「自分たちで仕事のやり方を変えられるってわかったら、仕事はおもしろくなる」ー“情シス親父”が伝えたいメッセージとは

体験こそが業務改善のはじめの一歩

今回リレーにご登場いただくのは、歴史ある老舗製糖メーカーで、システム室長として社内のIT環境の改善に孤軍奮闘されている荒木 貴雄さんです。ベテランが若手に期待する、愛あるメッセージを語っていただきました。

荒木 貴雄(あらき・たかお)さん
大日本明治製糖株式会社
システム室長
荒木 貴雄(あらき・たかお)さん(以下敬略)
大学卒業後、一貫してIT関連の仕事に従事。
5年前に「老舗企業でこそ、自分の経験やスキルが生かせる」と、大日本明治製糖株式会社に転職。

大日本明治製糖さんといえば「ばらのマーク」のお砂糖で有名ですよね。
小さいころからずっとばら印のお砂糖のファンだったので、かなりテンション上がってます(笑)

荒木さん
荒木
ありがとうございます。あ、ご出身どちらですか?

群馬です。

荒木さん
荒木
あぁ、群馬でしたら、スーパーの店頭に並んでいるのを見かけていただくことが多いかもしれませんね。
今は、石垣島産のさとうきび100%で作ったお砂糖も好評なんですよ。

「ITのなんでも屋さん」

そうなんですね!石垣島のお砂糖、試してみたいです!
あまりにもテンション上がってて、いきなりお砂糖の話になってしまいました。(笑)
さっそくですが、荒木さんのお仕事についてお聞かせください。
システム室長ということですが、具体的にはどんなことをされていらっしゃいますか?

荒木さん
荒木
IT関係全般ですね。当社の「ITのなんでも屋さん」といったほうがいいかもしれません。

メンバーというか、部下のかたは何名ぐらいいらっしゃるんですか?

荒木さん
荒木
わたしを含めて5名です。正社員が4名、派遣社員が1名です。

みなさんシステム開発をやられてるんですか?

荒木さん
荒木
はい。社内のシステム開発はもちろん、運用、ヘルプデスク、インフラ周りもです。
守備範囲はかなり広いですね。

どれが最新なんだ?問題を解決

2014年からkintoneをお使いいただいているんですね。

荒木さん
荒木
はい。社内の基幹システムの入れ替えに、開発会社とのやり取りが必要になって、kintoneを使い始めました。
あ、見るかなと思って持ってきたんですけど(ノートPCを開きながら)。
こんな感じで。

ありがとうございます!開発会社さんとの情報共有にお使いいただいているんですね。

荒木さん
荒木
はい。ここで、開発会社の人とドキュメントの共有ですとか、やり取りとかをすべてやらせていただいています。一元化して。
荒木さん
荒木
システムを開発していくうえで、ドキュメントの最新化がすごく課題になるじゃないですか。
「これどうなってんだ?」って言ったら、「それ古いバージョンですよ」みたいなことを言われたりとか・・・

どれが最新かを見失う問題ですね。

荒木さん
荒木
はい。それで、この成果物のところ。最新のやつだけここに残してるんです
変更が入ったとしても、ここで(履歴のタブをクリックしながら)確認できる。
荒木さん
荒木
こうすることで、おのずと開発会社のメンバーとうちのメンバーの、認識が間違うことがなくなるんですよね。
最新版じゃないものを見ることがない。みんなが同じものを見て話せる

長年の経験からくる、躓きどころの予測

荒木さん
荒木
前職も前々職でも、開発者としてやってきて。さっきも話に出た、「最新版の管理」が「すごく」難しかったんですよね。
やり取りのなかで「言った言わない」の話にもなりますし。

手戻りが発生したり、もめたりする原因になりますよね。

荒木さん
荒木
はい。そういうところは、絶対に課題になるだろうと思っていて。
だから今までやってきた経験のなかで、これは開発で問題になるだろうというのを、事前につぶしておいたんです。

長年の経験と勘所があってこその改善ですね。
成果としてはいかがだったんですか?

見積もりの半分の工数で実現。やったな!って

荒木さん
荒木
ちょっと自慢に聞こえたらあれなんですけど。この基幹システムの入れ替えを、4人という人数で乗り切れたのは、「我ながら実はちょっとすごいなと思っていて」(笑)

だいたい何人ぐらいで見積もりされていたんですか?

