導入製品 サイボウズ ガルーン 3 | ガルーンシリーズ
企業情報
■会社名:
社会医療法人近森会
■ホームページ:
社会医療法人近森会
近森病院
■利用製品:
- サイボウズ ガルーン 2
- サイボウズ デヂエ 8
■利用人数:
1,900ユーザー
■業種:
病院・医療施設
社会医療法人近森会 近森病院
副院長・外科部長 北村龍彦氏
診療支援部 主任 奥田興司氏
急性期医療を支える電子カルテとグループウェアの連携基盤
社会医療法人 近森病院様(以下、近森病院)は、四国高知県の中心に位置する地域医療支援病院だ。急性期医療を中心に、救急医療や災害医療などの拠点としての役割を持つ。2010年には高知県内で初めて「社会医療法人」の認定を受けるなど、公益性、非営利性の高い医療法人でもある。
同院が治療方針に据えているのが「チーム医療」だ。院内の科や職種の垣根を越えた治療に取り組むことを重視している。例えば、心臓の治療を重点的に行うハートセンターでは、循環器科や心臓血管外科、麻酔科、透析科などが一体となって治療にあたる。医師、看護師をはじめとした各職種のメンバーがそれぞれの専門性を発揮して協力し合う医療体制を築いている。
このように"患者目線"を徹底した医療サービスを展開する上で、情報共有基盤であるグループウェア「サイボウズ ガルーン」はどう活用されているのだろうか。院内のIT活用について、副院長であり外科部長でもある北村龍彦氏、診療支援部の主任、奥田興司氏にお話を伺った。
導入の背景 電子カルテとともに情報基盤もリニューアル
近森病院は、高知駅付近に救急・外来に加えてリハビリテーション病院、管理棟などの複数施設を構えている。職員の多くは医療現場という特性上、現場で診療支援にあたる時間が長く、施設間の移動も多い。院内の情報を迅速に共有するためには、短時間で効率よく情報を取得できる仕組みの構築が重要になっていた。
しかし、当時導入していた大手メーカーのグループウェアは、情報共有するにもレスポンス速度が遅くユーザーの使い勝手が良くない状況であった。また、一度に送信できるメール容量の上限が決まっており、それを超えてメールを送信するとシステム全体のレスポンスがさらに悪化する欠点があった。そこで2008年、ハードウェアの入れ替えに合わせてグループウェアの切り替えを検討し始めた。求める要件は「使いやすく、スピーディに情報共有できること」。グループウェアの選定においては、医療現場に立つ医師や看護師、技師など複数職種メンバーで構成したワーキンググループを設置し、メンバーが実際に製品を触りながら検証を進めた。
導入候補製品としてまず挙がったのは、当時導入していた大手メーカーグループウェアのバージョンアップ版である。しかし検証を進めると、これまで使ってきたユーザーインターフェイスが大きく変わり、操作感が煩雑になっていた。さらにユーザー側で考えながら操作することが多く、操作の負担も大きかったため、検討候補からは外れることになった。次に検討を開始したのが、既存の電子カルテとも親和性の高い「ガルーン」だった。
導入の決め手 短時間で効率的に情報を確認することができる仕組み
検証の結果、「ガルーン」の導入が決まった。北村氏は決め手について、当時の状況を振り返りながらこう語る。
「検証の観点は、業務で全員が使いこなせるか、効率化に貢献できるかという2点です。短時間でスピーディーに情報共有できる環境を整えることは、医療現場での本業に集中できる環境にもつながります。また、ドクターや看護師、事務の方が操作に迷わずに使いこなせた点を最も評価しました。Webサイトからプログラムをダウンロードするだけで、2カ月の試用版を使えるという手軽な仕組みも良かったですね。」(北村氏)
システム管理を担当する奥田氏は、電子カルテとの連携にメリットを感じたという。
「これまでのシステムにはなかった病床稼働率、入院患者数などの電子カルテ情報を「ガルーン」と連携できる拡張性が大きな魅力でした。グループウェアと電子カルテを統合することで、複数システムにアクセスすることなく、院内情報を確認することができます。ユーザー視点で運用が可能な病院全体の情報インフラを実現できると感じました。」(奥田氏)
現場で医療支援にあたるメンバーが、「ガルーン」のポータル上で迅速かつ効率的に情報を共有できる――。これが導入の決め手になった。
副院長 外科部長
北村龍彦氏
診療支援部 主任
奥田興司氏
このように情報システム・現場スタッフ部門間で検討を進めたことにより、決裁から稼働までの流れもスムーズであった。理事会で正式に「ガルーン」導入が決裁された後、一定の移行期間を経てシステム切り替えを実施した。構築、データの移行においても滞りなく、ユーザー向けの説明には簡易的なマニュアルを配布するのみであったという。使い勝手やユーザーインターフェイスが大きく変わる中でも教育コストはほぼかからず運用を開始することができたようだ。
