普通にできることこそが強み
ー 非エンジニアなのに、カスタマイズにも挑戦できる原動力になっているものとは?

こうしたら絶対に良くなるって思ったら黙ってられなくて

株式会社ライドオンエクスプレスというと、宅配寿司『銀のさら』で有名ですね。
今回取材する室田さんは、いろいろなジャンルのレストランのお料理を自宅やオフィスに届ける、デリバリーサービスを展開しているファインダイン事業部に所属されています。
「ぜひ、サービスをご利用いただきながら」というたいへん嬉しいご提案をいただき、業務改善リレー初の(笑)おいしいステーキランチをいただきながらの取材となりました。

斉藤 領(さいとう・りょう)さん
株式会社ライドオンエクスプレス
室田 茉衣(むろた・まい)さん(以下敬略)
ファインダイン事業部に所属し、日々増えていく飲食店のメニューや配達可能時間などをkintoneで管理。中途採用で入社して3年。
2018年12月 kintone認定 アプリデザインスペシャリスト取得。

今日はよろしくお願いします!
このお肉、柔らかくて、すごくおいしいですね。ごはんもおいしい。(笑)
やっぱり扱う商材が美味しい食べ物だと気分が上がりますか?

室田さん
上がりますね。(笑)
今も営業さんから、新しいお店がはいりましたって言われて、メニューを登録したりしてるんですけど。
中華料理のお店だと中華食べたくなったり、ハンバーガーやさんだとハンバーガー食べたくなったり。
おなかすいちゃうし。ちょっと困ることもありますね。(笑)

それぞれが得意なところで力を発揮できればいい

こちらの会社には、もともとは営業で入社されたとか?

室田さん
もうほんと、泥臭い飛び込み営業から始めて。その通りにあるお店、端から端まで全部入るみたいな。(笑)
当時は、今よりもずっと人数が少ないなかでやっていたので、レストランさんから契約いただいて、メニューを決めて、お料理の撮影、システムへの登録、Webサイトに反映するといった作業をずっと1人でやってたんですよね。

営業をやりながら、バックオフィス的な作業もやる。想像しただけでもかなりな労力ですね。

室田さん
はい。あまりに1人でやるのがたいへんだっていうのと、次の営業先へのアプローチができなくなるっていう問題がみえてきて。
新規獲得に注力するメンバーと、内勤でシステムへの登録をするメンバーに分けようかという話になったんです。
前職で営業アシスタントをやっていたこともあって、システムへの登録するほうに回された感じでしたね。

営業でバリバリやりたいと思って転職したのに、不本意ではなかったですか?

室田さん
新規事業ということで、課題だらけだったんですよね。
なので、それをちょっとどうにか。まず足固めをしてというか、本当にやりたいことに時間をさけるようにしたいと思って。
営業が得意な人もいれば、こつこつ入力するのが得意な人もいる。それぞれが得意なところで力を発揮できれば、課題の解決に近づける。わたし以外は、ゴリゴリの営業マンばっかりでしたし。

ミスは絶対にするもの。でも仕組みで防ぐことはできる

前職で営業アシスタントをやられていて、そのときに課題解決への意識とか生まれたんですかね?

室田さん
そうですね。不動産情報誌の営業アシスタントをしてたんですけど。
情報誌への掲載枠を不動産会社のかたに契約していただいて、月々更新していくというのが営業のお仕事で。
お客さまにいただいた契約申込書の内容と、実際に掲載されている内容が違うとか、サービスすると言っていたはずが正規で請求してしまうとか、ミスが多かったんですよね。

営業アシスタントとして、何とかしなくちゃと。

室田さん
はい。ミスしたときのリカバーがやっぱりすごくたいへんで。トラブル対応しているとイレギュラーな作業が発生し、それがまた新たなミスを呼び。その対処で追われるうちに、1日が終わってしまう。

ミスが続くと萎縮して、どんどん疲弊していきますよね。

室田さん
営業のメンバーはみんなまじめで一生懸命やっているのがわかっていたので、とにかくミスの温床を解決したいと思って。課題解決への意識っていうと、そのときからあったかもしれないですね。

具体的にどんなことをされてたんですか?

室田さん
たとえば、申し込み時に入力された内容と、システムに登録されている内容のどこに差分があるのかがわかるように、Excelに関数を入れたり。ぜんぜん特別なことではないんです。
事前に確認ができるようになっただけなんですけど、それでもう驚くほどミスが減って。

実感できる効果ってありましたか?

室田さん
それはもう。残業は減りますし、みんなの笑顔が増えて、朝来るのが早くなったりとか。ミスは絶対にするもの。でも減らす仕組みを用意すれば、防ぐことはできる。
仕事も楽しくなって、会社の雰囲気もどんどんよくなりました。

便利に使えることが実感としてわかるようになったら面倒じゃなくなる

すごい成功体験ですね。そういう経験があると、改善への意識も高まりますよね。
kintoneは、最初はどんな使い方から始めたんですか?

