導入製品 サイボウズ デヂエ | かんたんシリーズ
企業情報
■会社名:
株式会社グレープストーン
■ホームページ:
株式会社グレープストーンホームページ
■利用製品:
- サイボウズ デヂエ
- サイボウズ Office パック EX 4
- サイボウズ プロジェクト管理 4
■業種:
製造業
■サーバー OS:
Windows NT 4.0
■管理者レベル:
兼任管理者
株式会社グレープストーン
営業部長 荒川 泰彦氏
商品管理部門リーダー 伊藤 明子氏
「東京ばな奈」の大ヒットで有名な株式会社グレープストーンは、1978年 7月に設立された。経常利益は右肩上がりで伸び続け、業界でも注目を集めている成長企業である。「東京ばな奈シリーズ」「西洋和菓子 銀のぶどう」「鎌倉菓子 鎌倉五郎本店」などの菓子事業を中心に、陶絵付けの教室「原宿 陶画舎」や和食器の専門店「田窯」などを運営する食器事業部、飲食事業部で構成されている。同社では、常に新しいマーケットを作り上げ、次々と新しい商品を生み出し続けお客様に喜んでいただくことが存在意義であると考えている。
株式会社グレープストーンでは、2000年 7月より「サイボウズ Office」を、2001年 6月より「サイボウズ デヂエ」を導入し、社内での情報共有化を進めている。今回は、同社の中で最も「デヂエ」を活用している「原宿 陶画舎」の運用に注目した。
※HACCP(ハサップ)危害分析・重要管理点・・・米国NASAがアポロ計画において宇宙食の安全性を限りなく100%に近づけるために考え出した食品衛生管理の手法。
導入背景と決め手
東京ばな奈で有名な株式会社グレープストーンでは、80% がお菓子事業部、15% が食器事業部、5% が飲食事業部という比率になっている。食器事業部の中には、和食器の田窯(美濃焼、有田焼、信楽焼などのお皿や器を市価の 2割引きで販売)、原宿 陶画舎(食器に絵を描く教室の運営、教材の販売、通信販売を行う)、洋食器のキャニオンがある。これらの各店舗はそれぞれが個性を持った専門店であるが、商品管理の統括や流通の仕組みは、食器事業部商品管理部門が行っており、営業部長 荒川 泰彦氏が統括している。
「うちの店舗は、それぞれが専門店。田窯は、デパートなどに置いていないようなおもしろい、味のある器を揃えてます。50円の小鉢から 120万円の壺まで、浅草の一店舗のなかにぎっしり詰まってる。これらの商品は、私たちが窯元をまわり直接買い付け、一般の流通にのらないような面白くて日常生活に使えるような商品を手に入れています。直接買い付けることで、コストを安くし、他店との差別化を図ってます。こうした器たちはまず定番というものがなく、仕入れた 18コ分だけしかない、ということがほとんど。そのため、いつ店に来ていただいても新しい品物があるのでお客さまに楽しんでもらえます。おかげさまでファンの方も多く、月 2500万円ほどの売り上げがあります。」(荒川氏)
一方キャニオンは、ウエッジウッドやマイセンなどの輸入食器、カフェスタイルの白い食器など全品市価の 20〜40% 以下で販売している。また原宿陶画舎は、陶絵付け(白い器に絵を描く)教室を運営している。陶絵付けとは、もともとはヨーロッパの上流階級の婦人の趣味として始まったもので、日本では海外駐在の外交官や商社マンの婦人たちが帰国後、サロンとして普及したことから始まっている。陶画舎では、陶絵付けを大衆向けに紹介し、単なるかざるだけの器ではなく、実生活で使えるものを作ることに重きをおいている。
「この教室は 10年前くらいから始めましたが、当時は白い器というものを扱っているところがなく、窯元を探し回り、岐阜の山奥にようやく白い器を作っている窯元を見つけました。あの頃はちょうどバブルでしたから、食器もきらびやかなものが流通にのっており、白い器は半製品(完成していない)という認識だったんですね。」(伊藤氏)
