「サイボウズ社長・青野と語る特別イベント #働き方改革、どう思う?」レポート

経営者と社員が本音で語ったら、やるべきことが見えてきた。

日本中で働き方改革が話題に上っているけれど、実際の現場では今、何が課題になっているのだろう?

そんな疑問から実施したアンケート「働き方改革、どう思う?」には、サイボウズのユーザーさまから多数の回答をお寄せいただきました。前向きな声がある一方、まだまだ働き方改革が進んでいない現状が垣間見える意見も……。

これは、もっともっとリアルな議論を交わしてみたい。ということで、7月20日に「サイボウズ社長・青野と語る特別イベント #働き方改革、どう思う?」を開催。アンケートに参加いただいたユーザーさまを招き、「経営陣」「現場リーダー&一般社員」のチームに分かれ、サイボウズ社長の青野慶久を交えて意見交換しました。

これからの働き方改革に必要なこととは? イベント当日の模様をお伝えします。

「働きたい会社」「幸せに働ける会社」への変身ストーリー

イベント冒頭では、実際に働き方改革を進めているユーザー企業2社さまから、その取り組み内容を紹介していただきました。

人口減少が続く地方で、20代や子育て世代女性の社員が増加
株式会社トキワ・沼田貴光さん

トキワは兵庫県北部但馬(たじま)地方、城崎温泉の近くにある会社です。スライドで見ていただいているのは周辺の田園風景。こうした環境の中で働いています。発酵食品の製造を続け、業歴は100年を超えました。作っているのは「手軽においしく料理を楽しむための商品」です。

トキワがなぜ、働きがいのある職場を目指しているのか。実は以前は、離職率が非常に高い状況でした。

株式会社トキワ 沼田貴光さん

過去5年で社員数と売り上げが倍になり、増えた社員が仕事をする場所を確保するために別の建物で勤務。他部署の人と顔を合わせるのは朝礼だけという状況で、次第にセクショナリズムのようなものが生まれました。ちゃんとした人事考課はなく、昇給理由は不明確。「同じ仕事をしているのに正社員とパートで給料が違う」といったことも当たり前のように起きていました。

私たちの地元・但馬地方には、これから先、人口が増える要素がありません。働きがいのある職場を提供して社員を幸せにし、成長していかなければ、未来がないと思いました。「このままではまずいぞ」と。トップも同じように危機感を持っていました。

そこで新社屋を作り、各部門が同じフロアで仕事をするようにしました。会長や社長とも顔を合わせやすいようにし、部門長はトップの近くでデスクワークができます。各部門のトップが同じ場所にいることで、部門間調整などの面倒なやり取りを進めやすくする狙いです。若手社員が異なる部門の部長にもサッと相談、最近そのような場面もよく見られるようになりました。

社内にはキッチンがあり、商品開発につながるレシピを作ったり、みんなでご飯を食べたりと、社員一人ひとりが意見を出してさまざまな取り組みを行っています。製造部門と営業部門の社員が意見交換する場所としても機能していますね。「食品会社の社員が包丁を握れないようでは寂しい」ということで、社員向けの料理教室や身だしなみ教室なども開いています。

このようにハード面を整えた結果、20代社員が増え、さらに30代、40代の女性社員比率も高まりました。子育てが一段落した世代の女性に、トキワという職場を選んでいただいている。そんな環境を作れたことをうれしく思っています。

現在は90人の会社ですが、毎年4人ずつくらいは育児休業を取っています。1年間抜けてもキャリアに悪影響がないように配慮。地元は待機児童ゼロで、慌てて保活をする必要はありません。「しっかり1年休んでください」と呼びかけています。

年次有給休暇の取得率は5年前と比べて2.3倍、82パーセントになりました。今年は100パーセントを目指しています。また、一人あたりの時間外労働は1年前に比べて22パーセント減少しました。

今のところ、90名の社員のうち8名が地域外の出身です。広島や愛媛などから、兵庫の北部へ来てくれました。地元の雇用も維持しつつ、生産性も向上させながら働く環境を充実させて、他地域からも人を呼び込みたいと考えています。

管理栄養士の資格を持つある男性社員の例を紹介させてください。実は彼は、「宇宙食を作る」というとても魅力的な事業内容の会社へ就職が決まっていたんです。でもそれを蹴って、トキワに来てくれました。「限られた人だけではなく、全国の人へ食べてもらえる調味料を作りたい。だからここに来た」と。

