当初は、社有車の管理や会議室の予約を可視化したかったのと、社内外のメールでのやり取りが煩雑化していたところをなんとかしたい、というところが課題でした。コミュニケーションを円滑に行うためのツールとして、グループウェア^※の情報収集をしていました。

そもそも、会社としては進んでITツールを入れたいわけではなかったのですが、中途入社のメンバーが前職でグループウェアを使用していたことがきっかけで、課題を解決するためにもIT化を進めることになりました。

情報収集の一環でIT展示会に参加したことがきっかけで知りました。そこでは、グループウェアのGaroon^※を目当てにサイボウズさんのブースに寄ったのですが、横で開催されていたkintoneのハンズオン^※を見て心を奪われたんですよね。大きなモニターの前でドラッグ＆ドロップでアプリを作っている姿は衝撃的でした。

うちの場合だと“開発依頼書”という書類がありまして、こんなシステムを作ってほしい、と紙1枚で依頼されるんです。受け取ったはいいものの、都度AccessやVBA、Excelのマクロなどで一からシステムを作っていて、情シス2人で対応することに対してどこかで限界を感じていました。

開発依頼をさばくだけではなく、基幹システムが自社開発ということもありまして、仕様変更の適用にも手一杯な状況でした。ただ、情シスが大変なだけで会社全体としての課題と認識されていたわけではなかったんですよね。

そのため、導入時には、その課題感と私が受けたkintoneへのインパクトを経営層に伝えようと、kintoneを導入することで実現できる開発時間の削減を訴えて稟議書を上げました。

私としては、2017年の設立100周年という大きな節目に合わせて、インパクトのある取り組みを始めたいという気持ちもありました。kintoneはそのチャレンジにぴったりのツールだと感じましたし、kintoneと連携できることを期待して、Garoonの導入も決めましたね。

導入前に比べて開発時間をだいぶ減らせたのと、何より、相談をもらってすぐに回答できるようになったことが1番よかったと思いますね。

以前は、要望に沿ったシステムを開発する際に、プログラミングのソースコード^※を書き始めるとなんでもできてしまうので、凝って時間がかかりがちでした。

kintoneの場合だと、すぐにアプリができますし、簡単に変更や修正ができるので、最初から100点を目指さなくていいじゃないですか。しかも、kintoneは自分でゼロから開発するなら諦めてしまうところを、プラグイン^※に頼ればいろんなことができますしね。

利用者の目線でいうと、データを身近に感じてもらいやすい工夫もしています。例えば、私と角田で、基幹システムに入っている売上や仕入れ価格、得意先など伝票のデータをkintoneに読み込んで、手軽に入手しやすいようにしています。

以前は、基幹システムのデータの書き出しは情シス作業だったのですが、今はkintoneから利用者自身で検索し、取得できるようになったので、私達の負担や手間もガクンと減りました。

最も規模が大きい発泡プラスチック事業本部で認知・活用できるアプリがあると良いなと考えました。その中でも、営業部門で管理している顧客情報を、1箇所にまとめられた方がいいのでは？という構想を事業部長に持ちかけたのが最初です。会社全体に発信というよりは、影響力のあるところに対して小さく始めた感じですね。

Garoonについてはメールのアカウントを持っている従業員全員に付与していますが、kintoneについては、業務利用で必要になった方々に都度付与しています。

スタートは、情シスから利用を“提案”した形でしたが、現在は他部門からの業務改善に関する“相談”を受けてアプリ化を進めることの方が多いんです。

相談をもらって、その場でささっと作ったkintoneの画面を見せて、向こうが「いいね！」と、前向きな意思があれば付与する流れですね。目の前ですぐに作って見せられるところがとても大事なんです。

アカウントを持っていても使わなければもったいないですし、必要な人が必要になったタイミングでお渡しすることにしています。

アカウントを付与した後のアプリ構築については、相談に来た方と一緒に作っていく流れをとっていて、角田とも意見を出し合いながら、何度か打ち合わせを繰り返して完成まで進めています。

