選ばれるエンタープライズグループウェア KDDI 2万ユーザー稼動までの軌跡に迫る|サイボウズ ガルーンシリーズ

会社名:KDDI株式会社
事業:電気通信事業
利用製品:「サイボウズ ガルーン 2」「サイボウズ ガルーン 2 ケータイ」
利用人数:20,000ユーザー
KDDI株式会社

20,000ユーザーが利用できるグループウェア基盤を メーカー、ベンダー、ユーザーのチームワークで実現

日本国内で唯一の総合通信事業者であるKDDI株式会社様(以下、KDDI)は、主要事業である「au」の移動体通信事業をはじめ、固定電話やインターネットなどの固定通信事業、コンテンツ事業など多彩なサービスを展開する大手企業。一般顧客向けのサービスで評価が高い一方、革新的な事業への取り組みにも積極的で、携帯電話から利用できる銀行「じぶん銀行」や、外部デザイナーとのコラボレーションによる「iida」の展開など、常に時代を先取りするサービスや商品を提供している。
そんな同社は、2009年7月「サイボウズ ガルーン」のバージョンアップ版である「サイボウズ ガルーン 2」を全社導入した。今回、ユーザー要望から始まった2万人規模バージョンアップから本番稼動に至った経緯、今後の展望について情報システム本部 プラットフォームサービス部 OA・ネットワークグループ 課長補佐 原 登志美氏、同グループ 課長補佐 五月女 芳克氏にお話を伺った。

導入の背景 ユーザー視点に立ち、快適なスピードで利用できる情報共有システムを検討

2000年の第二電電株式会社(DDI)、国際電信電話株式会社(KDD)、日本移動通信株式会社(IDO)の合併後、全社統一コミュニケーション基盤として導入された「サイボウズ ガルーン」。部門単位で利用されていた「サイボウズ Office」の使い勝手が評価されての全社導入であったが、導入間もなくして深刻なレスポンス悪化に悩まされたという。

「多くの社員は、出社してまずメールチェックと「ガルーン」にアクセスして一日のスケジュールを確認します。しかし始業時間前後はアクセスが集中しレスポンスに数分以上、長い時には10分ほどかかることもありました。エラーも頻発し、ユーザー側からは「一日のスタートが気持ちよく切れない」という不満の声が多かったですね。」(原氏)

もちろん、レスポンス改善に向けてはいくつもの対策を講じてきた。例えば、ハードウェアのメモリは適宜追加し、蓄積したデータは定期的に削除してきた。また、毎月各ワークグループの負荷をみて構成の見直しをした。だが既存システム、運用側の努力での改善は限定的であり、根本的解決が難しいと判断した同社は、システムリプレイス検討を開始する。

2007年に入り、本格的にリプレイス検討を始めたKDDI。既存システムの課題を洗い出し新たな要件を固める過程では、全社向けユーザーアンケートを実施した。ユーザーの声としてあげられた課題は主に下記10項目である。


グループウェアの課題事項(上位10項目)
  1. レスポンスが悪い、システムエラーが発生し使えない
  2. 他部門の情報を共有しづらい
  3. 期間予定を同日に複数登録したい
  4. 携帯から共用会議室予約機能が利用できない
  5. ログインIDを他システムと同様にしたい
  6. メンテナンス時にシステムを停止しないでほしい
  7. 日程などの条件を指定して空いている会議室を検索・表示する機能がほしい
  8. 施設予約のリマインダ機能がほしい
  9. 会議室の長期占有を規制してほしい
  10. 操作性の向上や、設定の簡略化
 

「約3分の1はレスポンス問題で、優先順位の高い要望であることが改めて浮き彫りとなりました。日々利用するからこそスケジュールや施設管理も、もっと便利に使いたいという、機能向上要望も多く見られました。」 (五月女氏)

情報システム本部
プラットフォームサービス部OA・ネットワークグループ
原登志美氏
情報システム本部
プラットフォームサービス部OA・ネットワークグループ
原登志美氏
情報システム本部
プラットフォームサービス部
OA・ネットワークグループ
五月女芳克氏
情報システム本部
プラットフォームサービス部
OA・ネットワークグループ
五月女芳克氏

