サイボウズ大阪オフィスの開設10周年を記念して、役職、経歴の異なる4人の方に集まっていただき、ざっくばらんにこの10年間を振り返る社員座談会の様子をお届けします。前編では「オオサカのチームワーク」を大テーマに、大阪と東京の仕事の進め方の違い、リーダー論、そして大阪オフィスの自己採点もやっていただきました!
未来の展望が描けない大阪営業所の船出
2006年に大阪オフィスを立ち上げた当初、勝算はありましたか?
正直難しかったですねぇ。当時、関西弁が話せるという理由で、サイボウズの製品の販売代理店を増やすパートナービジネスを立ち上げてこいと、放り込まれました。大手のパートナーさんの本社はほとんど東京で、大阪にあるのは支社や営業所なので、販促機能が少ないんですよ。パートナーさんの大阪支社に提案したい場合は、まずそこの東京本社に持っていかなければならない。そんなレポートを上げましたが、状況は変わりませんでしたね。
そこまで東京と大阪が隔絶していたのは、意外ですね。大阪オフィス立ち上げ当時の詳しい話は後編に譲ることにして、玉田さんは2007年に東京から大阪に営業の責任者として異動してきたわけですが、当時を振り返っていかがですか?
当時の大阪はこっちから行かないとお客様と会えない状況でした。仕事が広がるイメージも、人が増えていくイメージもしっかり描けず、とにかく手探り状態の日々でした。
大阪で営業の手応えを感じ始めたのはいつごろですか?
2014年に開発のスタッフが大阪に来たときに、状況が変わりましたね。それまでは未来への展望が描けるような手ごたえまではなかったんです。
ぼくは大阪に異動する前も出張でちょいちょい大阪営業所に顔を出してましたが、ここが広がっていくイメージはあまり持てなかったです。行っても座る場所ないし、誰と話していいかわからないから、同じ会社なのに緊張するんですよ(笑)。
私はプロモーションやマーケティングの仕事を担当していましたが、マーケティングの人間が東京から大阪に行っても、当時の営業所には足を運ばないんですよ。物理的にも居場所がなくて、打ち合わせも外で会ってました(笑)。
でも、営業と開発が一緒になって新オフィスに移転したことで、状況はだいぶ変わったわけですね。
今は皆さん大阪に来たらここに寄ってくれるし、社内外でいろいろな情報交換もできるようになり、助かっています。
大阪の導入相談Cafeでは毎月20社近く、お客様のほうから説明を聞きたいと、わざわざこのオフィスを訪ねてくれるそうです。なかなかB to Bではないことですよ。やっぱり場所は大事ですね。
開発と営業がひっつくと、いい未来があるんじゃないかとは思っていましたが、まさかここまで立派になるとは思っていませんでした。
大阪は人と人の距離が東京よりも近い!?
仕事をするうえで、大阪と東京との違いを感じますか?
大きな違いはないと思いますね。とくに開発はほとんどないんじゃない?
最初は東京で進めているプロジェクトの一員として大阪メンバーも入ったんですが、試行錯誤もありましたね。プロジェクトメンバーが別々の拠点にいて、拠点間で人数に差があると主従関係ができてしまいます。大阪は少人数なのでそういう状況が続かないよう積極的に発言したり、自発的に問題解決に取り組むことをより意識するようになりました。
地域性の違いというよりも、地方の拠点だからこそ生まれてくる悩みですね。
そうですね。でも、こういった試行錯誤があり、リモートワークや分散開発などでメンバーが同じ場所にいなくても、チームがうまく機能するようになりましたね。在宅で働く人もずいぶん増えたので、その成果は出ていると思います。
今は海外拠点との共同開発などにも生きていますね。
大阪の開発担当は、完全に東京と一緒のプロジェクトで動いているわけですか?
はい。会議もすべてテレビ電話で参加しますし、家にいてもテレビ電話で参加できます。どこにいても同じ仕事ができますね。
営業は特定の場所にお客様やパートナーがいるので、場所はどこでもいいわけではありません。大阪でパートナーとうまく関係性が築けると、そこの担当者が出世して東京で上のポジションに異動になるケースも多いんです。大阪で10年やってきたおかげで、今東京でお世話になっている人も多いですね。支店のほうが人と人の距離が近いというのも、東京と大阪の違いかもしれませんね。
“大阪に本社があるベンダー”への営業面ではいかがですか?
「cybozu.com」や「kintone」という新しい商材が出たことで、地元のベンダーと一緒に仕事ができるきっかけができました。
クラウドサービスが始まったことで、大手のパートナーのサポートに加えて、地元のベンダーとのお付き合いも増えましたね。営業で支援できる範囲もだいぶ広がってきました。
「○○じゃん」「○○だよ」はNGワード!?
テーマをガラッと変えまして、次のテーマ。現在の自分のリーダー(上司)に、ひとつ注文をつけるとしたら?
私の上司は栗山なんですが、実は我々は同い年なんです。昔のとんがっている時代を見てきた立場としては、今がとてもいい感じなんで、あまり注文はないですが出てきたらそのときに注文します(笑)。
私の場合、上司は社長の青野なんですが……、社長はやや短気なところがあるんですよね(笑)。それ以外はとても素晴らしい方だと思います。
社長の大阪オフィスに対する評価はいかがですか?
