最新活用事例紹介

実務に直接役立つ知識が獲得できることで他の資格とは一線を画す
自己啓発やモチベーション向上に認定資格が効果を発揮

株式会社ニックス

“kintone認定資格”「聞いたことはあるけれど、チームメンバーが取得してもどんなメリットがあるのかわからない」と、資格取得を積極的に推奨することがなかった、というご担当者様もいらっしゃるかもしれません。今回、資格取得支援制度を用いてチームメンバーのkintone認定資格取得をサポートされている、サイボウズ オフィシャルパートナーである株式会社ニックス様にお話をお伺いしました。

株式会社ニックス
ITサービスソリューション部 副部長
小川 泰弘氏(右)
ITサービスソリューション部
ソリューションエンジニアリング1G主任
堀越 曉(さとる)氏(左)
製造業関連企業のシステム受託開発を行う企業として1982年に創業した株式会社ニックス。現在は自社開発のソリューションをはじめ、各種クラウドサービスを含めてシステムの企画提案から開発、導入支援、運用までを手掛ける企業へと脱皮を果たし、顧客の課題解決に役立つソリューションを提供している。特に中堅中小企業をターゲットに、スモールスタートにて手軽に利用できるクラウドサービスを積極的に活用しながら、コンサルティング力を生かした提案で多くの顧客から支持を集めている。

ビジネスにおけるkintoneの位置づけ

顧客の課題解決に役立つ業務基盤として選択、事業拡張に向けた試みも

同社では、顧客の課題解決に貢献するさまざまなクラウドサービスを取り扱っているが、なかでもビジネスの大きな推進力の1つとなっているのが、サイボウズが提供するkintoneだ。同社の主力商品の1つである「EnCollabo」はクラウド型の勤怠管理システムだが、長年SES(システムエンジニアリングサービス)領域で培ってきた、販売管理をはじめとする豊富な業務知識を生かした提案を行うためには、柔軟にインテグレーションできる業務基盤が求められてきたという。

「以前はクラウド型ERPを提案の中心に据えていたこともありましたが、中堅中小企業が導入するには金額的に折り合わないケースも多く、パッケージに業務を合わせていかざるを得ないことも。できれば、現場の業務に合わせてシステムを柔軟に構築できる基盤を望んでいたのです」とITサービスソリューション部 副部長 小川 泰弘氏は説明する。

そこで注目したのが、顧客の課題解決に向けた幅広い提案に生かすことが可能なkintoneだった。今では業務提案の多くにkintoneが活用され、同社のビジネスにおいて大きなシェアを占めるまでに成長している。実は、kintoneを業務基盤として選択した背景には、サイボウズが展開するパートナーとのエコシステムの輪に同社も加わることで、他のディベロッパーと共同で案件を進めるなど、事業拡張への期待も大きかったと説明する。すでに具体的な案件も増えており、kintoneをビジネス基盤として利用する意義は大きいという。

資格取得支援制度にkintone認定制度を組み入れたワケ

自己啓発やモチベーション向上を目的とした資格取得支援制度

そんな同社では、以前から経済産業省が推進する国家資格であるITコーディネータをはじめ、MicrosoftやOracleといったベンダー認定資格などの取得支援制度を設けてきた。具体的には、資格取得に必要な費用を計3回まで会社が負担するだけでなく、資格取得時には報奨金が用意され、四半期に1度開催される社員総会のなかで表彰される制度だ。「この制度は、メンバー自身の自己啓発の手段として、そして自ら設定した目標達成を通じて仕事へのモチベーションを高めてもらう意図で創設したものです」と小川氏は説明する。

獲得したスキルの客観的な指標として役立つものに

この資格取得支援制度は、100を超える資格が対象となっているが、2018年に「kintone認定資格制度」が開始されたことが契機となり、サイボウズが提供するkintoneの認定資格も新たに加えられている。「確かにサイボウズとパートナー契約を結ぶ際に取得する認定セールスアドバイザ(SA)の資格はありましたが、あくまでセールス寄りのもの。kintone自体を扱った案件数が増えるなか、技術者として何か指標になるものがあればと考えていたのです。そんな折、サイボウズから制度新設のお知らせをいただき、ぜひ社内の資格取得支援制度に適用したいと考えました」と小川氏。社内でkintoneに関する経験やノウハウが積み上がっていたこともあり、技術的な視点から客観的に判断できる指標が求められていたわけだ。

