被災者台帳の構築で災害関連死ゼロへ
平時の備えから
医療・福祉とのデータ連携を
調査概要 Survey Summary
災害時の迅速な支援を目的に、「避難者登録フォーム」の使いやすさを検証するユーザビリティテストを実施しました。
デジタル操作に不慣れとされる70代以上を対象に、スマートフォンでの情報入力を検証したところ、全員が送信を完了し、98%が10分以内に登録を終えました。回数を重ねるほど操作がスムーズになる傾向が見られ、平時の入力体験が有事の備えとなる可能性が示されました。
誰もが安心して使えるフォーム設計の重要性が改めて確認されています。
対象・方法
- 調査対象
- 70〜80代の男女10名(男女均等割付)
- 調査期間
- 2024年7月22日(火)〜7月25日(木)
- 調査方法
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サイボウズ東京オフィスでの対面形式。スマートフォンを使用し、避難者登録フォームへの入力操作を4回
(ダミー情報2回・本人情報2回)実施。入力時間を計測し、操作性と課題を検証。
調査サマリー
調査から見えた新たな課題
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01
高齢者に配慮した入力設計の必要性。生年月日入力がカレンダー式で70回以上のタップを要するなど、操作負担が大きい項目がありました。数字入力やプルダウン形式など、年齢に応じた設計改善が求められます。
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02
画面構造と操作ガイドの分かりにくさ。横スクロール内の「家族追加」ボタンに気づかないケースが多く、操作をためらう声もありました。ボタン表示や説明文の工夫によるガイド強化が必要です。
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03
アイコン操作の意味の理解不足。「+」「×」などの記号のみでは意図が伝わらず、誤操作への不安から押せないという意見がありました。文言補足や明示的なラベル化が有効です。
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04
配色・文字コントラストの視認性課題。淡い色の入力欄が見づらく、入力完了の判断が難しいという声がありました。高齢者にも判別しやすい配色・コントラスト設計が望まれます。
ユーザーテスト
避難者登録フォーム ユーザビリティテスト
70歳以上の男女10名への調査
そでらぼからの
政策提案
Policy Proposal
防災DX / kintone活用 『災害関連死ゼロ』へ。誰一人取り残さないデジタル防災
災害対応における「情報」の課題
大規模災害の発生直後、支援を必要とする被災者の情報は錯綜し、多くの自治体でその集約と共有が大きな課題となります。
特に避難所の現場では、いまだに紙の名簿によるアナログな運営が多く、誰がどこにいるのか、どのような支援を必要としているのかをリアルタイムで把握することが困難です。
この「情報の断絶」は、支援の遅れやミスマッチを生み、本来救えたはずの命が失われる「災害関連死」の一因となっています。
また、避難所の環境を理由に自宅や車で避難する「在宅避難者」の存在は、この情報把握をさらに複雑にし、支援から取り残されるリスクを高めています。
国の動向と自治体に求められる対応
国もこうした課題を認識し、デジタル技術を活用した防災・減災の取り組みを推進しています。内閣府が示すガイドラインでは、避難者情報の迅速な把握と共有の重要性が強調され、デジタル庁を中心に自治体のDX支援が進められています。
また、福祉分野においても、災害時要支援者の支援を担う災害派遣福祉チーム(DWAT)の活動範囲が、法改正により避難所だけでなく在宅避難者等にも拡大されました。これは、自治体が平時から要支援者情報をデータで管理し、有事の際には外部の支援組織とも円滑に連携できる体制を構築する必要性が高まっていることを示しています。
01 高齢者も活用できる「住民参加型デジタル避難所」の開設
住民・被災者の方のメリット
避難所の受付に並ぶことなく、QRコードを読み込むだけで避難者情報を登録
持病や特別な配慮が必要な場合にも対応し、生活状況を考慮した上でより適切な支援を受けやすく
デジタル化による多言語入力や翻訳機能の活用で、外国人住民も簡単に情報登録可
概要
避難所受付での長蛇の列を解消し、被災者と職員双方の負担を減らすため、スマホとQRコードを活用した「デジタル避難者名簿」をkintoneで構築します。当社が70歳以上を対象に行った実証実験では、多くの方が短時間で入力を完了しており、高齢者でも直感的に操作できることが証明されています。
導入により、紙名簿では把握困難だった「在宅避難者」や車中泊、二次避難等の状況も含め、あらゆる被災者の所在と支援ニーズをリアルタイムで一元管理できます。情報の断絶を防ぎ、避難所以外の場所にいる被災者へも迅速に手を差し伸べるための基盤となります。
さらに、平時の防災訓練で入力を体験する「住民参加型」の運用を推奨します。一度でも経験すれば有事の際も住民は慌てず行動でき、自治体は初動から円滑な運営が可能になります。これは住民自身が災害対応の主体者となる「住民起点のDX」の取り組みです。