導入の決め手 構築ベンダー、メーカーの強力なコミットメントが決め手

既存システムの課題を明確にし、新たなグループウェアシステム検討を始めたKDDI。バージョンアップ版である「ガルーン 2」の他に「Lotus Notes」「Microsoft Exchange Server」など主要エンタープライズグループウェアの比較検討を実施した。システムを一新することも視野に入れていた中、最終的に「ガルーン 2」の導入を決断した決め手はサイボウズ社、構築ベンダーからの強力なコミットメントであったと原氏は語る。

「リプレイス検討時はサイボウズ社、構築ベンダーと打ち合わせの場を何度か設け、既存システムの課題を共有しました。この時、「バージョンアップ版で既存問題点を解決する」具体的な提案と、正式稼動までサポート支援を行うというコミットメントがありました。メーカー、構築ベンダー両社の強い思いが、「ガルーン 2」導入を後押ししたと言えます。」(原氏)

使い勝手やコスト面のメリットも検討ポイントであったという。

「マニュアルなしでもユーザーが使いこなせる使い勝手の良さは、約5年間の全社運用を通して実感していることです。操作感が大きく変わらない点は魅力でしたね。また、継続サービスライセンスに加入していれば、ソフトウェアのバージョンアップ費用は無償で、他のグループウェアの新規導入に比べてコスト面でのメリットも大きかったです。」(五月女氏)

KDDI、サイボウズ、構築ベンダーのチームプレーで無事本番稼動を迎える

2008年11月の段階で、翌年2009年7月に本番稼動するスケジュールを組んだKDDI。2009年に入り、3社間でバージョンアップ要件に対する役割分担を明確化し、進捗状況を随時共有するための月例進捗会議を開始した。以下はKDDI社で定めたバージョンアップ要件である。


バージョンアップ要件3項目
  1. 旧バージョンの倍以上にあたる分間3,500アクセスが3秒以内のレスポンスであること
  2. 「ガルーン」搭載機能は「ガルーン 2」でも実装されていること
  3. 施設グループの階層管理機能の搭載

(補足)
1.「ガルーン」でのアクセス数は分間約1,500。2倍以上のアクセスにも耐えられる数値を確約することで、レスポンス改善をコミットした。
2.、3.は使い勝手を大きく変えず、しかし課題とされた機能については改善を約束するものである。KDDI社の全国各地の施設グループは200以上、会議室の総数は2,000にのぼる。膨大な施設グループを効率的に運用するためには、階層管理が必須要件であった。


「ガルーン」は、拠点や部署単位ごとに「ワークグループシステム」を構成し、分散するすべてのワークグループを1台のサーバーによって集中管理する仕組みを持つ。しかし、異なるワークグループ間での情報共有には制限事項も多い。バージョンアップ版である「ガルーン 2」では、データベース自体を分割する構成で負荷分散に優れており、性能的にもレスポンス改善につながる仕組みだ。
分間3,500アクセスをクリアする動作環境を検証するにあたっては、多摩にあるデータセンターにサイボウズ社、構築ベンダーが常駐。2万ユーザー分のテストデータを作成し、サイボウズ社が定める検証シナリオプログラムに沿ってアクセス負荷状況を調べ、メモリ入替えの数値を割り出した。「スケジュール」や「社内メール」など負荷がかかりやすい傾向にあるアプリケーションと同じサーバーに格納されているその他アプリケーションを、負荷の低いサーバーに移行するなど実績に基づくノウハウも活かされている。この他、施設グループの階層管理機能についてはサイボウズ社にてカスタマイズ対応(後に製品化予定)するなど、3社間での親密な連携で要件をクリアにしていった。

順調に開発、検証を進め、6月下旬にはKDDI内の情報システム本部内約700名でのテスト運用が開始された。しかし、ここで削除済みのスケジュールデータの一部が移行されるトラブルが発生する。