荒木さん
荒木
最適な人数としては、やっぱり7、8人はいたほうがいいと思っていたんですよね

ということは、想定の半分の人数で実現できたっていうことですね!
苦労されたこともあったのではないですか?

荒木さん
荒木
大変でした(笑)。わたし以外はほとんど開発の経験がないメンバーだったので。

開発未経験なかたがほとんどという環境で、かつ自分の見積もりよりも半分の人数で実現できた。

荒木さん
荒木
はい。という風には思ってますけど。
ちょっと口幅ったいので、社内にはぜんぜんそういうことは言っていないですけれども。
もちろんわたしひとりの力ではなく、社内の業務担当者全員が協力してくれましたし、チームのメンバーがプロジェクトを通して目に見えて成長してくれたので、まぁ、やったな!って感じでした。

必ず出てくる口癖「今までと同じで」

基幹システムの入れ替えというと、かなり大がかりな作業になると思うのですが、社内のほかのかたの反応というか、雰囲気はどうでしたか?

荒木さん
荒木
うーん、システムを変更しなければいけないという実感がないんですよね。はい。
当時のシステムは、Windows 2000で動いていて。2013年にですよ。(笑)
Oracleが9で、もう3世代前なんですよ。さてどうしよう。基幹系システム入れ替えなきゃいけないと。システムに携わる身としては、ほとんど危機感しかなかったです。

荒木さんの危機感と、実感が湧かないまわりのかたがた・・・。けっこうギャップがありますね。

荒木さん
荒木
まぁ、システムの開発経験者、運用経験者って、わたししかいないので。そこは仕方ないかなと。
ただ一番気になったのは、彼らの「システムは与えられるもんだ」っていう認識なんですよね。

そういった認識は行動に出てきたりするんですか?

荒木さん
荒木
必ず出てくる口癖があるんですよ。

え!何ですか。口癖って?

荒木さん
荒木
「今までと同じで」って。
荒木さん
荒木
システムは変わるものなので、今までと同じなんてできないし。今までよりも逆に不便になってしまうケースもままあるとは思うのですが。
「今後、改善していくから」とか「今までと同じじゃなくて、もうちょっと良くすることを考えようよ」って言っても、「いや、今までと同じで」って。
ここがすごい、ものすごく、ハードルというか壁が厚いんですよね。

開発経験豊富なベテランである荒木さんと、開発経験がないかたがたとのギャップを埋めていくのはなかなか難しそうですよね。
荒木さんのご経験から、メンバーにここだけは意識してほしいというところはありますか?

「自分たちの業務は自分たちで変えなくてはいけない。」というマインドを作っていく

荒木さん
荒木
そうですね。まずは、「自分たちの業務は自分たちで変えなくてはいけない。」っていう意識ですかね。

メンバーに荒木さんの思いを伝えたりっていうことはあるんですか?

荒木さん
荒木
直接的に伝えるということはないんですが。
いつも口癖のように言っているのは、「『〇〇なんですけど、どうしましょう』って言うのは、ダメ。『〇〇だからこうしたいと思うんですけど、これでいいですか?』って言って」って。

問題を「自分ごと」としてとらえて、解決策を自分たちでまず考えてみると。

荒木さん
荒木
はい。彼らにやりたいことがあって、力不足でできないのであれば、わたしはいくらでもサポートします。
でも丸投げされると、やっぱりそれはちょっと違うんじゃないっていう風に思ったりするんですよね。
わたしの経験から言えることは、自分たちで仕事のやり方を変えられるんだってことがわかったら、仕事はおもしろくなるってこと。絶対に。そこを伝えたいですね。

若手メンバーだけでAccessからkintoneへ移行。ぐっと来た瞬間。

荒木さんが実感として、自分の思いが伝わっていると感じることはありますか?

荒木さん
荒木
まだまだなんですが。
でも、(画面を指さしながら)これ!これを見ていただければと思うんですが。
これは、大阪にいる研究開発部のメンバーが企画して、うちの若手のメンバーと一緒になって進めたプロジェクトで。

荒木さんがタッチせずに企画されたプロジェクトなんですか?