02 組織の壁を越えるデータ連携による、誰一人取り残されない支援
住民・被災者の方のメリット
細かい説明をしなくても、専門の支援チーム(DWAT)が訪問し、必要なサポートを判断
罹災証明の申請から給付金、公営住宅の案内まで、生活再建のための行政サービスがスムーズ
必要な情報が関係者に安全に連携されることで、孤立することなく必要な支援を受けられる
概要
高齢者や障がい者といった災害時要支援者を、組織の壁を越えて支援するための 「データ連携基盤」をkintoneで構築します。 まず、平時から庁内で管理している要支援者情報を、有事の際に迅速に共有できるよう整備します。
発災後は、住民から申請される「罹災証明」のデータを、個人情報を保護した形で災害派遣福祉チーム(DWAT)と共有します。家屋被害があった場所(位置情報)を共有するだけでも、DWATは支援が必要な人々が集中するエリアを把握し、訪問活動を行えます。これは、静岡県牧之原市や東京都八丈町の公民連携の事例でも有効性が証明されています。
庁内の部署間、そして自治体と外部の支援組織。これまで分断されがちだった情報をデータでつなぐことで、本当に助けを必要としている人に迅速に手を差し伸べ、誰一人取り残されない支援体制を構築します。

03 災害ケースマネジメントを実現する「被災者台帳システム」の構築
住民・被災者の方のメリット
誰もが迷わない明確な手順で、発災直後からスムーズに支援が開始される
医療・介護情報が安全に連携され、説明不要で最適な健康管理・サポートを受けられる
申請のたらい回しがなく、生活再建の最後まで一貫したサポートが可能となる
概要
内閣府が発行した「被災者台帳の作成等に関する簡単手引き」を踏まえ、発災直後から生活再建までの支援情報を一元管理する「被災者台帳システム」をkintoneで整備します。平時から関係者が運用を体験し、情報共有の意義や個人情報の取扱いを理解することで、災害時に円滑な災害ケースマネジメントを実施できる状態をつくります。
本システムは、氏名・住所等の基本情報に加え、罹災証明、住宅、義援金・支援金、減免・貸付などの状況を整理する「被災者台帳アプリ」と、保健師や福祉専門職が心身の状況や相談内容・対応履歴を記録する「相談記録アプリ」で構成します。さらに、避難者名簿や避難行動要支援者名簿と紐づけることで、「食事・移動の介助」や「透析・在宅酸素の有無」といった要配慮情報を可視化し、必要な支援をピンポイントで届けられるようにします。
また、「情報の提供同意」に基づき、ボランティアセンターやNPO等の外部支援団体とも安全に連携し、避難所退所後も行政と民間がチームとなって一人の被災者に寄り添い続ける体制を構築します。長期的な見守りと生活再建を、切れ目なく支えます。



災害支援プログラム
無償ライセンスと専門チームで被災地を支える災害支援
災害支援プログラムは災害が発生した被災地をITで支援する取り組みで、これまで熊本、静岡、福島、トルコをはじめ2024年1月の能登半島地震でも活動を行っています。当プログラムは、サイボウズのクラウドサービスを半年間無償で利用できる「災害支援ライセンス」、約20社のパートナーに各社のサービスを提供いただく「災害支援パートナー」、ICTを活用したシステム構築を手がける「災害支援チーム」の3つで構成され、災害時に復旧関わる団体や人々への迅速な支援を提供しています。
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