まず、紙でのやり取りがとても多いなというのを課題に感じていましたね。

ここから車で5分くらいのところに鶏を飼っている農場がありまして、鶏舎の温度や死亡鶏の羽数などの日々の記録は全部紙でとっていました。

養鶏業って、特に冬の間は鳥インフルエンザがとても怖いんです。普段よりも数値をしっかり把握しておかないといけないのですが、事務所にいる私が、今鶏がどれだけ死んでいるのかというのを知りたくても、農場側で紙をひっくり返さないと分からないので、タイムリーには分かりませんでした。すぐに集計もできませんしね。

Excelでも管理はされていたのですが、いざ見せてもらうと、表形式にはなっているけど無意味な列があったり、計算式じゃなくて文字列として入力されているといった状態で、解読できるデータではなかったんです。

このように、何か必要なデータを見たくても、事務所と農場で情報が分断されているのですぐに見れない状態でした。

データをすぐ見れない状態で、かつそのデータも整理されていないので、今後の計画とかを立てる上で、考えるネタがありませんでした。そもそも、死亡鶏の羽数や卵の個数など、土台となる基礎データの部分がわからないという状態だったので、これはさすがにまずいなと思いましたね。

紙で管理していたり、Excelで管理していても、それが分析に使えるデータの形式ではなかった、というところが一番大きい課題でしたね。

課題解決のために、最初はExcelでマクロを組もうと考えた時期もあったのですが、人手が足りない中で「誰がやるんだ？」というのと、将来、私に何かがあって管理できなくなった時のことを考えると、現実的じゃないなと思いました。そこで新たなツール導入の情報収集を始めました。

元々サイボウズOfficeを出先からスケジュールやメールの確認をするために使っていたのもあって、kintoneの話を聞いたことはありました。気になっていたところで、お世話になっているテクノルさん^※に「kintoneどうだべ？」と相談してみると、「いいですよ！面白いですよ！」と後押ししてもらいまして。その勢いで、じゃあ導入を考えようかという流れでしたね。導入まではわりかしトントン拍子でした。

そうですね、kintoneであればリアルタイムに情報共有ができると考えました。あとは、アプリ設定が簡単そうだなというところと属人化を防ぐことができるという点も選んだポイントでしたね。

現場はスマホ運用がメインなので、まず、使い慣れている30〜40代のスタッフに先行して入力してもらいました。実際、3人とも普段からLINEのようなSNSツールでの情報のやり取りに抵抗がなかったので、モバイルからの活用もスムーズだったと思います。

ただ、70歳を超えたスマホを使い慣れていない世代のスタッフには、入力に関しては強制しないことにしました。もし入力したいと言ってくれるのであれば、できるスタッフがフォローしてあげてねとは伝えましたね。

あとは、数値入力する時間をしっかり確保しています。例えば現場の作業は4時半で終わって、そのあと15分くらいで入力したりする、という感じで報告は優先順位の高い活動であることを徹底しています。入力する画面も本当に必要最低限の、基本的には紙で管理していた記録内容からあまり変えないようにしましたね。

そうですね、みんな最初からkintoneへの入力をしてくれたので、トラブルもなかったです。逆に「ここもうちょっとこういう風にしてくれた方が入力しやすい」とか要望をもらって都度修正しましたね。

最初は、「データの入力だけやってくれればいいよ」という、ハードルを下げてスタートして、ある程度kintoneの使い方自体に慣れてきたら、次の段階で、スペース^※のスレッドに色々と連絡事項を残すようにしてもらいました。

卵の出荷の個数とかの連絡をどうしようかとなった時に、女性のスタッフに「このスレッドにどんどん書き込んでいってほしい」と言うと、スッと書き込んでくれましたね。

次にその人が先生役で、他の男性スタッフに「社長に何か言いたいことがあれば、このスレッドに書けばいいよ」と教えてくれました。そうすると自然に書き込んでくれるようになりました。

