元々Excelや紙で収穫量の記録や畑ごとの野菜の出来栄えなど、様々なデータを管理していたんですが、自分のスキルも足りず、そのデータをうまく分析・活用することができませんでした。

また、分析した数字を従業員に分かりやすく伝えるため、グラフなどの図を用意し、「絵にする」ことで、従業員の行動を促すということができなかったことが大きな課題でした。

日報は紙で運用しており、私は従業員が記入した日報に労いの言葉やフィードバックを書き込んで返却をしていました。ただ、続けていくと、意外と時間がかかってしまい、自分の中で「自分にとって手書きは嫌いな作業だな」ってことに気づきました（笑）

Excelはうまく扱えないし、手書きは嫌いだし。従業員の皆に入力や記入をお願いしておきながら、せっかくのデータを活用しきれない自分がすごくもどかしかった。

とあるコミュニティでkintoneのユーザーである京屋染物店^※の蜂谷さんに出会いました。蜂谷さんはkintoneを利用してどんどん会社を変革し、経営状況も改善しているところを見て「あ、うちもkintone導入すればいいんだ」って漠然と感じました。

実はその前にシステム構築ができる方に相談したこともあったのですが、自分が欲しいシステムを話して、どれくらい費用がかかりそうか聞いてみると、何百万という単位でかかると思うってすぐに言われたんですよ。

実際お願いをしても開発に長い時間がかかるし、後でちょっとシステムの修正を加えようと思うと、そこでもお金がかかる。さすがにそれは無理だなと思っていたので、kintoneは月額で安価に導入できて、修正があっても簡単にできると知り、より魅力的に感じました。

まずはシフト表ですかね。kintoneには様々なプラグインを組み込んで機能が追加できるのですが、ここではカレンダーPlus^※というプラグインを利用して見やすくしています。社員はもちろん、パートさん・アルバイトさんの最新のシフト状況が分かるのでとても利用しやすいです。

「明日いないんで、引き継ぎします」というコミュニケーションが取りやすくなりましたし、皆が皆の出勤状況を見れるようになったので、働きやすくなったような気がします。色をついている幅を見ればパッと見、今日の人員がどれくらいいるのかが分かるようになりました。

今頻繁に使っているレタスの収穫記録アプリをお見せしますね。GLOBALG.A.P.（適正農業規範に関する国際標準）という認証制度があるのですが、農作業時のルールとして毎日レタスの状態を写真で残すというものがあります。

畑の今の状況やレタスを納品した時の状態を毎日記録していると、例えば、納品時に異物混入があったとか、レタスの腐敗がすごく多かったとか、小玉ばかりだったという報告があった際に、農場を出る際の姿やその時の畑の状況を説明できるようになります。

これは自分たちを守ることもそうですが、お客様に対して信頼できる商品を届けているという自信にもつながるものです。データとして残せるようになったのは大きいです。

畑ごとに収穫量と収穫にかかった作業時間を入力し、時間当たりの収穫効率を見たり、1時間当たりの作業に対する収穫量を見たりしています。「チーム力」という言葉を使っています。

畑のチーム力は上がっているか、下がっているかを見ることで作業上、注意することも変わります。通常だとシーズン初めが1番低くて、畑が育つにつれ上がっていけばいいんですが、チーム力が下がっているのを見ると品質が悪いということなので、検品作業をちゃんとしなきゃいけなかったりとか、病気のものが多いのかなとか見ないといけなかったり。

そういうところが見て取れるんです。ただ、その下がった理由はやはり人じゃないと分からない部分なので、そこをちゃんと日報とかで補完しているイメージです。

はい。このような形でデータをグラフなどの図で用意し「絵にする」ことができるようになったので、例えば休んでいた方でも、休み明けにアプリを見れば今の畑の状況が理解できるようになりました。そして従業員同士でそういう話ができるようになってきています。

私がお願いするから、きっとしょうがなくやってくれていたと思います（笑）　ただ、「いずい」^※という気持ちがあった時にはすぐに伝えてもらって、修正します。「いずい」と感じると、紙で書くより入力の時間がかかっちゃうからいやだと感じるんですよね。

