた意見交流ができるようになった。
これは、単に会議室上の話だけではなく、これまでは顔を合わせる機会がない営業部門と技術部門の交流に極めて役立っている。営業と技術の間はお施主さんからの重要な伝達事項が含まれているだけに、ほんの些細な行き違いが後々大変な結果を生んでしまう。当事者間のみならず周囲の人のアドバイスも得られる電子会議の場は、社内の情報を流通させるとともにお互いの技術力向上や社内のチェック機能としても機能しはじめているようだ。
もっとも、『電子会議室』本来のオンラインによる会議という使い方も、ISOのために有効に活用している。
「ISO9001の準備を始めてから、しまったなと思ったのは、会議の数がやたらと増えたことでした。例えば、その仕事単位で、施工検討会議、工事完成報告会議は必ず開かなければなりませんし、記録に残して審査してもらわなければならない。実際の会議をすると、スタッフの日程を調整するだけでも大変です。これを『電子会議室』でやることにしたら、非常に楽になった。ISO9001の再審査では、その『電子会議室』の記録を提出しましたが、これがあればまったく問題ないと言われましたよ」(戸塚常務)。
わずか1年足らずの期間で、これだけしっかりグループウエアを使いこなしているのだから、戸塚建設株式会社の社内情報化は、完全に軌道に乗ったと言っていいだろう。
(画像は、電子会議室での施工計画検討の様子。時間や場所の制限無しにじっくりと計画検討できる。)
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