実際の現場でも、kintoneスキルに関する新たな指標が望まれていたという。「一緒にプロジェクトに関わっているメンバーからは認められますが、客観的な指標がないために、直接案件にかかわらない上長から見れば、評価しにくい部分も。会社から求められる資格の1つにkintoneが含まれることで、メンバー自身のモチベーションを上げていくことにもつながると考えたのです」と同部 ソリューションエンジニアリング1G 主任 堀越 曉氏は語る。

日常的に業務の相談をされる両氏

kintone認定資格がもたらした効果

これまでの資格との違いは“実務に役立つ”こと、メンバーの自信にもつながる

これまで会社が認定していた資格の多くは、確かに自己啓発やモチベーションの向上につながるものの、実業務に直接生かせるものばかりではなかった。例えば基本情報技術者といった国家資格やマイクロソフト認定試験といったベンダー資格は、どちらかというと勉強のための学びになりがちだ。一方でサイボウズの資格は、実際の提案時や開発時に生かせるといった、自分の業務に直結する内容が多く含まれている。「普段の仕事にそのまま直結する内容が学べるという意味で、他の資格よりもモチベーション高く勉強できるものになっています」と小川氏は評価する。kintone案件に多く関わる堀越氏は「基礎スキルであるAssociateでもかなり難しい。だからこそ、取得することでメンバーの自信につながっていくはずです」と評価する。

ヘルプも参照しながら、普段触らない機能まで網羅的に学習

同社における資格取得状況は、サイボウズとパートナー契約時に取得するSAとともに、今回新たに新設されたAssociateなどの資格も含めてトータルで7名ほどが取得済みだ。そのうちAssociateに関する資格取得者の1人が堀越氏だが、取得に関しては日々の業務でkintoneを活用していたこともあって一度の試験で合格したものの、正直難易度は高かったと振り返る。「提案活動や実際の業務で活用している機能は、普段から触っているため問題なかったのですが、例えばゲストスペースなどはお客さまが自由に活用する領域で、我々の方で作り込むケースは正直少ない。知識が薄い領域については、kintoneのヘルプを見て知識習得に努めるなどの工夫が必要です」と堀越氏。

提案の幅を広げ、スキルレベルの底上げを可能に

小川氏は、普段業務で利用していない機能についての再発見があると資格取得の効果について語る。「開発や提案を行う機会が少ないピープル機能をはじめとしたソーシャル的なコミュニケーション機能は、資格の学びの過程で詳しく理解することができました。新たな気付きを得たことで、提案活動の幅が広がったのは大きい」とその効果を実感している。また、これまで何気なく使ってきた機能を改めて自分で深く理解することで、提案や開発のクオリティを高めていく効果も得られているという。「機能の制約などを改めて理解することで、お客さまに注意喚起することもできますし、担当するメンバー同士が高い品質で提案できるようになります。メンバーによって知識量に差がありましたが、知識レベルを底上げする効果が期待できます」と小川氏は評価する。

業務の割り振りの面でも、資格が一定の判断基準として役立つという。「取得できたメンバーであれば、開発そのものを任せても大丈夫だという指標の1つになるはずです。一人で開発できるレベルの知識が求められる資格であることは間違いありません」と堀越氏。

自己啓発やモチベーション向上という視点では、資格取得を目標にするメンバーの周囲からも希望者が名乗りでてくるなど、相乗効果が得られていると評価する。「周りに触発されることもそうですが、日々の案件に直接つながる資格でもあるため、自分も資格を取って案件に関わりたいという若手メンバーのやる気を醸成する役割を果たしています」と小川氏。多くの案件に利用されているkintoneだけに、自分のスキルマップのなかにkintoneも含めておきたいと考える社員が増えているのではと分析する。

プロジェクトメンバー全員がAssociate取得を目指す、さらに上位資格も獲得へ

今後については、Associateをkintoneプロジェクトに関わる全員が取得するような位置づけにしていきながら、案件のプロジェクトリーダーやプリセールスに関わるメンバーは、それぞれ開発やビジネスキルのスペシャリスト資格を取得していけるような環境づくりを推進していきたいと意気込む。また、kintoneを中心にビジネスを展開するソリューションエンジニアリング1Gをけん引している堀越氏は「一時期開催していたクラウド勉強会ですが、繁忙期を迎えるなかで中断していました。今はグループでkintoneを積極的に活用していく方向となっており、改めて勉強会を行いながらkintoneへの知見をさらに深めていきたい」と語る。

なお、提案活動の際に資格取得に関する情報を顧客に提示する場面はまだ少ないが、ビジネススキルであるApp Design Specialistや開発スキルのCustomization Specialistなど、さらに上位の資格を取得していくなかで対外的にアピールしていきたいと小川氏に今後について語っていただいた。

プロジェクトメンバーと