「社長、いつもいないね…」
現場の疑心暗鬼を解消できたのは、
数字も弱音も“丸はだか”にしたから
株式会社京屋染物店
- エリア 一関市大手町
- 業種 製造業
- 従業員数 10~29名
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岩手県一関市にて、法被や半纏、浴衣などの祭り用品を製造し、デザインから染め、縫製までを一貫して行う京屋染物店様。100年以上続く同社では、染物以外にも、2019年に誕生した自社ブランドである『en・nichi』商品の販売にも力を入れています。
そんな同社では、2016年にkintoneを導入し、数々の業務改善を実践され、2017年のkintone AWARD※ではグランプリを受賞しています。本事例では、2010年に社長に就任された蜂谷様と、2018年に入社され現在は蜂谷様の右腕として活躍されている、ブランド開発事業部長の庄子様に、導入前の課題から活用効果を改めてお伺いするとともに、現在も活用が進んでいる背景や、ITツールを活用していくにあたっての重要なポイントについて伺いました。
※「kintone AWARD」とは、kintoneを活用した業務改善ノウハウをユーザー同士で共有しあう交流型イベントとして、2015年から開催している「kintone hive(キントーンハイブ)」の集大成。この1年で最も素晴らしい活用をした企業を表彰するイベントのこと。京屋染物店様の当時の登壇内容は こちら から
※取材に伺った『縁日 』は、『en・nichi』商品やセレクト商品を扱う、カフェを併設した実店舗で、古民家を改修し2023年4月にオープンしました。
INDEX
導入の背景
先代から続く紙での顧客管理。暗黙の了解になっていた繁忙期の残業
先代の父から続く残業の削減と、父の頭の中や、紙の台帳で管理していた顧客管理の電子化が……
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導入後の裏側
成功の先に待っていた現場との対立。本当に必要なのは包み隠さず向き合うこと
顧客管理はもちろんのこと、業務フローの見える化で残業も削減できましたし、当時で、創業以来最高の……
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活用のポイント
社長ひとりではなく、みんなで一緒にゴールを設定する
自分1人ではなく、みんなでゴール設定をすることですね。 kintone導入時には、“何のために仕事をするのか”……
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大越
紆余曲折があり今に至ったという印象を受けましたが、活用していくためのポイントについて教えていただけますか?
蜂谷 さん
自分1人ではなく、みんなでゴール設定をすることですね。 kintone導入時には、“何のために仕事をするのか”“なんで見える化する必要があるのか”を、共有するようにしました。
大越
例えばどのように落とし込んでいくのでしょうか?
蜂谷 さん
例えば“私は家族のために仕事している”なら、残業を減らせば家族との時間を増やせますよね。そのゴールを目指すためにどうすればいいか、逆算して考えていくイメージです。結果として、みんなが現状を変えないといけないという意識になりましたし、活用がスムーズに進んだ要因にもなりました。
手書きから入力形式に変えデータが溜まっていけば探す手間も省けて、無駄な時間を減らせます。そうすると残業も減らせるね!と、みんなが納得した上でkintoneを活用してくれましたね。
蜂谷 さん
もう一つ、ゴールを目指すためには業務の棚卸をすることが必要です。どこで今1番詰まっていて、何が滞っていることで残業やクレームが多くなっているかなど、原因を突き止めるんです。
実際、Excelへの二重転記や、契約書のチェック待ちといった、余計な仕事が見えてきました。契約書の内容チェックなんて、2〜3分で済む作業ですが、営業担当がうっかりして2〜3日もお客様をお待たせしていたんです。
こういった滞りをデジタル化して、リマインドや通知がくるように設定すれば解消されますよね。仕事がスムーズに流れて、「残業せずに帰れそう」とみんながイメージできれば、「システムを導入したほうがいいよね」とおのずと必要性を感じてくれます。
大越
おお〜!ワクワクするお話ですね。“みんなで”ゴール設定するだけじゃなく、業務の棚卸をすることもとても大切なことなのだと感じました。
蜂谷 さん
アプリ作成は私が行なっていますが、基本的に今も導入当初も同じで、社員からの申し出なんですよ。社長がトップダウンで利用を押し付けるのではなく、“みんなにとって必要だからシステムを導入する”方が絶対使ってもらえると思います。
大越
京屋染物店さんではアプリ間の連携が充実していますよね。アプリ作成者の蜂谷さんとしては意識されていたのでしょうか?
京屋染物店様のアプリ間構成図(2023年10月時点)
蜂谷 さん
無理に連携させようとは思っていないです。顧客管理から始めて、販売管理や受注管理、納期管理とどんどん活用範囲が広がっていきました。
kintoneの良いところは、拡張性と発想次第でいくらでも連携でき、連携サービスを使えば自動化や簡素化を可能にすることもできるところです。要望に応じたアプリを作りつつ、他のアプリと連携することで利便性が増すなら、活用すると良いと思いますね。
効果とアドバイス
経営情報をオープンにしていたからこそ育まれた、社員の自主性
業務フロー全体が見える化されたことで、どこが無駄な業務になっているか、利益率が高い商品は……
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活用例①
【見える化】顧客管理アプリ
顧客情報からメールの履歴、販売管理や顧客ごとの情報を集約して……
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活用例②
【自動化】日報アプリ
日報は活動履歴と紐づいていて、日報を作成すると自動的に……
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活用例③
【簡素化】勤怠集計アプリ
元々は機械で打刻するタイプの紙のタイムカードで管理していたのですが……
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取材日:2023年10月