なので、スマホで入力するアプリは画面を操作する回数が少なくなるようにという点は工夫しています。 PCで入力や閲覧する際のスクロールも大変だと感じるので、長く項目を羅列するのではなく上の方に寄せる等ですね。

kintoneを導入してから、今までは感覚で把握していることが多かったことに気づきました。感覚と事実って結構ずれているんですね。こんなに汗だくになって収穫作業しているんだから、進んでいると思いきや、後ろを振り返るとあんまり終わってなかったりするのが最たるものです（笑）

従業員も同じで、上司には「何メートル進んだ？」とか、「どれくらいできた？何ケースとった？」と聞かれた時に、今まではデータが無いので「私たちなりには頑張ったんですけど…」という返事がくることもありました。今だと、アプリに登録したデータで事実を共有しつつ、畑の写真を1枚見るだけでも、「この畑の状況だと大変だったね」というコミュニケーションもできるようになりました。

建設的に前向きに、これまで通りの肌感覚と事実であるデータを照合して、例えば、感覚値が間違っていた時はそれをちゃんと認められるようになる。どんどん感覚と事実の間を埋めていける。そんなチームになっています。

はい、事実だけ突きつけられたり、命令されてもコントロールされている感覚みたいなのがどうしても出てきてしまうような気がしています。人ってコントロールされるのって嫌だと思うんですよね。皆自ら考えて行動して頑張ってくれている。

私も経営者としてやっぱり口出ししたくなる時があるんです。3年、5年前なんて自分が突っ走って、言わなくてもきっと分かっていることを従業員に対して言ってしまって、居心地の悪い感じになっちゃった時があり、未だに何回も反省しています。

また、kintoneを導入して改めて成果の見える化・仕事の見える化をしないと、人って動けないよねって思いました。「動かない」じゃなくて「動けない」んだって。これまでだと私が朝礼でたくさんしゃべって、何か疑問や確認したいことがあっても従業員の立場からすると話しかけしづらい。

なので自分で確認できる手段ができたことは大きいと思いますし、今はkintoneでデータが見えるおかげもあって、従業員が自ら考えて動く機会が増えたように感じます。

もっと経営分析をちゃんとしていきたいです。商品や取引先によって粗利が異なりますが、今はこれがわかるデータって持ってないんです。今は1ヶ月に1回、出た経費と売上を計算してはいるんですが、1ヶ月単位でやってるってことは、1ヶ月前の情報を知ることになるわけですよ。結果でしかない。

それをリアルタイムで知ることによって、来週はこうなるかもという予測まで立てれるようになりたいです。そうすることによって、例えば今日の売り上げと利益はこれくらい。今月は3週目で粗利を稼げているから、じゃあプラスで稼げた分は、ボーナスにしましょう！とか、普段の頑張りを還元することもしてみたい。

私の場合は、仕事したいと思う人が仕事できる環境を作りたいと思っています。例えば、障がいの有無とかも関係なく、得意なことは得意な人に、苦手なことは、みんなで支えながら仕事をしていきたいと思っています。

特に農業の中でも、ハウス栽培農家はIT化が比較的進んでいるのですが、露地栽培農家は遅れをとっていると感じるので、当社のIT導入の手本になれたらと思って、IT導入をすることで、また若者がワイワイ楽しんで農業をやれるような世界を実現したいと思っています。

お試し期間中にちゃんと使う！（笑）

実は私、お試し期間の1ヶ月ほとんど触らなかったっていう悔しい思い出があるんですよ。終わる5日ぐらい前になって、やっとkintoneを知ったきっかけである、蜂谷さんへ個人的に相談に行きました。

その時に、「kintoneを導入したいと思ったのって僕が勧めたからじゃないよね。でもなんか良いなって思ったんでしょ？そう思った理由ってなんだったの？」という話を頂き、改めてやりたかったことに気づかせてもらったんです。やっとそこでスイッチが入った感覚です。

今振り返ると、いろいろやりたいと思って動けずにいたんだなと。重く考えて動けなくなるぐらいなら、ちょっとこれだけでもという軽い気持ちで、ちっちゃい業務から、お試しで期間中にやってみて、それで自分たちに合えば続けたらいいしって思います。

お試ししている時点で、皆さん何かしらきっかけがあると思うんで。目指している先は大きな道でも、まずはその道に通じる一歩目を踏んでみることが重要なんだと思います。

1ヶ月お試しする分には、きっと時間もお金も無駄にならないはずです。