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営業本部長インタビュー

サイボウズの営業は
「ものを売る」ではなく、
「新しいビジネスをつくる」仕事

執行役員営業本部長兼グローバル事業本部副本部長
栗山 圭太

2011年にスタートした「kintone」「Garoon」などのクラウド事業。2019年現在、クラウドの売上比率は7割にまで伸長し、サイボウズは実態としてもクラウド企業への転換を果たしています。ビジネスモデルの転換は、社員の働き方や販売手法にも大きな変化をもたらしました。クラウド事業の躍進によってサイボウズの営業はどのように変わっていったのか。これからは何が求められるのか。営業本部長の栗山圭太に聞きました。

プロフィール:
栗山 圭太
執行役員営業本部長兼グローバル事業本部副本部長。
2003年、新卒で入った証券会社を辞め、第二新卒としてサイボウズに入社。公共営業、大阪営業所の立ち上げなどを経て、「サイボウズ Office」「kintone」のプロダクトマネージャーを経験。その後自身の強い希望で営業に戻り、ここ数年はアジアの拡販にも注力。アジア10カ国を訪問し、パートナー企業とのリレーションシップを図っている。

小さな積み重ねを、チームの力で大きな売り上げにつなげていく

――サイボウズは企業理念にもあるように「チームワーク」を重視していますが、営業部門においても、個人ではなくチームで仕事を進めていく意識が強いのでしょうか?

栗山:営業部門では「チーム営業」という言葉を掲げて活動しています。ただそれは「営業部内のチームワーク」という意味に留まりません。開発のメンバーがプロダクトを作って、マーケティングのメンバーがプロモーションをして、その土壌の上で私たちが営業活動をして、販売後はカスタマーサポートのメンバーにお客さまを支えてもらう。そうした一連の流れがある中で営業という機能があるのだと考えています。

――会社全体が1つのチームであると。

栗山:はい。それはインセンティブの考え方にも現れていて、サイボウズの場合は営業個人ではなく、スタッフ部門を含めた全社のメンバーが1つの同じ目標を追って、達成することでインセンティブが支給されます。私たちが扱うクラウドのサービスは、どれだけ利用してもらえているのかが重要になります。たくさんの人に長く使っていただくためにはどうすればいいのかを全社で考えていかないといけない。使っている人がもっと使ってくれるようになれば売り上げが増えるし、使われなくなれば売り上げが下がる。だから、営業個人ではなくすべての部門が関わる指標へ変わりました。

――営業職というと一般的には「大型受注が決まった!」というシーンで盛り上がることが多いですが、そもそもの入り口が違うのですね。「ずっと使っていただけるように」という視点で考えなければいけないと。

栗山:そうですね。小さな積み重ねが大きな売り上げにつながるということも、クラウドのビジネスを経験して分かったことです。例えば年間売上3000万円というと大きな金額ですが、月額にすると250万円。これをもっと分解していくと、5万円×何社のテナントが……といった形で、身近な数字になっていきます。

――予算についての考え方は?

栗山:年間でどれくらいの規模の仕事をすべきなのかを伝えなければ活動の軸が定まらないので、部門としても個人としても目指す数字として予算を持っています。

ただ、サイボウズの予算に対する考え方はちょっと特殊です。各プロダクトの責任者が「来年はこれくらいの売り上げになりそう」と見積もった数字を積み上げ、合わせていくんです。社長の青野に「いくらまでやりなさい」と言われるとか、経営メンバーで「いくらまでやろう」と話し合った結果を振り分けていくようなことはありません。

これによって私たちは、目標値ではなく「来年使えるお金」を決めています。売上予算というのは、目標とする値ではなく、来年利用できるお金を定めるために参考とする値である、というのがサイボウズの基本的な考え方です。この予測値を営業個人にも振り分けていきます。「営業が約束した売り上げに届かないと来年使えるお金に狂いが生じてしまうので頑張りましょう」と。

――たしかに面白いですね。営業としては、「目標は必達」という考えが当たり前だと思っていたのですが。

栗山:そうですね。サイボウズは現在、投資フェーズなので来年お金をいくら使えるのかという指標がとても重要です。来年いくら稼げるかが、来年いくら使えるかということを決めます。使いたいお金のために、これだけやらなきゃいけない。その数字に届かないと単純に使えるお金が減る、ということなんです。

――そうした意味では、会社としてのお金にたいする考え方自体も他社とは違うのでしょうか。もっともっと利益を出そうといった考えは……。

栗山:もちろん企業にとって利益は大切ですが、それが全てではありません。私たちがいちばん重視しているのは、売り上げや利益よりも「利用者数を伸ばす」ことです。これは「チームワークあふれる社会をつくる」という理念に基づいています。利用者数を伸ばすことが結果的に利益を生み出すことにつながると思っています。

反響をベースにして新しいお客さまを獲得できる

――実際のところ、サイボウズの営業には何が求められていて、どんな点が評価されるのでしょう?

