ワタミ株式会社

外食・介護・宅食・農業・マーチャンダイジング・環境
ご利用規模:約3000ユーザー
導入パートナー:株式会社大塚商会
http://www.watami.co.jp/

社内の書類を大幅に削減することができ、店舗と本部をつなぐ環境も強化することができました。


ワタミの理念経営を効率的に推進するためのIT活用法

概要

ワタミグループといえば、創業者である渡邉美樹会長が自らの思いをしたためた直筆原稿を、全社員向けのメッセージ(グループ報)として発信し続けているという逸話がある。そうした同社を取り巻く数々のエピソードが示すのは、「人と人との直接的なやりとりの尊重」ということにほかならない。では、デジタル的なコミュニケーションとは距離を置いているのかというと実際にはそうではない。人と人とのやりとりや、人の手による業務を補完し、情報共有や伝達を効率化・円滑化する手段として、ITを積極的に活用しているのだ。もちろん、グループウェアも例外ではない。そんなワタミならではのグループウェアの使い方とは。ワタミ株式会社 IT戦略グループ 企画開発チーム 課長の村上烈士氏にお話を伺った。

導入前の課題

全社的な紙削減プロジェクトを加速させるために稟議の電子化を検討


IT戦略グループ 企画開発チーム
村上烈士氏

ワタミでは、ワタミ環境宣言「美しい地球を美しいままに、子どもたちに残していく」という環境への取り組みを実現するため、2010年8月から全社規模で紙削減プロジェクトを推進している。国内・海外の外食チェーン、介護、宅食、農業、MD、環境といった多角的な事業を展開する同社では、それぞれの事業を担うグループ各社から本社へ提出される各種稟議書類、さらには店舗ごとのお客様アンケートや図面・設計書など、紙として存在する企業内情報資産がかなりの量に及んでいた。2011年度には、海外外食事業で過去最大の20店舗出店、介護事業でも同じく18棟の新規開設、宅食事業も111拠点開設と、グループは急速な拡大を続けており、増え続ける企業内情報資産をいかに効率よく保管していくかが大きな問題になっていた。

そこで最初の段階として、ワタミ株式会社 本社BSG(ビジネスサービスグループ)を中心に社内の複合機そのものを減らすことに着手。コピーやプリント出力の削減目標値を具体的に掲げ、部門ごとに情報資産の電子化(スキャニング)の実施、ノンペーパー会議、ペーパーレスFAX送受信などへの切り替えを積極的に進め、16台あった本社複合機を実稼働8台へと削減した。この紙削減の流れをさらに加速させるという重要な役割を担ったのが、稟議の電子化だ。


「もともと本社ではワークステージソリューション(以下、WSS)というグループウェアとExchangeUSEというワークフロー製品を導入しており、社内の情報共有に関してもある程度電子化されていました。しかし、ワークフローに関してはごく一部の業務の活用で管理も手間がかかり、しかも使い勝手の面から人事異動表などを社員へ展開・配布する際には結局紙での運用が主流になっていました。中でも介護事業に関しては紙の利用比率が高く、稟議に関してもほぼ紙で運用するという状況でした。というのも介護施設スタッフに年配の方も多く、既存のグループウェアでは操作に慣れてもらうのが容易ではなく、全面的な導入が難しい状況だったのです。とはいえ介護事業は急成長を遂げており、稟議案件も増加傾向にあります。月間で500件弱、紙は枚数にしてその3倍程度が回されている状況です。以上のような課題に加え、WSSのライセンス販売が終息し、保守が受けられなくなったこともあり、グループウェアとワークフローを一本化でき、しかも、本格的に紙を減らせるような運用要件を備えた製品への移行を検討し始めました。」(村上氏)


ガルーン導入前の課題イメージ

導入の決め手

ノンカスタマイズでグループ全体全社に展開できる機能と操作性を備えていることが決め手

ワタミが新たなグループウェアを導入するにあたり、製品選定の要件としてまず挙げたのは、「グループ全体で使え展開できる」ということだ。前述のように、グループ企業の間でもITリテラシーに差がある状況であるが、だからといって、各々の事業会社に個別のシステムを導入してしまうと、全社レベルでの内部統制や全体最適化が図れない。また、「グループ全体」の中には、海外の事業会社も含まれている。外食事業など同社のグローバル展開を支えられるよう、現地スタッフが上げた稟議を日本側の責任者が迅速に決裁できる仕組みを実現するためには、多言語対応も必須だ。
そして、もう1つの要件は「情報共有・伝達を効率的に行えること」。本社やグループ会社間の情報共有には外食営業部エリア責任者(エリアマネージャー)と店舗メンバーの情報共有も重要であり、以前からグループウェアを活用していたという。このため、リプレース後も同様の業務でスムーズに展開できる操作性を備え、効率的な情報共有・伝達を行えることが望ましい。
これらの状況を踏まえ、同社は「ガルーン」を含む3製品を検証したが「基本機能が充実していて、カスタマイズが不要」「多言語に対応し、しかも、追加料金やユーザー側での作業は必要ない」「誰にでも分かりやすい操作性」といった要件を全面的に満たす製品は「ガルーン」しかなく、導入を判断したと村上氏は語る。

「部門ごとの業務ニーズに合わせて機能を追加・カスタマイズすればどの製品も個別要件を満たすことはできますがメンテナンス性や全体最適の観点から望ましくありません。ガルーンは標準化されたパッケージ製品で弊社が求める要件を兼ね備えており、全社レベルでしっかり使いこなせる手ごたえを感じました。」(村上氏)

