イベントレポート
AI活用の成功法則と戦略的アプローチ
〜AI & Data Management Forum 2025, Japan〜
サイボウズのテクニカルエバンジェリスト山下竜が、2025年3月に開催されたIDC主催「AI & Data Management Forum 2025, Japan」に登壇しました。 本イベントは、「AI活用とデータマネジメントの再構築」をテーマに、IDCアナリストや主要ベンダーによる最新の提言や、事例紹介のほか、熱い議論が交わされました。 今回は、イベントに登壇したサイボウズ山下による講演「AI活用の成功法則と戦略的アプローチ」を、イベントレポート形式でご紹介します。
- 日時
- 2025年3月6日(木)
- 会場
- 東京コンファレンスセンター・品川 5階大ホール
- 主催
- IDC Japan株式会社
- 対象
- 企業のIT/DX部門の意思決定者、経営者層、経営企画部門、総務部門、事業部門などの方々
サイボウズ株式会社 製品戦略室 兼 エンタープライズ事業本部 テクニカルエバンジェリスト
山下竜
AI活用で顕在化する「データ整備」という課題
業務でのAI活用のステップは「生成AI+社内データ」に進むと課題が顕在化します。社内AI活用で生じる実施段階での課題は「AIに組み合わせるデータの整備」です。とりあえずの対応では期待精度にならないことが多く、性能の向上やメンテナンス容易性の確保のため「AI活用のためのデータ整備の必要性」が顕在化してきます。 データ整備とは、人やAIが所望のデータを適切かつ効率的に取得できる状態を作ることです。具体的には、重複や不要な廃止済み情報の排除、関連情報の抽出や検索、APIによるデータ操作のしやすさを指します。AI活用では、AIに渡る必要のないデータが渡って期待動作になっていないことが多く、これを防ぐ仕組みを作ることが求められます。
解決策① DWH等を利用する「データパイプライン」の整備
AI活用のためのデータ管理の打ち手として「DWH等を利用するデータパイプラインの整備」があります。これはAI活用のためのデータパイプラインを構築し、AIが扱いやすい状態を作るアプローチです。データソースから非構造化データを受け入れるデータレイク、データを統合するデータウェアハウスを経て、最終的にデータマートで業務・用途特化でデータを取得しやすくグルーピングします。 このデータマートの段階で、そもそもAIに渡らなくて良い情報を排除し、AIの対応範囲を業種・用途毎に定義することが重要です。これにより、検索・絞り込みがAIやその用途に合ったDBを選択できるようになります。
解決策② PoCにも有効な「ノーコードツール」の活用
AI活用のためのデータ管理のもう一つの打ち手が「ノーコードツールの活用」です。これは、業種・部門特化AI等PoCを部門裁量で進める時などの適用シーンで有効です。 このアプローチは、データソースとAIが1:1対応の際に特に有効で、そもそもデータ型含めた構造化を入力時点で整えてしまう点に利点があります。データ型を伴う入力フォームから構造化データを格納するデータソースとして利用でき、構造化データを即時にAI連携させることが可能です。コストは小さく、大容量データの取扱には弱いものの、部門単位での迅速なAI活用に適した手法といえます。