紙をなくしたいと思ったのが、（kintone導入の）きっかけです。もっというと、リアルタイムに情報の共有・集計を行いたかったんです。

各店舗の勤務日報や売上日報業務がそれぞれ1枚の紙になっているのですが、1カ月分を記入して郵送で受け渡しをしていたので、本部にそろうのが翌月の月初になっていました。つまり1カ月前の情報が翌月手元に届くのです。正直それを見てもしょうがないんです（笑）。

というのも、大事な情報は電話でリアルタイムで確認するので、1カ月前の日報を見たところで…って話になってしまい、実際は確認する機会も減っていました。
また、紙の受け渡しのために「本部行」と印刷した封筒を準備して、そこに切手も貼って各店舗用に準備する事務も負担になっていたと感じています。

最初はどっちかというと日報管理の専門のサービスを調べていました。その時期ちょうど、会社貸与のガラケー （フィーチャーフォン）をスマホにしたんです。せっかくスマホを持ったなら、使わないともったいないという気持ちもありました。

ただうちが主に利用する層は40代から60代のスタッフ。今回初めてスマホを持ったって人が結構いたんですよ。それまでガラケーだった人も多くて。スマホを初めて貸与する際も、実はものすごい反発だったんです。使いこなせない高い端末をいきなり貸与されても困る…って。そこをまあなんとか説得して導入した経緯もあり、操作性に関してはこだわりました。やっぱり簡単じゃないと。

調べていた日報システムは現場の方の使いやすさとか、そういったところがちょっと難しくて。そこも含めスマホからかんたんに使える良いサービスはないか、元々お付き合いのある鈴弥洋行さん^※（以下パートナー）に相談をした時に、kintoneを紹介されました。

1番よく使っているのが、勤務日報と売り上げ日報です。紙のときのような時間差がなくなりリアルタイムで状況が見えるようになりましたね。ポータル画面からすぐにデータ（レコード）登録できるようにしています。

それから、店舗情報アプリ。店舗に関連する各アプリの履歴が全部ここに集約されているんですよね。店舗のカルテみたいなやつなんです。59店舗分あります。

各店舗情報の画面に、気になったことをコメントとして残すこともできるので、店舗に関するちょっとした情報共有もできるようになっています。

トラブル対応アプリもよく使っていますね。

まったく問題ないですよ。すぐに使いこなしてくれています。一応簡単なマニュアルは配っているんですけど、かなり簡単で実際いらないぐらいかもしれませんね。

1番気に入っているのが、参加者間でディスカッションしたり情報を共有したりするスペース^※のスレッド機能です。以前は報告や依頼等のやり取りは個人同士がショートメールで行っていました。

なので今までは誰が何をやっているかわからない状況が結構ありました。他の店舗で今起こっていることが関係者しか見えないので、当事者以外は結構他人事だったんですよ。

今はスレッドでそれがオープンになっているので、自分が担当ではない業務やエリアのことでも認識できます。その結果、ちょっとしたトラブルなど、なにかあった時には、担当以外でも援助ができるようになった。他人事じゃなくて、自分事にできるというか。その効果はあったと思います。

kintoneのアプリ構築は基本的にはパートナーさんにお願いをしています。あらかじめ社内で要望をまとめてパートナーさんに伝えておき、関係者が集まってその場で一緒にPC・スマホ画面を見ながらアプリを作成するという体制を作っています。

現場が使うものをみんなで「これだったら大丈夫だね」とか、「1回近くの店舗の人に使ってもらおう」という形でしっかり店舗側からのフィードバックをもらってという感じで進めています。

使いやすさを検証するため、スマホに慣れている人と慣れてない人の、両者にアプリへの入力を試してもらっています。入力がしづらいポイントがあったら即時修正というサイクルを導入当初から続けています。

はい。現場の要望が上がり次第、自分とパートナーさんとで日程調整して、当日打合せしながら2時間程度で作成してもらう。そこから細かな調整を入れて早ければ、1週間ぐらいでアプリ運用がスタートできちゃいます。

エリアマネージャーの方が毎日各店舗に行っているので、そこでアプリの使い方を教えたり、活用の状況も確認してフォローします。だから社内での展開が早い。

自社でやりきろうと思っても、日々の業務に追われてうやむやになりがち。結局やらないってなりそうなリスクもあります。今は思い立ったらすぐにパートナーさんに相談するので、スピード感もあり、時間をお金で買っている感覚です。

自然と上がってきていますね。最初に私がもう何やるにしても、kintoneだけで集約したいと伝えたせいかもしれません。kintoneで情報の一元化をすることにより、後から検索ができるとか経営判断につながると感じます。

なので私が現場の声を聞いた時に、まずは、kintoneのアプリで実現できそうかを考えるのですが、それを現場のスタッフも理解してくれているからこそ、自然と要望が上がってくるようになったのだと思います。

事務作業時間の削減につながったと思います。導入前の課題でもあった、月末月初の各店舗からの勤務日報・売上日報の転記・集計業務はなんと10時間から5分になりました！

これだけではないですが、kintoneの効果も相まってか残業もほぼなくなったんですよ。以前の紙運用だと手作業で紙からExcelに転記・計算を行っていたため、大変だったのと、転記や計算ミスも発生することがありました。

今は入力されたデータは自動集計ができるようになっているので本部の方は「ここの売り上げはすごくいいね」という話があがってくるようになり、数字を意識できるようになりました。今はまずデータをしっかりと溜めている段階ですが、今後はデータ活用についても取り組んでいきたいと思っています。