それぞれ特徴のある店舗を構えているのが強みである反面、品種が 2〜3万種類もあるため、その流通を統括しようとするのが困難であった。売り上げ管理には、dbMAGIC を使っていたが、流通のやりとりは主に Excel や FAX、電話で行われており、日に 100通の FAX が行き交うこともざらであったという。
「あまりの大変さに、受注から発注までシステムプログラムの中でやろうと試みました。とにかく四苦八苦していました。ただ、システムを組もうとしても、品が多い、店舗が多い、やっていることが全部違うため、2億円くらいかかると言われました。それを導入したとしても、どこか一つを直そうとしたら大変なことになることが目に見えたんです。
結局、各セクションで Excel を使ってました。どこでもかしこでも、自分仕様の Excel ブックがあって、もう Excel だ!、という感じでした(苦笑)。こういう状況だと社内は大変。みんなで会議をすると、このデータが見たいのだがと聞いても、『私の Excel にはそのデータは入ってないから作り直します』とか『分かっている人が休みだからわかりません』など言われる。必要な情報を集めるだけでけんけんごうごうです。その頃のことを思い出すと、本当にぞっとします。」(荒川氏)
売り上げと在庫の管理には dbMAGIC を使っており、専用回線でバッチ式で売り上げデータを送っていた。昨日の売り上げがバッチでこないと Excel が作れない、じゃあもっとバッチの回数を増やすか、いったい何回バッチすればいいんだ、という話になった。結局みんな Excel を作ることに 1日を費やしていたという。
「Excel を絶対廃止しないとだめだ、そう思いました。各担当は、仕事している意識= Excel になっていた。Excel は確かに便利だが、個人のテーブルで、個人の中でしか完結できない。その情報を活用したい人間が利用できにくい。まあ表計算ソフトですからね。システムで 2億円かかると言われたとき、『きっとそうじゃない、何かがあるはずだ』と思った。デヂエに会うまで探しに探したんです。専門言語を使わなくてもできるもの、Excel レベルが使える現場の人が使えるもの、バッチ式じゃなくてインターネット網で使えるものがあるはずだと思っていたんです。」(荒川氏)
自分がまとめた情報を他人に活用してもらえる方法を探していた時に、荒川氏は社内で使っていた「デヂエ」に出会ったのだ。
その頃、菓子事業部では、お菓子の売り上げ管理を「デヂエ」で行っていた。「デヂエ」を使う前は、店舗から送られる FAX や Excel を別の Excel に打ち込む専任の人が経理にいたという。阿佐ヶ谷のグレープストーン本社では、情報システム開発室マネージャーの佐々木 隆氏が「DBメーカー」(デヂエの前身)を知り、導入した。現在は、「サイボウズ Office 4」のリンク集に「デヂエ」へのリンクを作り、誰もが使えるようになっている。「サイボウズ Office」と同様に、Mac ユーザーでも使える WEB ベースである、簡単な操作である、雑多な情報を簡単にまとめられる、という点が導入の決めてとなったという。原宿 陶画舎の荒川氏は、この売り上げ管理の運用を見て、「これは」とひらめいた。
「最初はよくわからなかったけど、『これさあ、物流の仕組みができるんじゃないの』と気付いたんです。はじめはデヂエを使うには専門言語が必要だと思ってたのですが、必要ない。信じられなかった!(笑)そこからデヂエが始まりましたね。今までは、システムから提案されることが多かったけれど、逆に私からこれデヂエでできるんじゃないか、と言い始めたんです。」(荒川氏)
チェーン店ではなく、複数の専門店をとりまとめようとするには、システム管理者に相談しても業務の悩みを解決するのは難しいかもしれない、と荒川氏は語る。
「本当に現場の仕事を円滑にできるシステムを組むのは難しいかもしれない。何故デヂエがいいのかというと、いかに現場の要請を現場の中で解決できるかを実現できるソフトだからではないか、と思います。」
「業務に携わっていない人間がシステムを組もうとしても、なかなか業務をわかってもらうのが難しい。また、やりたいと思ったときからシステムができるまで時間がかかるのも困るところです。現場の業務は臨場感があって、日々それに対応していけないと使えないんです。」(伊藤氏)