荒木さん
荒木
はい。わたしは一切タッチしていないです!
MicrosoftのAccessからkintoneへの移行なんですが。
研究開発部の、開発とかシステムの知識はない人が、うちのメンバーと一緒にやってこのアプリケーションを作り上げたんですよ。

Accessだとできないことがあって、彼らなりに問題を解決しようと?

荒木さん
荒木
(画面を指さしながら)ここにいろいろ書いてあるのですが、「処理速度が遅い」とか「過去の履歴を確認するのに時間がかかる」とか、不都合があったんですよね。
「kintoneにすれば、ここがこんな風に解決できる」っていうのをそれぞれのメンバーが体験して学ぶなかで、自分たちだけで企画して作り上げるまでできるようになったんです。

これは、うれしいんじゃないですか?

荒木さん
荒木
はい。ぐっときますね!

こういう流れを作れるようになったのは、大きな成果だと思うのですが、この流れを止めないためには何が必要だと思いますか?

荒木さん
荒木
「体験」だと思います。
実際に自分で体験しなければ、こういう風なアイデアは出てこなかったよねっていうのがわたしの思いなんです。

使ってみないと、問題の解決策も、何をしたいかっていうのも出てこないですもんね。

荒木さん
荒木
はい。そう思っています。
業務改善、というか課題の気づきには、まず体験から。と思ってます。
そういう意味で言うと、kintoneは体験してもらいやすいツールだと思うんですよね。
「実際にこれができるよ」というのを見せやすいですし、「こういうことをやりたいんだけれども」っていうアイデアがきたら、じゃあやってみたらって。(笑)

想像もつかないようなアイデアを出してほしい

若手のかたに、どんなアイデアを出してもらいたいですか?

荒木さん
荒木
わたしが想像もつかないようなアイデアを出してほしいです!

想像もつかないようなアイデア!どんなものが出てくるんですかね?

荒木さん
荒木
いやぁ、わかんないです。(笑)
少なくとも出してほしいなと期待しているのは、他社とのコラボをkintoneで実現してほしいかなと。

社内のなかだけではなくて、幅を広げるという。

荒木さん
荒木
はい。そうですね。うちの会社には共同運営会社として砂糖の製造工場があって、ほかの同業他社と共同で砂糖を作ってたりするんですよね。
そういう意味で、結構関連する他社が多いので、そこでのやり取りに、わたしが開発会社とのコミュニケーションで使ったような、情報を一元管理してみるとか、そういうようなアイデアは出してほしいなと思っています。

「社員がやりたいことをストレスなくできる」が業務改善のイメージ

荒木さんが思う業務改善は、どんなイメージですか?

荒木さん
荒木
社員ひとりひとりがやりたいことをストレスなくできることが業務改善のイメージです。

ストレスをなくしてやりたいことをできる環境を作る?

荒木さん
荒木
はい、その土台を作りたいと思っています。
やりたいことをできる環境を準備するっていうところが、システム室としてのわたしの役目だと思ってますので。
人からやらされる仕事はおもしろくないんですよ。自分がやっぱり楽しくないと。

やりたいと思ったことが実現できたら自分でもうれしいし、周りの人がそれを使って「仕事がしやすくなったよ」って言ってくれたら、またさらにうれしくなりますよね。

失敗したらやり直せばいいという環境を作りたい

荒木さん
荒木
はい。それが失敗になったとしても、反省すればいいだけの話で。
そこでへこむ必要もないですし。

でも難しいですよね。1度失敗すると、そこから立ち上がるのって。
またさらに勇気がいることだと思うので。

荒木さん
荒木
そうですね。あとはそれを許す環境ですよね。
失敗してもいいよって、許す環境っていうのを作りたいなと思って。

やりたいことをやりたいと言えて、失敗したらもう一回やればいいよって言える環境。

荒木さん
荒木
はい。それが業務改善かなって個人的には思ってます。

手取り足取り指導するのではなく、体験から感じてもらい、アイデアが出てくるのを待つ根気強さ。
それに加えて、失敗をしたらやり直せば良いという安心感のあるバックアップ。
情シス親父ならではの「愛」を感じました。
業務改善マインドは、ベテランから若手へこうして受け継がれていくんですね。