ITツールを使って営業日報をはじめたものの、日々の成功や失敗体験をタイムリーに共有できておらず、日報そのものが形骸化していたことに課題を感じていました。

当時、営業の日報は、手組み^※のシステムを使用していました。IT化してはいたものの、紙に出力して各部署で回覧する、という運用をとっていて、コメントをするにも書いた本人にしか伝わらず、組織で学びになる情報共有ができていませんでした。

また、回覧によるタイムラグが発生していて、書いた側からすると書いてすぐにコメントがほしいのにもらえない状態でした。こんな運用では書く側のモチベーションは下がりますよね。

システムそのものの改修も検討しましたが、変更を加えるのは負担も大きく、費用対効果の観点で断念しました。結果的には、時代の変化に合わせて使い続けていくプラットフォームとしては、適していないと思ったのです。

そこで、製造や経理、営業など複数の部門を経て、情報システムの担当役員になったことをきっかけに、まずは営業日報を見直すことにしました。

私自身はプログラミングや開発ができるわけではなかったので、ノーコード^※ツールに興味を持っていました。手組みのシステムは都度外部に相談するため、スピード感やコスト面でも進めにくい。そんな時、kintoneに出会いました。

そうですね、サイボウズさん自体は前職でパッケージ版サイボウズ Officeの導入を検討したこともあって存在は知っていました。2016年に、クラウドで利用できる新たな製品がリリースされたことを知って、30日間の無料お試しに申し込んだことがスタートでしたね。

当時の我々のゴールは、営業日報という特定の業務課題の解決であり、その改善ができれば良いと考えていました。そのため、いろんな機能を使っていろんな業務を改善したかった訳ではなく、営業日報を改善できるツールを探していたんですよね。

kintoneに何か足りなかった点があるというよりも加点方式で、標準機能を比較した際に、チャットアプリが備わっていることは加点のポイントでした。

使っている内に、自分たちで好きなようにカスタマイズしたい、という欲が出てくるんです（笑）実際、kintoneの開発者ライセンス^※を利用しながら情報収集や機能評価は続けていました。

その時重宝したのが「cybozu(サイボウズ) developer(ディベロッパー) network(ネットワーク)」です。開発の専門知識がなくてもカスタマイズができますし、触っていくうちに自分たちでできる範囲も明確になってきて、やっぱりkintoneいいね、と思うようになりました。特にコマンドラインツールのcli-kintone(クリキントン)^※はお気に入りです。

はい、「もう1回提案してみない？」って。

販売会社である一ノ蔵酒類販売^※と、一ノ蔵の役員・管理職、あとは営業に対して情報発信の多いマーケティング部門や商品開発のメンバーが使用している状況です。

ただ、書き込みはしないけど閲覧はしたいというニーズはあり、ひと工夫しています。例えば、相談役からは営業日報に対して毎回即時にコメントするまででもないけど状況は把握したいとう声がありました。

その人たちに情報を共有するため、kintoneに登録された日報をcli-kintone(クリキントン)でCSVに書き出して、 Python(パイソン)^※で見やすく整形し、Excelに変換したデータをメールに添付して送信する、という方法をとっています。

ライセンスも無料じゃないので、見るだけでいい人と使っていく人とで分けられれば、メリハリのある運用ができ、費用的な部分でも随分抑えられますからね。

サイボウズ Officeの方に依頼フォームがあるので、そこで「こういうアプリ作ってほしい」といった業務改善要望を受けるようにしています。

はい、サイボウズ Officeは一ノ蔵グループ全社で利用しており^※、スケジュール管理や他の機能だけでなく、幅広く要望を受け付ける役割をも担っています。シンプルなワークフロー申請についてはサイボウズ Officeの標準機能で十分運用できますし、業務内容によってkintoneと使い分けていますね。

仕組みづくりとしては、1〜2ヶ月ぐらいですかね。最初マーケティング部門から、実装するために外注するとこれくらいの費用がかかるという見積もりが来たのですが、単純に高いなと…そこで、自分でなんとかできないかと思い、トヨクモ社のフォームブリッジ^※と連携すればできそうだなとなりました。

そうです、回答者にはフォームブリッジから自動で正解・不正解のメールが届く仕組みですね。フォームブリッジを使うのは初めてでしたが、元々、見積書の発行や、ハガキを出すときに同社のプリントクリエイター^※を使っていて契約はしていたので、導入障壁も低く、コストを抑えてキャンペーンがスタートできました。

経営判断のスピードアップ効果を感じますね。kintone導入の、当初の目的は営業日報でしたが、今や様々な場面でkintoneを活用しています。

その中でも、プロセス管理^※を活用した稟議アプリは、どこで申請が止まっているか一目でわかるようになったことで、経営陣が業務を止めない仕組みを作ることができました。

というのも、一ノ蔵は4人で経営しているので4人の決裁が必要なことが多いんです。今まで役員決裁だと、判断まで時間がかかり決裁が止まっていることがよくあって、進めるのに時間がかかっていました。これをアプリ化して、毎週の会議で進捗を共有するようになったことで、自然と判断スピードが速くなっていきましたね。

私は商品開発の担当でもあるのですが、そのチームは大崎市の本社にいて、私は普段、仙台市にある酒類販売の方の事務所にいるんですよね。物理的な距離があるため、すぐにハンコ押してくださいというのは難しいのでプロセス管理が活躍しています。

また、商品開発のタスク管理やプロジェクト管理などもkintone上に情報が1箇所に集まっているので、開発商品の進捗もそこを見れば私もすぐにわかるし、わざわざ「どうなっているの？」と聞く必要がなくなりました。

いえ、入力項目には変化がないようにシンプルにしました。既存ツールのデータもkintoneに読み込んだので、入力する側からするとシステムが変わったという感覚だけで、抵抗感なく入力してくれたと思います。

私が作りました。写真やデータを添付する項目については、追加しています。自分達がほしい項目を簡単に追加することが前はできなかったので、自由にできるようになってとてもよかったです。

蓄積されたデータを正解率だけでなく、各世代の嗜好をグラフ化して分析に使っています。また、今回の甘辛チャレンジに参加した人の中で、メルマガ購読を希望した人の割合を出していまして、全体の3割の人が新規購読を希望してくれているんですよ。

人事評価の仕組みをアプリ化しました。各従業員の上長と担当役員が入力していく形ですが、過去の評価履歴をたどれるように、Excelで運用していたデータも取り込んでいます。

入力の部分で言うと以前とさほど違いはないのですが、1画面で過去の履歴を追えるようにしたいというところからkintoneに移行しました。もちろん、人事情報なので見える範囲は細かくアクセス権を設定していますよ。本人に説明する時もこの画面を見せながら説明ができるので便利に活用しています。

また、部門ごとに評価者が平均でどのくらいのスコアをつけているかを集計しています。評価基準が甘い人と厳しい人の差を少しでもなくすため、評価者の間で見える化しています。