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情情シスイベントレポート:後編

【後編】情シスを悩ます「要望の吸い上げ」と「端末管理」。自由すぎるサイボウズ社員とどう向き合う?

「100人100通りの働き方」を掲げるサイボウズでは、社員から情シスに寄せられる要望も実に多岐に渡ります。中でも情シスに課せられた課題として大きなウェイトを占めるのが、支給するPCやスマホの「端末管理」と、社員からの「要望の吸い上げ」問題です。

サイボウズの情シスでは、どのようにしてこれらの問題に対応しているのか、「サイボウズの情シス直伝!キントーンをフル活用したヘルプデスク業務勉強会」で語られた具体的な事例をご紹介します。

多様な要望が届くサイボウズでの端末管理方法

サイボウズ情報システム部の鶴村です。続いて、「サイボウズでは社員からの要望が自由すぎて管理が大変なのでは?」という点についてご紹介します。

要望が自由すぎて、端末管理が大変じゃないんですか?

サイボウズではPC、スマホの端末管理をすべてキントーン上で行っています。

端末管理も”見える化”

メーカーや型番、保証期限、購入金額、ステータスとして在庫なのか使用中なのか、どこで使っているのかといった情報が記載されています。

コメント欄で利用状況の確認ができるのが便利

端末管理でも重宝しているのがコメント欄。「鈴木さんは、まだこちらのPCを使用されていますか?」と連絡を入れて、回答してもらうことができます。

Excelでも端末管理はできると思うんですが、その場合、別途コミュニケーション手段が必要になりますよね。

その点キントーンの場合はコメント機能を使ってやりとりが残るので、「なるほど、今月返却したのね。じゃあステータスを在庫に変えておこう」といった確認ができるようになります。

あとは履歴を確認できる機能もあります。コメント横の時計マークですね。こちらを押すと「5月27日に『使用中』から『在庫』へステータスを変更しました」という記録が自動で残るようになっています。

通常こういった情報を後から遡るのは大変だと思うんですが、こうやって履歴が残ることで簡単に調べられるようになっています。

また、スマホもキントーンで管理しています。

スマホ管理もkintone

端末を渡したあと、利用者にはMDM(※)のインストール直後に、「MDMを入れたよ」という確認のボタンを押していただくことになっています。

キントーンならリマインド機能があるので、貸し出したあとに3日経ってもインストールしていない人がいれば、リマインド通知が届くように設定できます。

指定したセキュリティアプリを3日以内にいれないと利用者に自動でリマインド通知

このように、キントーンには管理とコミュニケーションを両立できる機能が備わっていますので、非常に効率的に端末管理ができています。

端末管理のまとめ

多様な要望を柔軟に吸い上げる方法

続いては、どうやって社員からの多様な要望を柔軟に吸い上げているの?というお話もできればと思います。

どうやって多様な要望を柔軟に吸い上げているんですか?

ここでは、これまでに社内で受けた要望の中から、実際に実現してきたものをいくつかピックアップしてきたので、まとめてご紹介したいと思います。

実際に実現した要望

「全会議室にビデオ会議システムを導入してほしい」

まずはこれですね。いやぁ、高いよ!って(笑)。費用が費用なので、どうやって上長に提案したらいいんだろうかって悩ましかったんですが、無事に完了しました。

このあと、どういう“からくり”があったのかを紹介したいと思いますが、ここでは結果までのご紹介に留めさせていただきます。

「PC等を2年交換にしてほしい」
これまでは、3年周期で交換していました。今は比較的スペックも高いPCなので大丈夫なことが多いですが、以前のPCだと3年も経つと正常に動かなくなってしまうことが多く課題でした。そんな経緯もあり、今は2年で交換できるように変更しています。

スマホも同じですね。2年経ったら「承認不要」で新しい端末と交換できるようにしています。

「情シス管轄か総務管轄かわからない」
コストがかかる内容ではないんですが、問い合わせ先が情シスなのか、総務なのかがわかりづらいという要望がありました。

この件については、総務チームと連携してお互いのチームの窓口でエスカレーションし合うなどで対応してきました。

「在宅勤務用に自宅に置くマシン・備品を貸与してほしい」
突発的な在宅勤務に対応できるよう、希望者全員にPCを貸与します、と。で、本当にそれでいいの?というところなんですよね。本音を言うと(笑)。