グループウェアの基本的な機能である、スケジュール・メッセージ・掲示板・施設予約・スペースといった、会社全体でのやり取りに関してはGaroonです。kintoneに関しては、蓄積したい情報を管理するツールとして使用しています。

そもそも、社内のIT化を進めるにあたって、ITツールや情報をできるだけ集約させたいと考えていました。

そのため、Garoonのポータル画面をカスタマイズ^※して、kintoneを表示させています。kintoneのアカウントを持っていない人には表示されませんが、これでkintoneの利用者は、両方を別々に開く必要がなくなりましたね。

案件管理アプリは、サンプルアプリ^※にある営業支援パックをベースに、必要な項目を洗い出して追加していきました。

また、案件管理の情報を毎月の営業会議資料に紐づけるため、krewSheet(クルーシート)^※を使って、アプリから書き出したCSVデータを専用のExcelに取り込み、紙に出力し会議に持っていく、という流れをとっています。

Excelですね。あとは、営業の頭の中や、会議資料を見て初めて情報を得る感じだったようです。

全営業所、リアルで説明会を行いましたね。当時はWeb会議もありませんでしたし、近い拠点には来てもらい、その他は直接出向いて説明しました。

予算管理アプリですね。以前の運用は、各営業所で営業がまとめた予算を、営業所単位でExcelにまとめて、次に、各営業所で作成したExcelを本部で1つにまとめて、その後まとめたデータを各営業所の事務員の手で基幹システムに入れるという運用で、最終的にはデータに差異がないか情シスが確認をしていたんですよね。

予算修正がきたりすると、また最初に戻って、また基幹システムに入れて…と、とても手間と時間のかかる運用でした。そこでこの業務を全部kintoneに置き換え、2022年10月からアプリ化を実現しました。

今はkrewSheet(クルーシート)^※を使って、各営業所から予算を入力してもらうだけの運用となり、営業所毎、事業部門全体での集計も可能です。すべて入力できたらCSVに書き出して、基幹システムに読み込む仕組みです。

発泡プラスチック事業で関わる、複数の協力会社さんとの情報共有手段として活用しています。

今まではメールでやり取りしていたのですが、図面の送受信が多いため、データ容量が大きくメールボックスがすぐいっぱいになってしまったり、訂正があった場合にどの案件のどのメールが最新か探すのが大変だったり、煩雑な状態をなんとかしたいと相談が入ったんです。

アプリではプロセス管理^※を使って依頼〜出荷を管理し、コメント欄を活用することで、納期の急な変更にも混乱せず対応できるようになりました。

また、ミーティング議事録などについてはスレッド^※を使っていて、ポータル画面にあるマニュアルは、スレッドをリンク先にしています。メンテナンスが簡単になるよう、スレッドにマニュアルを準備しておいて、アイコンをクリックするとスレッドに遷移する仕組みですね。

より内製化を進めていきたいですね。現状は対面開発という形で、相談をもらった部門と一緒にアプリ化を進めているところですが、その際に相談する側も業務を洗い出す必要がありますよね。

誰が関わっていてどんな流れで、どんな様式のデータや紙を使っているの…といった、相手にとっても業務を見直すいい機会かなと思うんです。

であれば、各部門に私たちの分身を作って、自分たちで業務の見直しから、アプリ作成や修正を回していけるようなサイクルを作れば、部門内で完結できるので、情シスへの属人化を防ぐことができると考えています。

kintoneを次世代につないでいくためにも、後継者を作ることは必須なので、『自分たちでできたんだ』という、小さくていいので成功体験を積んで自信を持ってもらいながら、輪を広げていきたいなと思いますね。

はい、建設部門から出てきています。kintone界隈はユーザー同士のつながりやコミュニティー活動が盛んなので、そこを肌で感じてもらって、情報収集だけでなく他業種の方やいろんな方と交流をはかってほしいなとも思っています。勉強にも刺激にもなりますから。