Excel を廃止して「デヂエ」でいこうと決めたときから、荒川氏は『Excel は絶対つかうな』と徹底した。それはデヂエを使っていけば、こうなるなと最後の形がみえたからだと言う。
「デヂエへの移行は現場から反対意見がでました。それは『私が作った Excel はどうなるの!』という感じです。私のようなまとめ役からしてみると、Excel では情報がバラバラでまとめるのに四苦八苦するんですが。みんな Excel 病にかかってました(笑)。Excel 作ってたら安心みたいな。本人は、自分仕様の Excel だから快適だけど、他人には使えないというのがわからなかったんですね。デヂエだと、みんなが同じ形式で情報を登録するので、まとめて見れる。なによりも、今のリアルな、新鮮なデータがすぐに見えるんです。しかも欲しい時に欲しいだけ。こんなことは、他のソフトではできませんよ。本当に日本並びに世界でこれほどデヂエを待っていた男はいません(笑)。デヂエがあるからこうやって話せる時間があるんです。」(荒川氏)
活用方法
食器事業部では、各店舗と商品管理部、物流センター、メーカーといった、東京・岐阜間での発注、納品、配送といった一連の流れをデヂエ化し、運用している。商品管理部、倉庫の担当者は、始業後すぐにライブラリを見て、前日に更新された情報をチェックする。また倉庫では、終業時点で在庫数の更新も行っている。
- 店舗で補充の必要な商品の発注を行う
各店舗では、補充の必要な商品・依頼数を登録する。別に用意している商品マスタから商品名と在庫数を取り込み(ルックアップ)、在庫数と必要な数を比較して、依頼形態を在庫があるときは「移動」、在庫が無いときは「発注」とする。 - 商品管理部はメーカーに発注を行う
朝一番に前日までの「依頼形態」 を参照し、メーカーの発注する商品があるかを確認。発注が必要な場合、「発注数」と倉庫への「納期希望日」を登録する。発注数は店舗からの依頼数と、過去の商品の発注傾向を参考にし適切な値にする。 - 倉庫にて、入荷した商品の確認、在庫数の調整、出荷を行う
倉庫に入荷したら「入荷数」「入荷日」をライブラリに登録する。同時に、商品マスタの「在庫数」を反映させる。店舗へ出荷が済んだら、「出荷日」「出荷数」 を登録する。
「1」で「移動」が選択されていた場合は、商品管理部を通さず、倉庫から該当する店舗に発送が行われるようになっている。
発注、納品、配送といった一連の流れが二つのライブラリに結集した訳だが、各個人が Excel で管理していた情報が網羅されているのだろうか?
「されています。そのためフィールドは 100以上になってしまいました。もう肥満も肥満です(笑)。そりゃそうです。魚屋とパン屋を全部混ぜている感じだから。みんなが使い始めたら、業務ソフトのような動きをしてきたんです。当然、動作が重くなってきたので、これは本来のデヂエの使い方じゃないな、と気付きました。フィールドを分断して運用する方法をいま、模索しています。」
さらに荒川氏は、続けた。
「デヂエの運用には、売り上げとか伝票とかは関係ないんです。売り上げとか伝票の作成・印刷は、発注が確定後に発生する話。この部分は通常のパッケージソフトで十分。問題は、発注が確定するまでのやりとりなんです。
『それを 10個ほしい』 『それは 2個しかありません』
『いつまでにくれますか?』『これは出荷されたけど、あれはどうなっている?』
こういったことが出荷までに交錯するわけです。これを全部デヂエにいれたら、どういうことがおこったと思いますか?Excel 止めちゃったよ、みんな(笑)。」
実際に物流の流れをデヂエで運用し始めたのは、2003年 2月。デヂエのシステム管理は伊藤氏が行い、ライブラリの作成は社内スタッフでも可能にしている。この物流のライブラリは、構想は荒川氏が練り、設計は伊藤氏が行ったという。今までデータベースソフトなど触ったことのない、という伊藤氏だが、デヂエの設計はどうだっただろうか?