在宅用なのでネットワークに繋がらないときの方が多く、きちんと管理できるのか若干心配でした。ただ、こちらもちゃんと社内で承認が下り、希望の環境を実現することができました。

社内の要望は「IT要望箱」を使って吸い上げる

社内の要望は定期的に、今は2年に一度くらいの頻度で「IT要望箱」というアプリを使って吸い上げるようにしています。その後、いただいた内容は集計して全社向けに公開しています。

実際に「IT要望箱」に届いた意見の中で、なおかつ対応が完了したものの中から「いいね」の件数が多い順に並べ替えてみました。

要望もkintoneで吸い上げ!

「ビデオ会議を増やして欲しい、全会議室にほしい」
これ、内心大丈夫かなと思いながら全社向けに公開したんですが、共感者による「いいね」がすごく増えました。

「交通費精算・旅費精算の仕組みを変えてほしい」
サイボウズのガルーンというツールのワークフロー機能を活用しているんですが、実はそれがちょっとづらいのでは?という意見が、なんと“社内”から(!)上がりました。

実際は簡単に使えるシステムなんですが、他のシステムとの連携でやや弱い部分があるようでして、その要望に対する「いいね」が31も来ました(笑)。

「プロキシの運用をやめてほしい」プロキシを通して外部へ接続したいという要望があって導入したところですね、今度は反対に「止めてほしい」という要望がきました。

セキュリティ的な事情で何かトラブルがあったときに、全部こういうものを通さないと全部出てしまうという要望が来たりですとか。こちらはやりかたをちょっと変えて、今は別のツールを導入して解決しています。

「手軽に発表を録画する仕組みがあると嬉しい」以前に使っていたビデオ会議システムだと録画ができなかったんですが、今は別のツールを導入することで手軽に録画ができるようになりました。

もちろん、“今”も録画しているので、ちょっと勝手なことは言えないんですけども(笑)、勉強会の内容は手軽に録画できるようになっています。

「いいね」があることで、誰にどのくらいのニーズがあるのかが把握できる

先ほど、難題を上司に説得する際に「からくり」があるとお伝えしたんですが、その正体が「いいね」なんですね。この「いいね」が多いと何かと説得しやすいんです。

「どの部署の誰々さんが言ってる」「あの人もいいねと言ってる」というのが可視化されるので、何を提案するときの説得力に繋がります。

「業務効率がこれだけ上がります!」と提案しても、「実際に嬉しくなるのは誰なの?本当にいいねって言ってるの?」と聞かれることがあると思うんです。そんなときでも、要望に対して「いいね」した人を確認すればすぐに答えられるのがいいところですね。

「いいね」で影響反映がわかる

また、何度目の登場かわからないですが、例のコメント機能も活用できます。コメントの中で詳しくヒアリングができるので、「本当に必要ですか?」「月に何回使いますか?」「別の方法じゃダメですか?」というように確認することができます。

また、各要望に対して集計機能を使えば、カテゴリ別に表示することもできます。

自動集計機能で要望が多い分野を把握できる

グラフで一覧できるようになっているので、今はツール系の要望が多く来てるなとか、OneDriveがちゃんと動かない・同期にエラーが出るといった要望が多いのかとか、じゃあちょっと対策を考えないとな、といった行動に移すことができます。

少しビックリした要望でいえば、過去にはこんな内容もいただいています。

こんな要望も…

情シス的には本当に困っちゃうんですけど(笑)。

こういった要望の吸い上げには、やはりご紹介した「いいね」が役に立ちます。プラグインの機能ですが、有料ではありません。「cybozu developer network」からダウンロードしてインポートすれば無料ですぐに使える機能です。便利にキントーンを使うための機能として参考までにご紹介させていただきました。

要望吸い上げのまとめ

まとめ

まとめます。情報はオープンにすると良いことがある。管理とコミュニケーションは同じ場所でやるとやりやすい。要望の実現には「いいね」を活用する。

そういったところが、情シスが抱えがちな課題を解決するためのコツとしてご紹介できるかなと、ご説明させていただきました。

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