栗山:基本的には世間一般の営業職と変わらないと思います。

営業本部に与えられている役割はプロダクトを世の中に届けることと、受注処理をして請求して代金をいただくというところまで。届け方としては営業が直接お客さまに提案したり、パートナーである代理店さんを経由したりといった形です。部署としては大きく、「直接届ける部隊」と「パートナーを経由して届ける部隊」に分かれています。

評価については、先ほどお話した予算が営業個人に割り振られていて、月末になれば「達成できそう、できなさそう」という会話になりますよ。月初には前月の振り返りをします。やはり営業職である限りは、数字を作れる営業かどうかという点は評価されます。

――営業職というと数字が大きなプレッシャーとなり、ともすれば「数字がすべて」という状況にも陥りがちですよね。

栗山:分かります。ただ、サイボウズではそれはないと思います。

現状、おかげさまで製品自体に競争力があり、プロモーションにも予算をかけて順調に認知度が上がっていることで、反響をベースにして新しいお客さまを獲得できています。営業としては、提案活動に注力して時間をかけられるのはありがたい状況ですね。

――そうした意味では、よく言われる「営業職のしんどさ」といったものは、少ないのかもしれませんね。

栗山:本人が何を志向するかにもよると思います。しんどい営業でも、売れば売るほどインセンティブが個人に入ってくるほうがうれしいと思う人もいるでしょう。「つらいけど半年に一度のボーナスで報われる」ということもあるかもしれません。それはあくまでも個人としての喜びだと思います。

脱ブラックを果たすサイボウズの中で「ガラパゴス」と呼ばれていた営業部門

――かつてはサイボウズも、営業が「個人の喜び」を追求する組織だったのですか?

栗山:以前はそうでしたね。サイボウズのビジネスはウェブでのダウンロード販売から始まり、マーケットの拡大に合わせて、いわゆる代理店モデルに切り替わっていきました。営業をたくさん採用して、パートナーを通じてソフトウエアのパッケージを販売していくことになったんです。当時はいかに大型受注を取ってこられるかどうか、という世界。それがなければしんどい状況でした。

――目標数字を達成できたときは盛り上がったでしょうね。

栗山:ただ当時は全社で数字を追いかけるようなこともなく、割り振られた自分の数字をクリアすることがすべてだったので、「受注が決まっていても月末まで隠す」といったこともありましたよ(笑)。早々に共有すると全体の数字まで背負わされてしまうので、月末までは「僕もギリギリなんですよ」といった空気感を出して。

――チームワークとは対極の世界ですね。

栗山:まさに。「かつてのサイボウズはブラックだった」という話はよく表に出ていますが、当時の営業部門は本当に真っ黒でした。ソフトウェアをパッケージとして売っていた2002年から2008年頃ですね。

――働き方自体もブラックだったのですか?

栗山:みんな「マイ寝袋」を持っていました(笑)。夜中にカードキーをデスクに置いたまま外に出た先輩が中に入れなくなって、エレベーターホールで寝ていたこともありましたね。

そんな時期を経て、離職率の高まりからサイボウズは全社的に働き方を見直していきましたが、営業部門だけはなかなか変われなくて「ガラパゴス」なんて言われていました。

――ガラパゴスだった営業部門が変わったきっかけは?