導入効果

紙削減の大きな推進と、稟議フローの自動化や決裁のスピードアップ

「ガルーン」導入後は当初の目的どおり、介護事業の稟議案件についても電子化を実現し、紙のやりとりはほぼ完全に排除できた。また、情報共有の受け皿ができたことで、企業内情報資産の電子化も加速。以前は既存グループウェアの格納データの容量不足などの問題で、カラーコピーを多用していたが、「ガルーン」上で共有できるようになったため、大部分がデータ蓄積へと移りつつある。今回のグループウェア導入は、紙削減プロジェクトの一部ではあるが、波及的な部分も含めると貢献度は大きい。同社では、2010年の開始時と比較して、8割から9割程度の紙削減を目指しているが、現時点で既に目標の半分程度まで達しているという。


ワタミで活用されているポータル画面

また、導入の効果は紙削減だけではない。既存グループウェアでは稟議運用上、管理者が職務権限の規定に沿った承認・決裁ルートを毎回手作業で設定する必要があったのだが、現在ではこのフローに関してもほぼ自動化できたのだという。ワタミでは業務効率化を目的に、流動的な組織変更が行われており、毎月数十名規模の組織変更がある。同じ頻度で承認フローの調整も必要になっていたが「ガルーン」であればそうした変更にも臨機応変に対応できるようになった。


運営店舗の現場においても「ガルーン」活用は欠かせないという。

「管理面では、職務権限規定に対応した承認ルートを設定するロール設定が扱いやすくなりました。組織変更や異動は頻繁ですが、会社にとって必然性のあるもので、今後も変わることはありませんから、やはりシステム側で対応すべき課題でしょう。その点、ガルーンではロール管理に時間や手間がかからないので、大きなメリットを感じています。決裁に要する時間に関しても、介護も含めて全社的に紙から電子決裁へと移行できたことで、大幅にスピードアップしています。」(村上氏)

また、外食事業では、本部側から店長やスタッフへの社内通達、全店舗共通キャンペーンの伝達やヒアリングなど、様々な連絡・通知に「ガルーン」を活用。例えば、外食営業部エリア責任者(エリアマネージャー)が店舗巡回の際に気づいたことを伝える際には、撮影した写真をメッセージに添付しながら現場メンバーとディスカッションを進めるなど、積極的に活用している。「ガルーン」上でのコミュニケーションを自然に楽しみつつ、単なる指示や注意だけではなく、「思い」を伝えることを実現している。


エリアマネージャーと店舗スタッフの連絡の様子


「ガルーン」は組織情報の管理はもちろん、組織図にはない役職や属性別の「ロール」を作成し、所持させることで、ワークフローの承認経路を自動で設定することができる。


ワークフロー申請から承認の画面

今後の展望

共通的な意識を持って仕事に取り組むことで、同じ夢や目標に向かって活動できる環境を作っていきたい

ワタミのグループウェア活用において特長的なのが、冒頭で述べたようなアナログ的なコミュニケーションとの融合だ。トップからのメッセージに関しても、手書きのメッセージをスキャンして、それをグループウェアの掲示板や、メッセージアプリケーション上に添付して送信するといった手法をとっている。


本社にあるワタミ夢ストリートでは、“ワタミらしさ”を維持するため、ワタミが何を大切にしてきたのか、ワタミ理念の歴史やその時々の判断と「思い」である原点を展示しています。

「以前からの企業文化や理念や思いを大事にしつつ、グループウェアを活用してデジタルと融合させることで、スピーディーに、しかもグループ内の隅々までしっかりと伝えていくことができています。伝統的なコミュニケーションを尊重しつつ、効率化も図られているというわけです。」(村上氏)

こうしたグループウェアの有効性を実感したことで、村上氏は今後さらに活用を広げていきたいと考えている。店舗については店長など一部メンバーにアカウントを付与しているが、将来的には全員がアカウントを持つようにし、「ワタミグループに関わるスタッフ皆が何らかのデバイスを通じて、同じ情報を一斉に知ることができ、共通的な意識を持って仕事に取り組むことで、同じ夢や目標に向かって活動できる環境を作りたい」という。

そして、そのためにも重要な要素となるのが、スマートフォン/タブレットだ。稟議決裁の一層のスピードアップを図るための施策の一環として、すでに部門長以上の役職に対してiPhoneの導入を進めており、外出先から「ガルーン」にアクセスし活用しているという。村上氏はスマートフォン/タブレットとの高度な連携性を持ち、様々な用途への拡大が可能な「ガルーン」はワタミにとって欠かせない存在と捉えており今以上の活用効果に大いに期待している。

<ガルーンサーバ>
【用途】 ガルーンサーバ
【機器名】 Fujitsu PRIMAGY RX300S6
【サーバOS】 WindowsServer2008 R2 Enterprise(64bit)
【CPU】 Xeon X5690 3.46GHZ
【メモリ】 48GB
【HDD】 300GB 3本
<ガルーンサーバ(HotStanby)兼デヂエサーバ>
【用途】 ガルーンサーバ(HotStanby)兼デヂエサーバ
【機器名】 Fujitsu PRIMAGY RX300S6
【サーバOS】 WindowsServer2008 R2 Enterprise(64bit)
【CPU】 Xeon X5690 3.46GHZ
【メモリ】 48GB
【HDD】 300GB 3本
<ストレージ>
【用途】 ストレージ
【機器名】 Fujitsu ETERNUS DX60
【HDD】 600GB 4本
<バックアップサーバ>
【用途】 バックアップサーバ
【機器名】 Fujitsu PRIMAGY RX600S4
【サーバOS】 WindowsServer2003 R2 StandardEdition
【CPU】 Xeon E7220 2.93GHZ
【メモリ】 3GB
【HDD】 300GB 8本

掲載日 2013年4月25日