複数システムをひとつのポータルに集約、全社規模のスピーディーな情報共有を実現

概要

「和食さと」「すし半」「天丼・天ぷら本舗さん天」をはじめとした和食をコンセプトとした店舗を運営するサトレストランシステムズ株式会社(以下、サトレストランシステムズ)。「私たちは、食を通じて社会に貢献します。」というフィロソフィーのもと、潤いのある楽しい食事の機会を提供することを通じた、豊かな暮らしの実現を企業活動の目的としている。この取り組みは国内のみならず、海外にも広がっており、2014年にはブランド中核となる「和食さと」のロゴを一新。世界に向けても和食ブランド展開に取り組んでいる。
そんな同社はシステム基盤の強化にも取り組んでおり、10年来利用してきたグループウェアを含む情報系システムを全面刷新し、「サイボウズ ガルーン 3」(以下、「ガルーン」)を全社規模で導入した。新たな情報共有基盤として「ガルーン」を採用したその狙いと効果について、経営企画本部情報システム課課長の神保氏にお話を伺った。

導入前の課題

利用範囲の拡大を見据えてのリプレース検討


経営企画本部情報システム課
神保氏

サトレストランシステムズでは、2000年よりグループウェアを導入し、本社のスケジュール調整やファイル共有に活用していた。長年利用してきたシステムを見直すきっかけは、ハードウェアリプレースのタイミングであったことに加え、店舗を含めた全社規模でのグループウェア利用を見据えてのことだった。
「全社規模での利用を検討する中で、スマートフォンやタブレット端末での活用など新たな要件が出ていました。当時利用していたグループウェアの使い勝手に大きな課題はなかったのですが、OS・ブラウザ・端末などがWindowsに限定されており、将来的に活用したい端末が制限される可能性が大きく、新たなグループウェア検討に踏み切りました。」


導入の決め手

マルチデバイスへの対応、さらに柔軟なシステム連携が実現できる点を評価

新たなグループウェア検討を始めたサトレストランシステムズ。主要なグループウェア5、6製品を検証する中で「ガルーン」を選択した決め手は、既存グループウェアの課題が解決できる点はもちろんのこと、ポータルを中心としたシステム連携機能が、同社のシステム設計に適していると判断してのことだった。

「情報収集の段階ではどのグループウェアも機能性に大きな差はないという印象がありましたが、検証を進める中で考えは変わりました。当時のグループウェアで出来ることが他製品で当然出来るというわけではなく、どの製品も一長一短で特徴があります。『ガルーン』は、スマートフォン・タブレットで活用できることに加え、他システムと連携できるポータルの概念が、当社のシステム設計の考え方に合っていたことを特に評価しました。」

サトレストランシステムズでは、グループウェアリプレースに先駆けてメールやワークフローは別製品を採用しており、新グループウェアは単独ではない活用を想定していた。このため、ポータル機能を使った他システムとのシームレスな連携が、情報系システム全体の使い勝手向上につながると評価されたようだ。


導入効果

情報システムの中心に「ガルーン」がある設計で全社の業務効率が向上

同社が次に取り掛かったことは、「ガルーン」を既存グループウェアの操作性と近づけるためのポータル設計だ。

「既存グループウェアは10年以上使い続けており、利用ユーザーはどの機能がどういう動きをするか暗黙知の認識があります。だからこそ、これまで慣れ親しんだ使い勝手を『ガルーン』上でも可能な限り再現することがスムーズなリプレースには不可欠でした。」

ユーザーが活用しやすいよう様々な工夫を凝らしたポータル画面にはスケジュールや掲示板、ファイルサービス(ファイル管理)など利用頻度の高いアプリケーションが配置されている。さらに、ポータル画面経由で、基幹システム情報や、Eメール(Cybermail)、ワークフロー(業務デザイナー)もシングルサインオンで利用できる設計だ。

「『ガルーン』と当時利用していたグループウェアの異なる操作感を軽減するため、また複数システムでのシームレスな連携を実現するため、ポータル設計にはかなりこだわりました。アプリケーション配置の工夫はもちろん、PHPポートレットを活用したカスタマイズなど大小テクニックを駆使することで、試行錯誤しながらも納得の設計ができたと考えています。」

PHPやhtmlポートレット活用はもちろん、一部機能はカスタマイズで対応するなど創意工夫を凝らして設計を進めたサトレストランシステムズ。ユーザーは「ガルーン」にログインさえすれば、複数システムを違和感なく利用することができるという、シンプルな運用を実現した。

本社ユーザー利用のポータル画面。利用頻度の高い「ガルーン」アプリケーションの新着情報に加え、他社のメール、ワークフロー新着情報も一画面内で確認できる。この仕組みはPHPプログラムを活用したカスタマイズや、htmlを活用したユーザーインタフェース改良で実現している。

マルチデバイス活用で、現場の業務効率化を支援

「ガルーン」のアカウントはこれまでグループウェアが展開されていなかった全直営店舗にも配布され、通達・マニュアル・社内の規定集などが効率的に確認できる仕組みを実現している。全国各地の店舗への情報発信は、従来の紙運用から電子化され、過去のデータも見たいときに自由に検索することが可能だ。さらにPCだけでなく、モバイル・タブレット端末経由での「ガルーン」利用も開始。時間や場所を選ばず「ガルーン」にアクセスできるようになり、ユーザーからは高い評価を受けているという。

「外出や出張が多いユーザーからは、PCをわざわざ開かなくてもスマートフォンで業務に取り組める便利さを実感いただいています。ちょっとした隙間時間も有効活用できるので、業務効率の向上に役立っていますね。PC・タブレット端末を支給している店舗スタッフも状況に応じて使い分けて活用できるようになるので、利便性がより高まると期待しています。」


「すし半」店舗ユーザー利用のポータル画面。短時間で効率的に情報収集できるよう、ポートレット配置を調整し、活用されている。


今後の展望

情報共有の基盤をさらに進化させることでサービス向上に寄与

情報共有のインフラを確固なものとしているサトレストランシステムズ。だが「ガルーン」の本格的な活用はこれからだと強調する。

「組織として取り組むべき目標をシステム面から支えるため、『ガルーン』の活用を本格化させていく予定です。店舗サービス向上、顧客満足向上、売上向上など様々なシーンで情報共有は役立ちます。例えば、ToDo管理やスペース機能などプロジェクト単位で活用し、段階を踏みながらではありますが、利用アプリケーションも増やしていければと考えています。」

情報共有基盤を成果につなげていく取り組みは始まったばかりだ。


掲載日 2014年6月30日