最初に手をつけたのは紙運用をしていた残業申請です。時間も紙ももったいないと思いまして、Excel化し手間を減らしました。

他に、注文書のExcel改良にも取り組みました。自動採番化し、台帳とは別に入力用のシートを作って、入力すればそのシートに自動転記されるよう村上さんの方でルックアップのマクロを組んでもらい、頻発していた入力内容の間違いを減らしました。

いえ、全く知らないところからのスタートでしたね。勉強しながら作成したので非常に大変でしたが、徐々に紙からExcel、さらに関数やマクロも活用して使いやすいように改良していきました。

ただExcelだと、使っていないのに開きっぱなしで他の人が編集できないという、複数人が同時に作業することが難しいという問題がありました。

また、自社のファイルサーバーにファイルを保管していたのですが、自分のパソコンにダウンロードして、そこで最新版を作っていましたということがあったりして…。

そうなるとどれが最新版なのかわかりませんし、データ量も増えて動作が遅くなってしまって、管理しきれない状態でした。

あとは当時、紙の稟議書の決裁を得るまでに時間がかかるという問題がありました。海外にも拠点があるため、そことの行き来が多く、決裁者が日本にいないことでタイムラグが生じていたんです。そこで、スムーズに決裁できるようシステム化したいよね、となりました。

全体的にこうした方がいいなあというイメージはあったものの、具体的にどうするかまでは定まっていませんでした。そこでまずは、データベース上で情報の管理ができて、決裁のスピード化が見込めそうなワークフロー機能がある製品を、伊藤さんに探してもらいました。

検討段階でkintone含め3製品を候補に上げていました。実際に試した上で、お付き合いのある富士フイルムさん^※に相談したところ、kintoneをおすすめいただいた、という流れで導入に向けて進み出しました。

1人あたりいくらかかるかというコスト面での比較は重視しました。また、システムの自由度の高さも評価したポイントです。kintoneは業務に合わせたテンプレートがありますし、JavaScriptやプラグインといった拡張機能を使うことで、業務をより自動化できるイメージが持てましたね。

いざ自分で触ってみると、単純にフィールドを置いて好きな内容を入力するだけで、次々と改善案が浮かんでくるんです。Excelで入力していた業務や、他の業務も簡単にアプリ化できそう！という気にさせてくれました。

まず、導入することに対しての社内への説明ですね。実際の流れと効果を示した資料を作りました。

間接作業を減らせますと説明しましたが、会議では「それはお金を生むことなのか」という意見もいただきまして…心が折れそうになりました（笑）

「これまで発生していた事務作業が減って、その分、別の仕事に時間を使えます！時間を生みます！」と説得してまわりました。

ただ実際、使ってもらわないと効果を実感しにくいところがあったと思います。新しいことに挑戦することに対して壁もあったかもしれません。1人あたり月額1500円というのも最初はギョエっとされましたね（笑）

お試し期間中、説明会に参加した方にも実際に使ってもらって、その後こちらから声をかけて一人一人と話しました。すると「実際に使ってみたら使いやすいね」という声も出てきて、導入まで進めることができました。

全員が集まって説明する場だと、なかなか質問って出てこないと思いますが、1対1だと、不安や疑問に思っていることとか、使いづらいとか、そういうところを話してもらえましたね。

30日間のお試し期間で触ってもらうのは必要だと思います。複数人で飽きるほど触ってもらうことで、どういう動きをするのかが把握でき、効果を実感しやすいので、導入に踏み切る際にスムーズに進めると思います。

導入にあたって、費用対効果を数値で表し、効果の見える化をしたいと考えました。そこで、注文書と営業見積書作成に従来かかっていた時間と実績を計算して、会社全体で年間56.8時間ぐらいの業務時間削減になるという具体的な数値を出し、費用以上の効果が期待できるシステムであることを説明しましたね。

最初はExcelで運用していた注文書をkintoneに置き換えるという形でスタートしました。極力使用する人が入力の違いを感じさせないような配置にすることを意識しましたね。

また、スマホ上で承認ができる点は、時間や手間を低減できるイメージを持ってもらいやすかったと思います。

受注してから納品までの進捗管理ですね。生産状況の見える化をしたいと考えたからです。

情報を共有し蓄積して、それを会社の財産にしていくことが大事ですので、kintoneというプラットフォームを活用し蓄積していくことにしました。

元々Slackというメッセージングアプリを使っていて、情報の共有はスピーディーに出来ていますが、共有されたデータの蓄積にはkintoneが最適だと感じています。

中心は全社の受注データをすべて集約している「受注案件アプリ」ですね。このアプリに受注案件ごとに各工程の作業進捗情報をすべて関連レコード^※で表示しているので、入力する側が該当アプリをわざわざ検索する手間を削減しています。また、業務単位でアプリを作成し、１つのアプリに対しての登録項目を極力減らすことで、入力する側の負担が少ない仕組みにしました。

また、気軽に入力できるようにタブレット端末を導入し、現場に優しい運用を心がけています。

各部署に対してヒアリングしたり、元々使用していた書類を確認して、それを元に私の方でドラフトを作って、実際見ていただきながら調整しましたね。

自社固有の業務は当然ありますが、システム検討の段階で、自分たちの業務フローを一から見直しをすることが必要です。どう便利に楽になるかと、何が足りないのか、という視点が大事になってくると思います。

正直、kintoneにも苦手なことはやっぱりあるので、Excelでできる便利なことを無理に置き換えなくて良いと思っています。なのでkintoneとExcelを連携させながら、kintoneを中心に情報を集約できる環境を構築したいという風に考えていますね。

アプリは都度修正していまして、「新しい機能をつけてほしい」という要望に対して、細かい対応が必要な時はJavaScriptを書いて、 開発者用のライセンス  ^※で検証をしていますね。

公式ホームページやヘルプ、 cybozu developer network  ^※といった、わかりやすく説明してくれているコンテンツがあるので、定期的に利用しています。情報量も充実しているので、新しい発見も多いですね。

運用担当としては、メンテナンスがとても楽になりました。Excelで運用していた時はフォーマット等を修正中、誰もファイルに触れないのでその間みんな仕事ができなくなる不便さがあったのですが、kintoneだと通常の業務を行ってもらいながら気兼ねなく修正が出来るようになりました。

ワークフローがスマホで申請から承認までできるようになって、紙運用のようなタイムラグがなくなりましたし、PDFをレコードに添付できるようになったので、印刷する必要がなくなり紙自体もかなり減って、本当に助かっていますね。

ネットさえ繋がればどこでも注文書、営業見積書を作成できるようになって、かつ申請も決裁もできるので、とても便利で心理的に楽になりました。

営業で受注した案件の注文書を元に総務で書類を発行する際に、今まで営業と総務でほぼ同じ内容を別々のファイルに入力するという、二度手間な業務があったんですね。

この業務をアプリ化してもらったのですが、営業でkintoneに案件情報を先に入力してもらえれば、必要な書類がワンクリックで発行できるようになりました。

また、紙の運用だと私が居ないと保管場所がわからない状態でしたが、今はデータ上にあるので、不在時でも属人化せずに他の方に対応してもらえるようになったので、そういったこともだいぶ便利になったと感じています。