ほとんど紙で書いていた内容と同じで、見えている情報とやったことを入れてもらっています。

データ入力を始めた頃、数値の変化が大きい場合、朝イチに電話して経緯の確認をしていたんです。ただ、この運用だとお互いに作業を止めてしまうことになるので、今は電話はやめて、アプリの死因欄に記載してもらう運用にしました。

結局、鳥インフルエンザは土日関係ないんですよね。土日でもどこかの農場で陽性が出ちゃうと、発覚して2時間後とかには県の担当部署から「状況のデータと、死んでいる場合は理由も全部教えてください。」と、電話が来るんです。

紙で管理していた時であれば、一度農場に行かないとデータを見れないので即答できませんでしたが、kintoneに移行したことで、前日までのデータはすぐに見ることができます。「前日まではこうでした」と、農場に行かなくても回答ができるようになりましたし、正確な農場の管理ができるようになりましたね。

ポータル画面で、死亡鶏の数値トレンドを見れるようにしました。パッと見で農場が今いい状態なのか悪い状態なのかという判断ができるようになりましたね。

あと、ポータル画面には、毎日卵をどれくらい産んでいるかを過去2ヶ月分出すようにしています。

今までは農場長しか把握してなかったので、私はほとんど知らなかったのですが、このアプリで管理するようになって一目で数を把握できるようになりました。卵の量が減っている際には「改善するために工夫していることとかある？」というのを、すぐに聞けるようになりましたし、安定供給しやすい体制に改善できたと思います。

死亡鶏と卵の個数は農場では1番キーになってくるので、お互いにトップ画面を見ながら、「ちょっと今卵が少なくなっていますね」とか「だいぶこのロットは回復してきましたね」というのを話せるというのは、大きいですね。

kintone導入時期に、町内の産直施設（ふれあい市ごのへ様）に直売所を移行したのですが、そこの在庫管理もkintoneですることにしました。スタッフが何日かごとに物を補充しに行ったり、引き上げたりという作業をしているので、その際に在庫の入力をお願いしています。何が何個売れたかを入れていくだけの簡単な作りにしました。

これはkintoneのアプリテンプレートを使っていますよ。

月末になると、産直施設の品出しを担当している人がこのデータを持って店舗にある個数を確認して差異がないかどうかをチェックするという流れが定着していますね。

フォーマットとしてExcelを使っていますが、kintoneに出ている数値を単純にExcelに入力するだけですね。他にも過去2年分のデータも出すように言われているので、その場合も選択すれば見れるので、作業時間はかなり減りました。

月々の締めが終わった後に、都度kintoneからデータを書き出して、Excelに読み込ませるという運用にしたので、20分もあれば充分できるようになって、作業的にとても楽になりましたね。

離れた人たちと同じデータを見ることができて、かつ、そのデータを元に、現状把握や未来に向けた会話が一緒にできるところかなと思います。

あと何より、グラフですぐに出せるというのは結構大きいなと思っていますね。なんとなくわかっているけど、それが本当にそうなのかって、数値やグラフで見てみないとわからないじゃないですか。実際、コロナ渦でも、丸鶏^※がコロナの影響をあまり受けず、ニーズもどんどん伸びていることがわかりました。

そうです（笑）丸鶏で出した方が効率も良いので、じゃあもうちょっとここを強化していくために羽数増やそうか？とかいう議論もできますしね。

いきなり最大で契約しなくてもいいかなと思います。私たちも、最低ラインからスタートしましたが、それでもできることは実際多いので、まずは小さいところからスタートするところかなと思いますね。

機能もユーザー数もちょっと足りないぐらいからスタートして、あれもできる、これもできる、とまずは効果を実感できる方が良いのかなと。ただ、どうしてもこう使いたいけど、その時にライトコースじゃできないとなったら、その時はアップグレードを考えようか、というのもありかなと思いますね。仕組みをちょっと変えることでカバーできるのであればそっちのほうが安上がりですし（笑）

ライトコースでどれだけできるかチャレンジしているところはあります（笑）サイボウズOfficeもkintoneも最低5ユーザーだと、小さい会社でも5人くらいで使うことを想定すれば、結構ミニマムでスタートできるのは嬉しいですね。