「この件についてはサイボウズ社に別途対応いただき、最終的には回避することができました。3社間で親密な連携をとることで、本番稼動までの問題にも迅速に対応できた点は良かったと感じています。」(原氏)

またテスト稼働期間中は原氏、五月女氏主導で「ガルーン 2」の認知度を高める活動も積極的に行った。「KID’s LAND」と呼ばれる全社ポータル内でバージョンアップに関する情報を大きく告知した。さらに北海道から九州までの、全国計22回に渡る新グループウェアの説明会も実施したという。

「各地では実際の画面を操作しユーザー向けに「ガルーン」と「ガルーン 2」の違いについてデモを実施しました。施設の階層管理や、人・施設の条件検索機能搭載は好評でしたね。現地でもレスポンス改善要望が多かったのですが、バージョンアップ版では必ず快適になると説明して回りました。」(五月女氏)

約2ヶ月のテスト稼動を経て、7月21日に迎えた本番稼動。始業時刻9時前後の同時アクセス数は想定値の2倍以上である、分間9,000アクセスに達したという。

「利用頻度が高いことは認知度、期待度共も高い証拠で喜ばしいことです。ただ初日から何度かアクセスエラーが出たことには少し焦りましたね。」(五月女氏)

KDDI社内では「ガルーン 2」は「すけじゅるん」と呼ばれる。
▲KDDI社内では「ガルーン 2」は「すけじゅるん」と呼ばれる。

今後の展望 携帯電話とグループウェアの連携強化を目指す

結果的には、旧バージョンの5倍以上である分間9,000アクセスにも耐えうるシステムとなった「ガルーン 2」。 今回のバージョンアップでは、当初課題としていた10項目の課題のうち7項目が改善されたと五月女氏は語る。

「ユーザーの反応も上々です。意識的には朝一番のエラーが解消されたことがやはり大きいですね。アクセス権強化や、アプリケーション機能向上も業務効率化に貢献できていると思います。またこのタイミングで認証連携や人事メンテナンスなどシステム回りの運用面課題も大幅に改善できました。例えば、人事異動は多いときには7,000名規模での変更があります。3名体制で10営業日以上かかっていた作業を、1営業日で対応できるなど人月工数削減にもつながっています。」(五月女氏)

KDDI社内では「すけじゅるん」という名称で親しまれる「ガルーン 2」。中でも活用頻度が高いアプリケーションはスケジュール管理と施設予約機能だという。社内各システムの連携で営業メンバーはSFAツールや予約管理システムと連携活用している。もちろんKDDIの主要事業のひとつである「ケータイ」活用も頻繁だ。

「社員は全員業務用携帯を利用しており、携帯電話でもガルーンを活用しています。オフィス内での打ち合わせ時に利用したり、出先からスケジュールを確認したり、アドレス帳で検索して電話をかけたりすることが多いですね。スマートフォン対応や、リマインダー機能の携帯対応などの要望もあがっています。携帯からの利用範囲が広がる機能搭載を今後は期待したいところですね。」(原氏)

最後にサイボウズへの要望を伺った。

「本番稼動後は早速新たな機能要望がユーザーから上がっており、サイボウズ社、構築ベンダーに相談しているところです。利用頻度が高いからこそ、要望も多くなってくる。中長期的には多言語対応や他社内システムとのより密接な連携を実現したいですね。」(五月女氏)

先進的な事業取り組みと、ユーザーへのサービスマインドを社内システムにも活かすKDDI。今後もサイボウズ、構築ベンダーとの信頼関係のもと、最適なシステム運用を目指していく。



動作環境
APサーバ 10台
CPU Xeon E5450 3GHz
メモリ 4GB
DISK 146GB [146GB×2((RAID1)]
DBサーバー 8台
CPU Xeon E5450 3GHz
メモリ 16GB(最大)
DISK 146GB [146GB×2((RAID1)]
ストレージ 1台 DISK 約4TB [146GB×34(VRAID5)]

※DBサーバー1台はホットスタンバイ機

施設管理システムと施設連携利用
▲施設管理システムと施設連携利用 施設管理システムと施設連携利用
▲施設管理システムと施設連携利用