関わる双方の人にとって良いことが起きる。それが業務改善。

わたしがやっていることは、業務改善なのでしょうか?

「業務改善リレー」の第2走者として登場するのは、弊社サイボウズの「パートナーマーケティングセンター」(以下、PMC)で、サイボウズ製品をお取り扱いいただく全国のパートナー企業の活動を支援する田中佑布子さんです。
控えめな性格で、褒められるのが苦手という田中さん。「業務改善リレー」に自分が取り上げられるのに遠慮があったという。「ご自身が意識していないでやっていることが、業務改善につながってるのでは?」という問いかけをすると・・・

田中 佑布子(たなか・ゆうこ)さん
サイボウズ株式会社
田中 佑布子(たなか・ゆうこ)さん(以下敬略)
2011年、サイボウズに入社。
サイボウズを選んだ理由は「当時から社長が目指していた、世界一を目指すという言葉がすごく響いて。自分が今まで何かの1番を取ったことがなかったので、一緒にこの会社で世界一を目指してみたい!という気持ちが強かったから」
入社後2年間の営業職を経て、現職。

「業務改善」と言っていいのか・・・

なんかすごく遠慮がちな佇まいですが、今日は田中さんならではの「業務改善」のエピソードが聞けそうで楽しみにしています。
やっぱり「業務改善」というと、少し大げさなイメージがありますか?

田中さん
田中
そうですね。
わたしの業務は、PMCとしてパートナーさん向けのサービスを企画して提供するというところがメインです。作業しているなかで気になることがあれば、チームのメンバーに解決策を提案して、改善につなげるということは日々意識しています。
それを「業務改善」と言っていいのか・・・

なるほど。ご自身が仕事をしているうえで気になるのは、特にどんなときでしょう?

田中さん
田中
パートナーさん向けの業務支援をするなかで、パートナーさんに負担がかかったり、デメリットがあったりというところは、気になりますね。

そんな、気になるところから結果として改善につながったお話、ぜひ聞かせてください!

7時間かかっていたパートナー企業向けの講習会を4時間半に

田中さん
田中
はい!実は、パートナーさん向けの講習会を実施するうえで、改善につながった事例があります。

いいですね。どんな改善をされたんでしょう?

田中さん
田中
PMCでは、kintoneの販売活動を支援する講習会を実施しているのですが、以前の講習会は10時から17時でほぼ1日がかりになってしまっていました。

kintoneは多機能なので、機能を学んでもらうだけでも時間がかかりそうですね。かといって1日がかりの講習会となると、受講するかたにも負担になる

田中さん
田中
はい。そうなんです。
そこで、パートナーさんには事前にkintoneのWeb試験を受けてもらって、試験に合格した人だけ講習会を受講していただけるようにしました。kintoneの基礎知識はまずは独学で学んでもらうようにしたんです。

講習会にかかる時間はどのぐらい短縮できたのでしょうか?

田中さん
田中
講義の時間を13時から17時半までの4時間半に減らすことができました

7時間から4時間半の短縮というのは、数字でみてもすごい成果ですね!

田中さん
田中
はい。時間を短縮できたおかげで、地方での講習会のために講師の出張が必須だったのが、大阪や仙台までの距離であれば、日帰りで実施できるようになりました
受講する側、される側双方の、時間だけでなく、費用のコスト削減にもつながったと思います。

パートナーさんからの反応はどうでしたか?

田中さん
田中
「ただでさえ忙しい営業マンの予定を1日押さえるというのは本当に難しかったので、半日で受講できるようになったのはたいへん助かる」と、喜びのお声をいただき、とてもうれしかったです。

セールスノウハウを学んでもらうことに集中できる

Web試験の導入によって、講習会の内容も変わりましたか?

田中さん
田中
はい。
kintoneの基礎知識の講義を減らして、もともとの講習会の目的だった、kintoneのセールスノウハウを学んでもらうということをメインにしました。
受講されるかたはみなさん、kintoneの基礎知識はすでに学ばれているので。

講義の変化について、パートナーさんも喜ばれたのでは。

田中さん
田中
同じかたが講習会を2回受けることはほぼないので、「前より良くなった」という言葉は入ってこないんですよね。

あ、たしかに。

田中さん
田中
講義自体についてということでしたら、「一方的な説明だけではなく、ハンズオンの時間が多く取られているおかげでとても勉強になった」という感想は、多くうかがっています。
また、より現場に即した実践的な内容を盛り込むことができたので、その後の商談活動に活かせていただけているのではないかと思っています。

600問のWeb試験を用意

Web試験の構築、大変だったのではないですか?