トキワだから働きたい。そんな風に言ってくれる従業員を、これからも増やしていきたいと思います。

「日本一社員が幸せに働ける」不動産会社を目指して
株式会社宅都ホールディングス・野村陽一さん

宅都は、大阪を本拠に賃貸仲介をメインにしていた不動産会社です。今は不動産管理やライフサポートにも事業を広げながら、「日本一社員が幸せに働ける不動産会社」を作るための草の根運動を続けています。

社員数は約370人。新卒はここ数年、毎年20名ほど採用しています。外国人の社員も毎年5名ほど採用し、今は20名ほどになりました。最近では産育休を取って復帰する人も増えてきました。

そんな私たちが働き方改革を進めている背景には、外部環境の変化があります。今後はAIの進化によってなくなる職種があると言われます。大きな変化に備えるため、働き方を変える必要があると感じていました。

株式会社宅都ホールディングス 野村陽一さん

その一つが、営業職の聖域でもあった「歩合給制度」を廃止することです。やればやるほど稼げるという制度で、長年営業からは廃止への反発の声が大きかったのですが、個人プレーの狩猟型組織からチームプレーの農耕型組織へ変えていくために2016年に断行しました。

反発の声が大きいことは承知していたので、「アングラセミナー」を開催して、10〜15人くらいの参加者とともに缶ビールを飲みながら「なぜこの制度にするのか」を地道に伝えていきました。結果、賃貸仲介事業の売り上げは少し落ち込みましたが、管理事業については20パーセントほど伸びているという状況です。離職率には大きな変化はありませんでした。

こうした改革に必要なのは、社員に「メッセージとイメージを届ける」ことだと思います。

もともと宅都には、自分の数字は見ていても会社の数字は見ていないという人がたくさんいました。年頭に社長が話したことを覚えていない役員もいたくらいです。400名近い規模になると、社長と顔を合わせる機会はどうしても少なくなります。

そこで部門会議などの場を有効活用して社長に参加してもらい、自身の生い立ちなども語ってもらっています。

入居者ファーストを実現するには、従業員ファーストが必要。ということで、社員の「満足度」と「幸せ度」を追求する取り組みも始めました。

長く働いてもらうためには、キャリアアップとキャリアチェンジのイメージを明確にする必要があります。新人ドラフト制度や異動自己申告制度、「引き留める上司をすっ飛ばして異動できる」キャリアアップFA制度などを設けました。

こうした試みには、宅都という会社を、社員がともに学ぶ「共学校」にしたいという思いが込もっているんです。だから学校っぽい行事もたくさん行い、月曜日の出勤が楽しみな「ワクワクする会社」を目指しています。今の新卒メンバーは、80歳定年の時代を迎えるかもしれません。宅都で学び、力をつけて転校してもいいと思っています。

働き方そのものにも目を向け、年間休日は105日から115日に増やしました。来年度は120日にする予定です。残業時間は45時間以内とし、人事がしっかりマネジメントしています。

また、社員からは「家族手当を作ってほしい」という声が上がりました。そこで月額5000円の子ども手当を新設。出産祝い金もあり、4人目だと100万円もらえます。

他にもクラブ活動の企画立案や創設バックアップ、社内広報の充実、新たな制度の検討、ハラスメント防止など、さまざまな取り組みを進めているところです。これからも日本一社員が幸せに働ける不動産会社を目指して、草の根運動を続けていきます。

「生産性を高める働き方改革」は経営者のエゴ? アンケートから見る職場の現実

ここからは社長の青野とサイボウズ・チームワーク総研の総括ディレクター、和田武訓を交えて、「働き方改革、どう思う?」のアンケートに寄せられた回答の一部を紹介。「労働時間・残業」「働きがい」「生産性」の3つのテーマに分けて、職場のリアルな実情を見ながら意見交換しました。

サイボウズ・チームワーク総研 総括ディレクターの和田武訓
「労働時間・残業」――“残業レポート”に反発し、勤務時間を過少申告
和田

最初のテーマ「労働時間・残業」についての、ある会社の実例です。

※クリックすると大きな画像でご覧いただけます。

青野

「あるある」ですよね。なぜ現場のことがわからないのだろう、と感じてしまいます。わからないなら、現場の人に聞いてみればいいと思うのですが。「働き方改革=時短」だとばかりフォーカスされてしまっていて、仕事内容が変わらないのに労働時間ばかり注目されるのも原因でしょうか。

