サイボウズの楽校

活動レポート

【学びの足あと】入口は、ひとつじゃなくていい。楽長が見た宇宙の授業

【テーマ】宇宙
【実施】2026年9月(全4回)
【担当】楽校スタッフ けいた・ゆりごん

こんにちは。サイボウズの楽校で楽長をしている前田です。

見学に来られた保護者の方から、よく「フリースクールでは、勉強はどうしているんですか?」と聞かれます。今回は、9月に取り組んだ「宇宙」の授業を、楽長の私の目線でご紹介させてください。

私は教育の専門家ではなく、授業をつくっているのはスタッフのけいたとゆりごんです。しかも今回、私が教室で見られたのは始まりの回だけ。それでも、スタッフが毎日書いている日報や写真、後日見せてもらった子どもたちの新聞から、授業の様子がよく伝わってきました。

日報を読んでいてもよくわかるのは、2人が「どうやったら、この子がこれまで知らなかった世界に関心を向けてくれるだろう」と一生懸命準備したうえで、子どもたちの反応を楽しみながら、一緒に授業をつくっていることです。

楽校に来ている子どもたちの中には、これまで学校の授業に入りにくさを感じてきた子もいます。でもそれは、学ぶことが嫌いだからとは限りません。自分に合う入口に、まだ出会っていないだけなのかもしれない。2人の授業づくりを見ていると、そう思うのです。

1.入口は、ポケモンから

宇宙はロマンのあるテーマですが、子どもたちにとっては遠い存在でもあります。けいたも日報に「宇宙に急に興味を持つことも簡単ではない」と書いていました。

そこでけいたが初回の入口に選んだのが、ポケモンでした。楽校の子どもたちは、みんなポケモンが大好き。そこで、ピカチュウが宇宙について説明してくれる動画を見るところから授業を始めました。私がその場で見ていたのは、この初回です。テーマに子どもを合わせるのではなく、子どもたちがすでに好きなものから橋をかける。そこから入るのか、と私も思わずうなりました。

宇宙の授業の初回、スタッフの話を聞く子どもたち

2回目は太陽系。惑星の位置関係や星の特徴を学んだあと、子どもたちは太陽系を参考に、自分だけの「〇〇系」をつくりました。真ん中に何を置いて、まわりに何を回らせるのか。しくみがわかっていないとつくれないからこそ、「わかった」が「使えた」に変わる時間だったのだと思います。

スタッフと一緒にタブレットで作品を確かめる様子

2.教室を飛び出して、宇宙を体で感じる

3回目は、みんなで東京ドームシティにある宇宙ミュージアムTeNQへ出かけました。楽校では、吉祥寺から片道1時間くらいで出かけられる旅を「KO(こ)旅」と呼んでいて、月に1回実施しています。今回は、授業と連動したスタッフ企画のKO旅です。少人数の楽校は、公共交通機関を使って気軽に外に出られる身軽さがあります。そして東京には、博物館や美術館、企業、街そのものなど、本物に触れられる場所がたくさんあります。それを思う存分活用して学んでいます。

宇宙ミュージアムの受付でチケットを買う子どもたち

日報によると、子どもたちが特に盛り上がったのは、恒星・惑星・衛星ごとの重力の違いを体感するゲーム。あるペアは、なんとランキング3位のスコアを叩き出したそうです。宇宙での荷物の重さを体感するエリアや、月を探索するVRにも、みんな思い思いに夢中になっていました。

重力の違いを体感するゲームの結果画面を見上げる子どもたち

教室で学んだ星の違いを、体を動かして確かめる。そのとき「知っている」が実感に変わるのだと思います。

3.同じ体験から、ちがう新聞が生まれる

ミュージアムに行った翌日は、ゆりごんの企画で新聞づくりに取り組みました。子どもたちは「心に残ったこと」「伝えたいこと」から自分のトピックを選び、ゆりごんが配った新聞風の枠を、iPadのプレゼンテーションソフト(Keynote)を使って埋めていきました。

iPadで記事を書く様子

私も後日、みんなの新聞を見せてもらいました。書いている内容は、一人ひとりまったく違います。同じものを見ても、心に残ることはこんなに違うんだなと思いました。そしてもうひとつ驚いたのは、みんな、わかりやすく書くのがとても上手なこと!

子どもがつくった宇宙の新聞

体験したことを自分で選び、自分の言葉にする。そうすることで、「楽しかった」が「自分が学んだこと」に変わっていくのだと思います。

入口は、ひとつじゃなくていい

話を聞いて知るのが好きな子もいれば、手を動かしているときに乗ってくる子、外に出て体で感じたときにスイッチが入る子もいます。ポケモン、「〇〇系」づくり、ミュージアム、新聞。ひとつのテーマに入口をいくつも用意しておくことで、それぞれの子がどこかで「ちょっとおもしろいかも」に出会いやすくなります。

楽校では、こうした日々の様子を日報と写真で記録し、kintoneで保護者の皆さんとも共有しています。

ミュージアムに行った日の日報の最後に、こんな一文がありました。

「この機会を通して、宇宙の楽しさを感じたり、将来もし宇宙に興味が湧いた時に手を伸ばしやすくなっていたらいいなと思います。」

今すぐ宇宙に夢中になることがゴールではありません。いつか子ども自身が開けたくなったとき、すぐそこに扉がある状態をつくっておく。いくつもの入口は、2人がその扉を子どもたちの近くに置いておくために用意したものだったのだと思います。

楽校の学びは、学校の学びと切り離されたものではありません。同じ目標に、別の入口から向かっています。そして、その入口を子どもたちと一緒に探し、楽しんでくれるスタッフがいることが、楽長として何よりうれしく、心強いことです。

学校の学びとのつながり

  • 理科:小学4年「月と星」、小学6年「月と太陽」、中学3年「地球と宇宙」
  • 国語:「書くこと」(目的や相手を意識して、伝えたいことを選び、記事にまとめる)

楽校の授業の様子は、体験・見学でもご覧いただけます。

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