栗山:事業がクラウドへ転換したことです。2011年にクラウド版がリリースされると、新規受注の数は一気にこれまでの3倍以上に増えたんです。その後も、営業が全くタッチしていない顧客からの受注が増え続け、右肩上がりに売り上げは伸びていきました。

これはまぁ、営業としては衝撃ですよね。「自分たちが数字を作っている」という自負があったけれど、新しいビジネスが始まると、まったく別の世界に突入してしまった。部門全体がその衝撃を感じていたと思います。それを大きなきっかけとして、徐々に営業も変わっていきました。

今まで営業だけで稼いでいた数字を、WEB経由の小さな受注を積み上げることでも数字をつくれる体制になりましたから、営業から見た他の職種の人への見方というのもずいぶん変わりましたね。営業からするとサポートしてくれる人への感謝も増えるし、WEBで受注の仕組みを作っている部門への尊敬の念もある。ビジネスモデルの変化とともに、より一体感がある会社に変わっていったように思います。

世の中にない価値を提案するためには、新しいビジネスをつくる力が必要

――これからの営業部門を考える上で、課題に感じていることはありますか?

栗山:サイボウズの営業は、もっと「儲け」の概念を持たなければいけないと感じています。先ほどお話したように、サイボウズ自身は利益というものを最重要視していません。
ただ、エンドユーザーやパートナーにビジネスを提案する際には「儲け」をもっと意識して、エンドユーザーやパートナーが利益を生み出せるビジネスを提供しないといけないと思っています。

――サイボウズが目指したい世界を伝えるだけではなく、「実際にどれくらいの利益につながるか」という価値も伝えていかなければならないと。

栗山:私たちは、サイボウズの中で世の中との接点に当たる部署です。サイボウズがやりたいことと、世の中が今ある状態を結ばないといけないんですよね。単純に自分たちがやりたいことだけを言っていればいいという部署ではなく、「自分たちがやりたいことと世の中の間に立つ」ことが求められます。理想に共感してもらえたとしても、それがビジネスにつながらなければ世の中を動かすことはできません。

――「利益」を意識しすぎずに働けるというのは、営業としては良い環境であるようにも感じますが。

栗山:短期的には良いのかもしれませんが、ビジネスパーソンとしてはやはり身に着けておくべきスキルなのだと思います。

サイボウズの場合はビジネスモデルが恵まれている面もあります。クラウドサービスは、ロジスティクスを考えなくていいし、在庫も考えなくていい。賞味期限もありません。売り上げさえ伸びれば、自然と利益率も伸びていくビジネスです。自分たちはこのモデルでやっているから、利益というものを深刻に考えなくてもいい。

でも世の中の多くは違います。例えば食品メーカーであれば、いつまでも在庫を置いておくことはできません。ビジネスの回転を早めなければ利益につながらない。自分たちの常識の中だけで生きるのではなく、相手をちゃんと知った上で提案しなければ受け入れられないでしょう。kintoneなど、かつては世の中になかったサービスを提案するなら、なおのこと。

――かつては世の中になかったものを売っていく苦労もあると。

栗山:実は今も手探りでやっています。中でもkintoneは新しく出てきたプロダクトです。普通は1つ成功したビジネスを持っている会社は既存のお客様に新しいものを売るか、今あるサービスを違うマーケットに売るというのが新規ビジネスの基本ですよね。でもkintoneは「新しいお客様に新しいプロダクトを売る」というビジネスの文脈から見ると常識はずれのモデルなんです。製品自体もプラットホームとして柔軟で、あらゆる方法で活用することができる。kintoneを使って様々なビジネスを考えることができるんです。
プロダクトにはいろいろな可能性を感じていますが、まだ正解が見えている段階ではありません。どんなパートナーと組んで、どんな顧客にどんな価値を提案していくか。一つずつ試しながら事例を作っている段階です。

そうした意味では、これからのサイボウズの営業には単純にものを売る力ではなく、新しいビジネスそのものをつくる力が求められていくのだと思います。そのための教育も兼ねて、社内でさまざまなプロジェクトを立ち上げているところです。

――これまで誰もやらなかったことに挑戦する機会も?

栗山:たくさんあると思います。挑戦をしてみて、失敗しないと答えが出ないというところまで来ているので。

「こんなビジネスをやりたいです」「こんな業界に提案してみたいです」といったことも、提案してもらえれば柔軟にGOを出していきたいですね。どれくらい人とお金を使うのかにもよりますが、ちょっとした挑戦であればすぐに実行に移せます。

これまでの常識にとらわれたくないので、最近ではIT業界出身ではない人も積極的に採用しているんです。異分野での知見や、既存メンバーとはまったく違う角度からの指摘を求めています。今よりも多様な組織を作り、いろいろなバックグラウンドを持つ人が活躍できる環境を提供していきたいと思っています。