参加者

間接部門が現場に「レポートを出せ」というのが、そもそもナンセンスですよね。レポートを書くというタスクによって、さらに無駄な時間を生み出していると思います。タスクを増やすんじゃなくて、いかに現場でのコミュニケーションを円滑にするかを考えたほうがいいのでは。

和田

現場からすると「管理されている」感も出てしまいますね。

参加者

社長や人事は、現場にどれくらい足を運んでいるんでしょうね。上限を超えて残業してしまう原因は何なのか、直接現場を見て、話をしなければ変わらないと思います。それが上に立つ人の責務かと。

「働きがい」――個人の価値観は大切だけど、周りを巻き込まないで
和田

では次のテーマ「働きがい」にいきましょう。

アンケートの中に、「会社にはたくさん働きたい人も、プライベートを大事にしたい人もいる。個人の生き方を重視して対応していきたいけど、組織として制度・ルール化していかないと効率が悪くなるのでは……」という声がありました。

参加者

わかる気がします。うちは設計事務所ですが、専門職の集まりであるせいか、「会社に住みたい」というくらい仕事が好きな人が多いです。

参加者

うちの社員には「仕事はあくまでもお金を稼ぐ手段」と割り切っている人もいます。そこまで仕事が好きじゃないと。考え方が多様で、何をすればいいんだろう?という感じです。

参加者

「仕事が生きがい」という人の思いはもちろん尊重したいのですが、「周りを巻き込まないでほしい」という気もしますね。他の人には他の人の人生観があるので。

青野

「巻き込まないで」というのは重要なキーワードですよね。日本人って、忖度するじゃないですか。「横並びじゃないとまずい」空気がある。

サイボウズでも事件があったんですよ。とある部門で「うちの新人は全員、朝8:30に出社しろ」と指示を出していたんです。その管理職にはイエローカードを出しました。

参加者

当社では「自分で好きな評価基準を選べる」という制度を始めました。20項目から10個を選び、自分が優先する価値観に基づいて評価してもらうという制度です。「でも部下を巻きこんじゃダメ」というルールもあります。

参加者

ワークライフバランスは、特に若い人の意識が高いですよね。それで早く帰ってもらうと、一部のやる気がある人に仕事が集中するという事態が起きる。自分の価値観はもちろん大切にすべきだと思いますが、「利他心を忘れてしまう」という危うさがあるようにも感じています。

「生産性」――「うちの会社は存続しなくていい」と思っている従業員がいるかも?
和田

最後は「生産性」。このテーマではぜひ、経営陣の思いを聞いてみたいですね。

青野

これ、行間に経営者のエゴが垣間見えるような気がするんです。「生産性を高めるような働き方改革」というのは経営者が考えているだけですよね。

参加者

働き方を改善すること自体は絶対的に必要で、これは社員に押しつけてでも実行しないといけない。その先に、個人の生き方をどう大切にできるかだと思うのですが。

青野

よく「利益を残してこそ会社は存続できる」と言う人がいるじゃないですか。でもよく考えてみれば、「うちの会社は存続してほしい」と従業員が思っているかなんてわからないですよね。今は転職市場も活性化しているから、「会社を無理に存続させるよりは解散して、残ったお金を分配してほしい!」と考える人もいるかもしれない(笑)。

参加者

純粋に「社員を路頭に迷わせてはいけない」という思いが強いんじゃないですかね。

青野

なるほど。経営者は何のために生産性を上げ、何のために会社を存続させるのかを改めて考えなければいけませんね。

参加者

みなさんの会社では、生産性が上がった場合、残業代はどうしていますか?