「はじめは、ライブラリやフィールドといった言葉を覚えるのがちょっと大変でした。覚えたら簡単なものです。デヂエならなんとなくできちゃいます。
またデヂエはある程度規正があるので、その分、割り切って作れます。その中で上手にまわそうと思う。変に余分なものを作らなくなるんですね。何でもできると余計なことまで作ってしまって、仕事が複雑になってしまうけど、それがない。デヂエ化することによって、かえってシンプルになったと感じています。」(伊藤氏)
その他の利用として、原宿 陶画舎の教室運営管理を行っている。原宿 陶画舎は、現在生徒数が 1000名ほど。見込み客だと 約 2万人になる。デヂエでは、生徒数や見込み客の管理、教室の稼働、資料請求数などを管理している。
「デヂエを見れば、各クラスに所属している人数の絞り込みが簡単にわかり、今日は教材がどれくらいいるか、ということもわかります。最近資料請求してきた人、といった絞り込みも簡単です。興味度フィールドも作れば、とても興味のあるひと向けのDMを作る、といった参考にもなります。ただし、お金に関わることは別システムでやっています。」(伊藤氏)
実際に教室を案内していただいたが、地下には白い器から絵の具などの教材を売る店舗、上の階には清潔感のある上品な教室があった。また受付のパソコンにはデヂエの画面が表示されており、実際の業務での活用の様子がうかがえた。
導入の結果と今後の展望
デヂエ化する前と比べて仕事の生産性はすごくあがった、と伊藤氏は言う。
「1人の仕事の生産性はすごくあがりました。10倍以上あがったと思います。Excel だと、次の日の朝にはいらないファイルになりますが、デヂエではそういうことがない。クリックして絞り込むと、自分のみたいデータがみられるんですから。」
「おまけに、自分が更新すると、相手もみられる。デヂエは WEB なだけに、双方向なところに良さがある。Excel だと作って圧縮してメールで送って、開けないとかトラブルで電話しあうはめになっていた。FAX だと来てるとか来てないとか、紙がつまっているとか、そういうことでもめますから。」
語った荒川氏は、デヂエは現場主義にはぴったりだと続けた。
「デヂエは、現場主義にぴったりだと思います。最終ユーザーが、フィールドを作っていかないと意味がない業務、現場が作らないと意味がない業務でも、デヂエなら実現できる。」
荒川氏の立場としては、物流にかかわるスタッフの情報の一本化が出来たことが導入の効果だと感じているという。店頭販売員、各店長、仕入事務担当者、荷捌き担当、ピッキング担当、発注担当者、営業責任者、ものに関わる全ての仕事がスピードを上げて情報を伝達することができた。これにより、チャンスロスの回避、細かい商品の政策、MD、現場で販売する企画化、作業効率アップ、など、いままでの社内システムでは出来なかったことがスムーズに出来るようになったということだ。今後はこれらをより活用し成果に結びつけていきたいと荒川氏は語る。
Excel からデヂエへの移行のスムーズさは、荒川氏の強いリーダシップがあったからこそと伊藤氏は言う。
「荒川部長は、現場でデヂエを浸透させるために、自作のデヂエの歌を歌いながら啓蒙してたんですよ(笑)。それはさておいて、最終的にこういう風になるというビジョンが見えているリーダーがいないと、なかなか現場は今やっている仕事のやり方を変えられないと思います。今までのやり方を変えてもいいとリーダーがいうからこそ、安心して現場は業務ができるんですね。」
今後は、運用している物流ライブラリの設計を改良していきたい、使っていない集計などの機能を使い便利にしたいと伊藤氏は語った。
食器事業部では、今では阿佐ヶ谷のグレープストーン本店のデヂエとは別のデヂエを購入し、現在本運用を 11個運用している。活用で紹介した物流と教室運営のライブラリの他には、商品についてのクレーム内容と対応データ、店舗別売り上げ一覧などがある。
「最近なんでもデヂエで作れって感じです(笑)。誰かが Excel で何かを作っているのを見ると、『そんなのデヂエでやればいいのに』って思います。Excel 病はなかなか抜けませんね。」と伊藤氏は明るく言った。
ここ原宿 陶画舎では、まさに現場による業務の改革が行われている。今後のデヂエ活用の行方にもぜひ注目していきたい。
システム概要
サーバー OS | Windows NT 4.0 |
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クライアント | Windows クライアント・Macintosh クライアント |
ネットワーク | 本社と各店舗、流通センター、協力会社は、インターネット VPN で結ばれている。 |
システム概要図
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製品情報