年間5万件の電子ワークフローが介護現場を飛び交う書類を一掃

概要

デイサービス開始からわずか10年で日本一の拠点数に成長した介護業界大手の株式会社ツクイ(以下、「ツクイ」)。認定や保険料申請、顧客情報管理といった業界特有の煩雑な事務が急成長で爆発する中、ガルーンを活用してスピードとミス軽減を両立する介護業界での事例を執行役員 管理推進本部副本部長・給与部部長浅田 克氏 、業務情報企画部部長小野 幸二氏、ツクイ横浜日野中央所長石渡 雅美氏にお伺いした。
※浅田氏、小野氏、石渡氏は2013年7月3日時点での所属・役職となります。

導入のきっかけ

■デイサービス参入から10年で日本一の拠点数へ急成長

2012年3月に東証一部に指定、全国47都道府県で500を超える事業所をもち、デイサービスでは日本一の拠点数を誇る介護業界大手のツクイであるが、介護事業の歴史は実はそれほど古くはない。元々は地場の建設業。会長の津久井督六氏が家族の介護体験より1983年に訪問入浴サービスを始め、1998年になってからデイサービスを開始、そこからわずか10年ちょっとで日本一のデイサービス拠点数を誇るまでに成長した。

もちろん急成長の時には成長痛も伴う。中でも成長に追いつく処理を実現するために、情報システム部がどういう状態で成長を支えてきたのかは想像に難くない。


中でも特筆すべきは、2000年の介護保険導入であろう。それまで各市町村との一括契約だった介護サービスが、お客様との直接契約になったほか、介護記録など、より詳細に伝票・報告書を残す必要が出てきた。FAXと伝票が本部にも現場にも洪水のように溢れ、それは急激な事業拡大とともに加速度的に拡大した。この課題に対処するために一年半くらいかけて基幹システムを構築、2003年4月にようやく稼動させた。売上はきちんと管理できるようになったものの、今度は内部統制体制や管理体制が急拡大に悲鳴を上げた。倍々ゲームで増えていくスタッフと拠点、そこからは当然のように売上と共に介護利用者の管理や拠点、スタッフの管理などがでてくる。そこで通達をしっかりさせようとサイボウズが導入されたのだ。


導入効果

■年間5万件が流れるガルーンワークフローが東証一部上場企業の稟議も支える

「最初は通達を周知させるために社内メール、そしてスケジュールを使えるようにしました。その次は稟議ですね。FAX転送では字が潰れて読めないですし、処理できない。備品を購入するにしても、本部に上申する余裕もなく現場で買ったほうが早いので、どんどん買ってしまう状態でした。困ったところで思いついたのがサイボウズのワークフローでした。」
(執行役員 管理推進本部副本部長・給与部部長 浅田 克氏)


企業の成長と共に大規模版のサイボウズ ガルーンへのリプレースを経て、今では年間5万件のワークフロー申請が、グループウェアの上を駆け抜けている。とはいっても介護事業は介護保険が絡むため、基本的に自治体への申請や報告は紙。完全に電子化することはできない。しかし、最初から紙をまわすのではなく、電子ワークフローで途中まで決裁し、最後に紙に出力し記入押印を行う。これらを併用することで、内部統制とスピード処理の両立に成功している。


浅田氏

「日常の少額決済や手続きなど、現場レベルで処理するものは全部ガルーンのワークフローを使っています。ハンコをつかなくてはいけないものもありますが、それらも拠点から電子ワークフローで流して、後で紙に押印する業務フローにしてスピードアップを図っています。自治体などへの提出書類もこの流れで実行しています。」(業務情報企画部部長 小野 幸二氏)


■「手帳やFAXでは絶対追いつかない、ガルーンに取り憑かれてます!」

実際に現場では、どのように活用されているか見るために現場を訪問してみた。案内された事業所は、横浜にある「ツクイ横浜日野中央」。デイサービスを行なっている事業所だ。スタッフは全員で28名とそこその規模になるが、PCを利用するのは、相談員4名と栄養士など8名くらいだ。