参加者

残業を減らして業績が伸びれば、利益の一部を新たな手当として支給するようにしていますね。受け入れられていくかどうかはこれからですが。実際のところ、残業代を生活給にしている人もいるんです。「忙しくても暇なときでも、決まって2時間残業している」人とか。

参加者

一般的な会社って、社員が頑張って稼ぎ出した利益がどこにいくのか、ブラックボックスになっているケースが多いですよね。頑張った分だけ社員が報われるという制度は必要だと思います。

○○に投資しない社長のもとは去るべき。「経営者×社員」のリアルな議論

改革がうまく進んでいる企業がある一方で、経営・人事と現場の間に横たわる深い溝を埋められないままの企業も多い――。そんな現実を参加者全員で共有した後は、イベントの締めくくりとなる「グループディスカッション」が行われました。

テーマは「働き方改革について、今後やりたいこと」。経営層の方はグループAとB、現場リーダーおよび一般社員層の方はグループC〜Eに分かれ、個人ワークを経てグループ内で意見をシェアします。さらに青野と意見交換をしながら全体発表へ。その模様を紹介します。

一般社員層グループ:2〜3週間休む「バカンス制度」で仕事の属人化を防ぎたい
グループE

私たちは「テレワーク」と「バカンス」について議論しました。

「テレワーク」は、特に子育て中のお母さんには必要な働き方だと思います。子どもが熱を出すなどして保育園から呼び出されると、基本的にその日はずっと仕事ができない。そんなときでもテレワークなら空いた時間を活用できます。

「バカンス」は2週間から3週間、強制的に休みを取るという制度です。その間は誰かが仕事を代わることになり、一時的な負担は高まるものの、「もし何かあっても仕事のやり方を知っている人が職場にいる」という状態を作ることができます。仕事が属人化しないという効果があるこのバカンス施策をぜひ実現したいです。

青野

バカンス制度、素晴らしいですね!おっしゃる通り、仕事が属人化してしまっていると「代わりがいない」と思い込んでしまい、テレワークすらも難しくなってしまいます。一気に休んでみることで、チームワークのあり方を見直すことにもつながりそうですね。

一般社員層グループ:IT投資をしない経営者、どうする?
グループC

私たちのグループでは「多種多様な働き方を実現したい」ということについて話し合いました。病気の社員や育児中の社員は「なんで急に休むの」「なんでこんなに早く帰るの」と言われてしまうこともあります。社員同士の理解を深め、壁をなくすためには、積極的に意見交換できる場を作ることも必要ではないでしょうか。グループウェアの活用など、モチベーションの差や発言への意欲の差を乗り越えて、声を上げられるような場所を作りたいと感じました。

青野さんへ一つ、質問したいことがあります。私は最終的にITを取り込んで働き方改革をしたいと考えている側の人間なのですが、当社では社長の理解が高まりきらず、投資もなかなかしてくれません。そんな場合には、どんなアプローチをすれば前に進めるでしょうか?

青野

よく「日本のIT投資はアメリカに比べて低い」と言われます。わかりやすい例がパソコンです。みなさん、何年前のパソコンを使っていますか? パソコンは2年くらいで更新していかないと進化を享受できないのですが、「10年前のパソコンをいまだに使っている」というケースも多いですよね。

お金をかけて効率化することにあまり熱心ではない経営者も多いです。工場などの設備投資にはお金を使うんですけどね。ITへの投資はそんなに大きなものではないはず。そして大きな生産性向上の効果もある。それなのに投資しない社長のもとは……「去るしかない」のかもしれません(笑)。

一般社員層グループ:新しいことを始めるときは「スモールスタート」で
グループD

私たちの議論では、「とにかく何か新しいことをしたいね」という意見がたくさん出ました。新しいシステムを作りたい、新しい環境を作りたい、新しい仕事がしたい……。

しかし、新しいことをやろうとしても、保証がないと不安を感じてしまうのが現実です。批判をしてくる人もいます。そんな壁を感じているという思いも共有しました。

青野

新しいことを始める際に、私は「スモールスタート」をおすすめしています。人事制度は「一度変えるとそのまま」というイメージが強いので、保守的になってしまう人もいます。でも「やってみてダメだったら変える」「対象者を限定してやってみる」といったスモールスタートであれば、反対者も減るはずです。

で、いざやってみると良いことも悪いことも明らかになって、「ここをこうすれば問題を解決できるかも」「いよいよ全体でやってみよう」という議論もできるようになります。いきなり全社を巻き込もうとすると止まってしまうので、そんな場合はぜひスモールスタートを考えてみてください。

経営層グループ:働き方改革って、オフィスをカラフルにすること?
グループA

他の経営層の方と話していると、「トップとともに全方位で社内へビジョンを伝える」という努力をされていることがよくわかりました。そんな会社を私も目指したいと思いました。