導入効果 救急医療を支える電子カルテと「ガルーン」の連携
近森病院で稼働した「ガルーン」は、現場医療に携わるユーザーが短時間で情報を把握できる工夫が凝らされている。例えば、「ガルーン」にアクセスすると一画面に集約された院内の情報が確認できるようになっている。活用するアプリケーションを限定したり、ポータル上に電子カルテ情報を表示したりすることで、使いやすさを追求している。中でも電子カルテデータの連携は、院内全体における業務のスピード化に貢献している。
「「ガルーン」のスケジュール調整や通達事項の確認をしながら、自然に電子カルテ情報も目に入ってくる仕組みをPHPポートレットで開発しました。膨大な情報が蓄積されている電子カルテですが、ユーザーインターフェイスが複雑なため、病床稼働率や空きベッド数といった"今すぐ欲しい情報"になかなかたどり着けません。これらの情報を「ガルーン」上に表示したことで、業務に忙しい院内メンバーもすぐに確認できます。情報を探す時間や手間という目に見えにくいコストを削減できています。」(奥田氏)
院内情報をリアルタイムに取得できることは、院内全体で医療体制の意識を高める上でも重要だと北村氏は語る。
「月に約500件近くの急患を受け入れる近森病院では、日常の空きベッド数や急患の受け入れ状況の把握にも意識を高め、いざという時にも迅速かつ確実に動ける体制を整備することが不可欠です。より良い医療体制を構築する上で、情報共有は重要な要素だと考えています。」(北村氏)
電子カルテ情報との連携は「ガルーン」のPHPポートレットからSQLを使ってオラクルベースの電子カルテの最新情報を取得する仕組みだ。この時、アクセス数が増加することによって、PHPポートレットの呼び出し回数も増加し、電子カルテのデータベースへのアクセスも増加する。これによるレスポンス低下を抑えるために、データベースの取得結果をキャッシュするなど工夫も行っている。カスタマイズ性が高いのも「ガルーン」の大きなメリットと言えそうだ。
▼「ガルーン」ポータル上では、同院の2大基幹システムである患者の診療情報を集約するデータベースと、入退院・診療報酬情報などを扱う医事情報データベースの情報を、リアルタイムに表示している。
▼電子カルテと「ガルーン」の連携イメージ
「ガルーン」は日常の医療現場のスケジュール調整、通達、回覧にも頻繁に活用され、院内の情報共有基盤としての役割を果たしている。これまで電話で調整していたスケジュール・施設予約も「ガルーン」上で完結する仕組みに変えたことで、調整コストはほぼかからなくなった。病院全体の情報を告知する掲示板は業種ごとにカテゴリを区切り、組織横断的な情報共有に活用している。
「現場では診療科目ごとの情報共有に偏りがちですが、実際には業種ごとの研修や勉強会の情報交換、連絡も多くあります。ユーザーには院内全体通達と、所属する業種のみの情報が通知されるようになっており、履歴も一覧で確認できます。」(奥田氏)
さらに「ガルーン」とWebデータベース「サイボウズ デヂエ 8」を連携し、電子カルテ情報などを外部に公開する手続きのステータス管理に活用している。
「今まで紙ベースで管理してきた業務をデヂエ化することで、様々な情報をデヂエという1つの場所に集約できるようになりました。この他にもリハビリテーション病院でのシフト管理にも活用しています。データベースといっても、プログラミングなどの専門知識なしでも使いこなせる手軽さがあるため、運用管理の権限も現場に任せています。」(奥田氏)
建設中の施設を含め、9つの棟・施設を持つ近森病院では、中心となる電子カルテ情報も含む一体的な情報共有基盤の構築が、情報共有のスピード化と業務の効率化をもたらし、より良い医療支援に寄与している。
今後の展望 情報共有が病院運営を支える
病院運営の基盤として「ガルーン」の活用促進が進む中、近森病院は今後IT化をどう推進していくのか。北村氏は展望をこう描く。
「医療現場のグループウェア活用は、院内の業務効率と職員の経営情報への意識を上げていく上での底上げにも有効です。今後も必要に応じてIT投資を行いたいと考えています。患者さんの診療記録など中長期的な管理が必要なものは、引き続き慎重にデータ管理を行いつつ、安全でスピーディな医療支援につなげていきたいですね。」(北村氏)
地域医療を支える近森病院は、病院運営の効率化・迅速化を進めることで、より良い医療支援体制の整備を続けていく。
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社会医療法人近森会 近森病院 導入事例 PDF (6.54MB)