田中さん
田中
はい。正直大変でした。
まずは試験のためのツールを探さなくてはいけないし、試験問題も作らないといけない。

試験問題は何問ぐらいになったんですか?

田中さん
田中
kintoneのほかに、サイボウズOffice、Garoon、メールワイズなどの他製品のWeb試験も同時進行で進めていたので、トータルで600問になりました。

600問!それはすごいですね!

田中さん
田中
はい。チームのメンバーと分担して進めました。試験問題だけではなく、学習テキストも製品分野ごとに用意して。

おー。学習テキストも用意したんですね。

田中さん
田中
はい。講習会に参加していただくためには、Web試験に合格してもらわないといけないわけですから、自学習していただくための、テキストを4種類用意しました。

学習テキストは、全部で何ページぐらいになったんでしょうか?

田中さん
田中
各テキスト100ページぐらいで、全部で400ページ超ですね。

学習テキストだけでも、なかなかの大作になりましたね!

田中さん
田中
はい。がんばりました!

Web試験について、ちょっと話を戻しますね。
Web試験はどのような仕組みで作られているんでしょうか?

田中さん
田中
Web試験は、kintoneで作っています。

kintoneで作っているのですね。実際の画面が気になります!

田中さん
田中
こんな感じです。問題の内容は公開できないので、ぼかしています。

残り時間の表示もあって、本物のWeb試験みたいですね。(笑)
kintone以外でも実現する方法はあったと思うのですが、kintoneで作られたのは何かこだわりがあったんですか?

田中さん
田中
もともとは他社のシステムでWeb試験を構築することも考えたのですが、パートナーさんにkintoneの価値や可能性を感じてもらいたいという思いもあって。
社内のエンジニアの協力も取り付けながらなんとか完成させました。
受験いただいたパートナーさんから、「このWeb試験の仕組みをお客様に提案したいから仕様を教えてほしい」というご相談を受けて、その後、実際にご提案いただいたといううれしい事例もあるんですよ。

業務改善は、一方にメリットがあるだけでは意味がない

わたしがやっていることは業務改善なのでしょうか?」と言っていたなんて信じられないぐらい、立派な業務改善してるじゃないですか。(笑)

田中さん
田中
わたしがやっていることが「業務改善」と言っていただけるのであれば、うれしいです。
わたしが考える「業務改善」は、一方の立場の人だけの業務効率化とか改善をするだけでは意味がなくて、業務改善をすることによって、関わる双方の人にとって、良いことが起きることだと思っています。

具体的に例をあげると?

田中さん
田中
たとえば、「これをしたらすごく事務処理が効率化されるのでやりましょう」という意見が出たときに、その結果、パートナーさんに大きな負担を掛けてしまう可能性があるのであれば、わたしは反対します。
パートナーさんがメリットを感じられないような業務改善は意味がないと思うからです。

信念というか強いものを感じますね。今までの経験から裏付けられてきたものなんでしょうか。

田中さん
田中
はい。2年間営業にいたことが元になっているのかもしれないです。パートナーさんに気持ちよく活動していただけることがいかに大事かということを、実感として経験しているのは大きいかもしれません。

今後は、業務リーダーとしてチームでできることを増やしたい

今後やりたいこと、取り組んでみたいことはありますか?

田中さん
田中
今はチームの業務リーダーになっているので、自分個人としてどうするかではなく、チームでできること、チームの機能を増やしたいと思っています。そのために業務改善をして、新しいことにチャレンジするための時間を捻出したいです。

「機能を増やす」というのは、どのようなイメージでしょうか?

田中さん
田中
メディアを使ったマーケティングよりの企画、たとえばSNSを使って、パートナーさんに情報をお届けしたりすることを考えています。

新しい試みですね。

田中さん
田中
はい。もう一つは分析です。
パートナーさんとのコミュニケーション基盤になっている、CyPN(Cybozu Partner Network)へのアクセス数や動画の視聴状況、アンケート結果などの分析をしたいと考えています。
パートナーさんが必要としている情報が何かを知り、求められている情報を適切なタイミングで提供できるようになればと思って。

活動の幅を広げて、今後もパートナーさんにとっても自分たちにとってもメリットになることに向けて改善を実行していくんですね。

田中さん
田中
こんなお話しでよかったでしょうか?

十分です!最後まで控えめで素敵です!

普段は決して表に出ないけれど、日々の小さな気づきから業務改善を実行されている、まさに「縁の下の力持ち」という表現がぴったりなお話でした。
自分だけじゃなく、関わるすべての人に良いことが起きるよう、思いやりがベースとなった改善って素敵ですね。
これからも、「あなたが意識しないでやっていることは、実はあなたにしかできない業務改善かもしれない」ということに気付くヒントになるような事例をご紹介していきたいと思います。

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