イベントを通じて、改めて自社のオフィスのあり方に課題を感じています。「働き方改革って、オフィスをカラフルにすることですか?」と思うくらい。もちろんただ派手にすればいいというものではなく、社員の働きやすさやコミュニケーションのあり方を考え抜いたオフィスが必要なのだと思いました。今日聞いた2社さんの事例もそうだし、サイボウズさんもそうですよね。オフィスの重要性を考え直すべきだと思っています。

青野

サイボウズは、以前の水道橋オフィスに人が入り切らなくなり、3年前にここ(現本社:東京日本橋タワー)へ引っ越してきました。その際、「在宅勤務なども広がっているのに本当にリアルオフィスが必要なんだろうか」という議論もあったんです。

そこで面白かったオフィス必要派の意見は「オフィスがあるとオン・オフを切り替えやすい」「みんなで一体感を持てる」「お客さまを迎えられる場所がほしい」というものでした。そんな会話を経て、リアルオフィスに本当に必要な機能を明確にし、ITの時代のリアルの意味を問いかけて作りました。

同様に、どの会社でも「オフィスが必要な意味」を議論してみるとよいのではないかと思います。

経営層グループ:在宅勤務を進めると、経営者にもメリットがある
グループB

経営者は「従業員が求めるものに応えたい」という思いを持っているでしょう。とはいえ、なんでもかんでも対応できるわけではありません。そこが心配でもあります。

この機会に青野さんにぜひ教えていただきたいのが、在宅勤務の効果です。当社も職種によっては在宅勤務を取り入れたいと考えているのですが、どのようなメリットがあるのでしょうか?

青野

まず会社へ往復する必要がなくなり、時間的余裕が持てます。通勤ラッシュに巻き込まれることがなく、体力的な余裕もできる。シンプルに言うとそれがメリットですね。

逆に、ミーティング一つするのもビデオ会議越しなので、「軽く声をかける」ということはしづらいです。ただ、やってみればみんな工夫を考えるもの。最近だと小さなタブレットをずっとつなぎっぱなしにして、いつでも互いに話しかけられるようにしています。そうやって解決するための知恵が出てくるんですね。

経営者としては、ITツールを活用することで「現場との距離が近くなる」というメリットを感じています。ベトナムの拠点にしょっちゅう行くことはできないけど、グループウェアで気軽に状況を知ることができる。自分の足を使うよりよほど早いんですよね。働き方改革って、従業員にも経営者にもメリットがあるんですよ。

おわりに

社員側、経営側の思いを率直にぶつけ合った2時間超のイベントも、いよいよ終盤。最後はサイボウズを代表して、執行役員カスタマー本部長の関根紀子があいさつをさせていただきました。

サイボウズ 執行役員 カスタマー本部長・関根紀子
関根

今回講演をお願いした2社さまには「働き方改革、どう思う?」アンケートをきっかけに出会ったのですが、風土作りや取り組みスタンスが似ていて驚きました。また、私たちサイボウズと同じような考え方で共感もしました。

実は私たちも昔は、建設的な議論が苦手な集団でした。それで社長を中心に変えようとしたのですが、なかなかうまくいきません。変わることに対して、「本能的に抵抗していた」部分があったのだと思います。しかしさまざまな取り組みを続けていくことで、次第に「変化することが快感」になっていきました。

私たち自身、今後もさらに変わっていきながら、「うちも変わりたい!」と考える企業さまへも積極的に関わっていきたいと考えています。

まとめ

経営者から見た働き方改革。社員が必要とする働き方改革。どちらも重要なはずなのに、どちらかの視点に偏ってしまう。これまではそんな議論が多かったのかもしれません。今日の議論がもし職場で行われていたら、どんな改革につながるんだろう……? そんな「ワクワク感」を残してイベントは終了しました。

経営者と社員が本音で話し合えていないな、と感じる会社にこそ、働き方改革のチャンスがあるのかもしれません。「働き方改革、どう思う?」のアンケートに寄せられた声や、このイベントでの議論には、「うちの会社にもあてはまる」と共感する方も多いのではないでしょうか。こうした世の中の声を職場内に届けることもきっかけを作る行動の一つ。ぜひ、あなたの会社の働き方改革に活用してください!

執筆:多田慎介