「朝来てまず最初にやることが、ガルーンのチェックですね。朝礼でみんなに伝えなければいけない情報を確認します。前の日に本社に送った連絡の返答がきているかとか、そういった内容もですね。」(ツクイ横浜日野中央所長石渡雅美氏)


デイサービス内の事務仕事は驚くほど多い。デイサービスを利用するお客様とのやりとりはもちろん、地域のケースワーカーやケアマネジャー、本社との事務連絡、経理の管理業務。それに加えて食材業者など取引先との連絡も頻繁に発生する。もちろん作成する書類の量も膨大になる。

「ガルーンのおかげで助かってます。連絡も以前のようにFAXはすごい枚数の管理になるし、手帳では絶対追いつかないですから。ガルーンの場合、メッセージの内容をスケジュールに入れることもできるので、私が忘れていてもガルーンのスケジュールが教えてくれます。他にも下書きやお気に入りなどにいれるとか、色々な手段が取れるのですごく助かってます。」(石渡氏)

「ツクイ横浜中央」のPCは3台しかないので、所長専用のPCは存在しない。そもそも全員がプレーヤでもあるので、事務所内はほとんどフリーデスクに近い。所長とメンバーではアクセス権も違うので、ワークフローの決裁権限、人事関係の連絡、賞与などの評価は所長しか見えてはいけない。しかしどのPCでも自分のIDでログインすれば、自分の権限設定になるグループウェアは、効率的な事務作業や承認作業の強い味方だ。

「予算の申請や、食材費、健康診断費用など1万以上の支払いはすべて承認が必要になります。多い時だと、1日10件以上になりますね。ほかに採用や正社員登用、契約更改、異動も現場で起案してエリアの本部長が承認して、本社へ回るフローですから、とにかく数が多いんです。処理が途中の状態で誰かに呼ばれて離席したとしても、安心して保管しておいてくれるのでいいですね。ガルーンがあると楽しく仕事ができます。簡単に操作できるので、もう取り憑かれています。(笑)」(石渡氏)



石渡氏


■普段使っているからこそ、非常時の強力なインフラに成り得るグループウェア

このようにツクイでは、急速に全国に拡大した拠点網を統制すべく、グループウェアのリプレースや基幹システムの導入を進めていったが、その効果が最大限に発揮されたのは、東日本大震災のときであった。

「当時は電話が繋がらないがネットは繋がる状況でした。電話は一対一で直接繋がらないと安否確認が取れない。それでは時間がかかってしかたがない。ガルーンがあって本当によかったです。電話で確認がとれた場合も、その情報をガルーンに書きこめば事業所や地域の状況がどうであるか一斉に把握できましたから。

震災の時には、お客様・ご家族、スタッフと安否確認していきました。(全部含めると数万という人数になるので)すごく役にたちましたね。

個人情報となる掲示は、被災地のみの閲覧などの処置をして活用しました。また被災地だけでなく、九州地域から東北に物資送るなど毎日ガルーンで指示をだしたり情報を共有しました。」(小野氏)



小野氏

よくあるインターネットの掲示板を使っての話と思う方もいるかもしれない。しかし、企業の情報インフラとして活用するには、ソーシャルなどのサービスをそのまま使うわけにはいかない。個人情報はアクセス権をかけ、地域内、フィールドマネージャー、そして全国レベルで、それぞれ共有の場が必要になってくる。

そして、非常時においても「みんなが見る」という習慣がなければ、安否確認の情報共有ができない。通達もスケジュール調整もワークフローも、すべて同じサイボウズ ガルーンで運用していたからこそ、非常時でも有効なシステムになったのは想像に難くない。


たくさんの個人情報を取り扱いながら、広い範囲で情報を頻繁に共有しないといけない介護業界ならではのグループウェア活用例であろう。


掲載日 2013年10月23日