とても喜んでいますね。社長自身、大学や前職も大阪ですし、出身地の松山で起業したあと、一度大阪に本社を移し、それから東京に移った経緯がありますから。大阪が順調に規模を大きくしていることを、評価してくれています。
私の上司は目の前にいる玉田ですが、基本的にとても優しい人で不満はありません。ただ、私がしゃべっているのをときどき流されるんです(笑)。女子特有の話とかは、「またなんかゆうてるわ」という感じ。
現在、女性は何人いらっしゃるんですか?
だいぶ増えて、今は6人います。女子会ができるようになりました(笑)。
岡田君の上司である開発本部長は、現在、サイボウズの最年少役員なんです。
ぼくと同期入社で同い年なので、今34歳、切れっ切れの男です。10年間一緒に開発チームのリーダーとしてやってきたので、友達みたいな感覚なんです。お互い言いたいことを言い合えるのでむしろやりやすく上司部下という感じはほとんどないですね。
ところで、大阪オフィスに東京出身の人はいますか?
関西で働きたいという人をこっちで採用しているので、出身もこっちの人がほとんどです。
やはり関西人と仕事をするなら、関西人が合うのでしょうか?
お客様にはクセのある人もいるので、「○○じゃん」なんて言おうものなら、「ハイ、さよなら」と言われかねない(笑)。
「じゃん」って、ものすごく関東っぽい言葉なので、関西人には違和感のある人もいるのでは。
あと、「○○だよ」とか(笑)。
「だよ」もダメかもなぁ。だから、営業はやっぱり関西人がいいわけです。ほかの地域ではそんなことはないと思いますが、関西では気をつかっています。
では、皆さんが考えるリーダーの条件とは、何でしょう?
みんなで同じ目標をつくっていくためのメッセージを、しっかり発信できることだと思います。
役職の階層によって違ってきますが、基本はビジョンでしょうね。自分自身の立場で言うと、社長が言っているビジョンと外さないように独自のビジョンを出す。社長の言葉をそのまま言っていては、ただのメッセンジャーに過ぎません。
後輩の子たちを見ていて意識するのは、相手がやりたいことを応援するのがリーダーの条件なのかなと感じます。
プロジェクトリーダーというポジションを長いことやっていて思うのは、見守る、ガマンすることの大切さですね。見ていると口出ししたくなることもあるんですが、優秀な人を採用しているわけだから、ガマンして見守ることで本人も気付くし、成長してくれると思っています。
自分がそうだったから、よくわかるでしょ(笑)。大阪開発部長の仕事は、「優秀なエンジニアを集めること」ですからね。
今の大阪オフィスの自己採点は平均7点!
今のサイボウズ大阪オフィスを自己採点すると、10点満点で何点ですか?そう思う理由も教えてください。
6点くらいかな。まだ入ったばかりの人も何人かいるので、経験値にも差があります。そういう意味でも、もっといけるだろうという今後の期待を込めての点数です。
つけて7点ですね。まだ「One Osaka」が見えてこない。大阪だけで売る製品を大阪のメンバーだけで開発するという強烈な企画が上がってきてもいい。実際には止めると思うけど(笑)。
7点くらいかな。会社や製品はもちろんですが、スタッフ1人ひとりの個性を生かしたPR活動ができるようになれば、チームとしてもっと輝けると思うので。
8点ですね。大阪ではそれぞれの部署が多様な働き方を認め合っているという点が、高く評価できると思っています。あとはコンパクトなサイズ感を活かして、カジュアルにやってもいいのかなと思います。
多様な働き方というお話が出ましたが、具体的な例をいくつか教えていただけますか?
開発では、子育てのために週3で在宅勤務をしている男性がいます。あとは1カ月間の育児休暇を取得する男性も、世代的に多くなりました。
ワークスタイルの変革ももちろんですが、育児を知ることは社会を知る義務でもあるんです。そのときに感じた不便さや問題意識が、新しい製品の開発につながることもありますからね。
チームワークを高める工夫を皆さんやってますね
では最後に、サイボウズの製品を導入しているお客様の企業で、こんなふうにチームが変わったというお話があれば教えてください。
チームワークが劇的に変わった話はいっぱいありますが、一番のメリットは「言った言わない」問題がなくなることですね。ささいなことですが、これが尾を引いてチームワークの根本的な問題になることも多いんです。口頭で話したこともレポートを書くクセがつくとか、メールで書いて残すとか、うちのグループウェアを使うことで、こうしたトラブルをなくそうとしている会社は、大体風通しがいいですね。
そうですね、うちのお客様だとそういうトラブルはほとんど聞きませんね。たとえそういうことが起きて犯人捜しになっても、証拠が残っていますからウソもつけません。
結果として、その会社のチームワークだけでなく、業績やイメージのアップにもつながるわけですね。
本当に皆さんチームワークを高めるために、いろいろな努力をしていますね。大阪の場合は、こっちがまじめに話をしたあとに、「で、オチは?」と必ず言われますが(笑)。