室田さん
最初は営業履歴の管理だけ。とても贅沢な使い方をしてました。(笑)
kintoneを使う前は、日報に「今日はアポイント2件でした」とか書いてメールで報告するだけで。
月末になって、「そういえば今月の案件何件だった?」って、日報を全部探して、「この日は2、この日は5、合計で・・・」という感じで1日かけて集計するっていう。(笑)
担当者が退職したら、どんな営業活動してたかの履歴は残らないし。
明らかに非効率ですよね。

なるほど。今はどんな使い方をされているんですか?

室田さん
今はまだ、散り散りになっている情報をkintoneに集められてきたところなんですけど。
たとえば、レストランさんごとに、掲載するWebページのアドレスや、ログイン情報をまとめたアプリを作ったり。
レストランさんから「ログインできなくなった」っていう問い合わせがくることが結構多いんですよね。
パスワードを忘れたとか。

お店が増えれば増えるほど、問い合わせも増えてくる。

室田さん
そうなんです。
今までは、WebページのアドレスはGoogleのスプレッドシートで、IDとパスワードは別のシート、レストランさんのメールアドレスはまた別のシステムから探して、コピペしてっていう。(笑)

それが、kintoneのアプリを見るだけで済むようになった。

室田さん
はい。誰でも、kintoneにアクセスするだけで、いつでも簡単に回答できるようになって。みんなやっと情報が1か所にまとまっている便利さに気づいてくれたところです。
最初は、営業の履歴をただ入力させられるだけの場所でしかなかったのが、今では自分たちで便利に使えることが実感としてわかるようになってきたみたいです。

工数でいうと、どのぐらいの削減になったんですか?

室田さん
プラグインも入れて、レストランさんにメールを送れる仕組みまで入れたので、全体の工数でいうと1/10ぐらいにはなってますかね。

できない人の気持ちがちゃんとわかる

いろいろカスタマイズもされてるんですよね。アプリの検索のところとか。

室田さん
そうですね。
やっぱり、ここ(アプリの絞り込みのボタン)をみんな押せないんですよね。

え?!そうなんですか。

室田さん
そうそう。
ここで(一覧を切り替えるドロップダウン)表示する一覧を切り替えられるっていうのもわからないし。
グラフの機能もほとんど使えない。

絞り込みのボタンを押せないとか、一覧を切り替えられないっていうのは後ろから、そっと見てて気づくんですか?
それとも話してるうちに、あ。これ気づいてないなってわかる?

室田さん
最初にみんなに、「ここで絞り込みできるんだよ」って教えるんですけど。
会話してると、「明らかにこれは使えてないな」って。(笑)
グラフも。こんな風にグラフ見るだろうなっていうのをあらかじめ何パターンか用意してたんですけど。
気づいたらもうなんか、絞り込みをかけて、検索結果の数をメモるみたいなこととしてて。(笑)
ボタン1つで表示できるように作ってるのに。悲しくなりますよね。

使い方を覚えてもらうってことはせずに?

室田さん
わたしも最初からいろんなことができたわけではないですし、できない人の気持ちがちゃんとわかるっていうか。エンジニアでもないですし、普通なんです。
わからないって言われたら、わからないんだろうなっていうのは理解できます。
無駄ですよね。何で分からないんだとかって考えるのって。
それに、こうしたら絶対よくなるのに、って思ったら、黙っていられないんですよ。

こうすればうまくいくのに、みたいなのは、ぱっと思いつくんですか?

効率が悪いのが本当に嫌い。楽をするための苦労はいとわない

室田さん
割と自分のなかでイメージができているというか。
わたしが本当に、すごくめんどうくさがりなんですよ。楽するための苦労はいとわない。(笑)

それが原動力なんですかね。非エンジニアでも、カスタマイズも、いとわず挑戦できる。

室田さん
そうかもしれませんね。
カスタマイズ。本当に便利ですよね。
たとえば、クーポンを申請するアプリでも、チェックしたものをまとめて申請するっていうカスタマイズを追加してるんですけど。

プロセス管理で、1件ずつの申請じゃなくて、まとめて申請できるようにしたんですね。
そうすると、どういう流れになるんですか?

室田さん
一覧画面で、チェックを入れて「申請」ってすると、全件が「申請」ステータスになるんです。
1件ずつレコードを開いて、申請ボタンを押してっていう作業がなくなる。

何がきっかけだったんですか?まとめて申請したほうが効率的だなって。

室田さん
効率が悪いのが本当に嫌いで。
もともと、簡単に入力してデータを投入するだけで、クーポンのデータができる仕組みはできていたんですけど。
結局レコードの詳細画面を開いて、1件ずつ申請するのってめんどうだなって。
あとは、やっぱり申請ボタンを押し忘れるとか。

プロセス管理で、申請ボタンを忘れるのは、あるあるですよね。(笑)

室田さん
10件申請したはずなのに、9件しかプロセス管理に回ってないとか。
だったら、まとめて申請する仕組みをカスタマイズで追加しちゃえばいいって。

kintoneの認定資格をとったのは、もっと自信をもってkintoneを勧められるから

そのあたりの経験が生きてるんですかね。kintone認定資格のアプリデザインスペシャリストを取得されてますよね?
資格を取得するのって、何がきっかけだったんですか?

室田さん
みんなに「kintone便利だよ。使ってみて」って勧めるときに、わたしが資格を持っていたら、言葉の信用度が増すんじゃないかと思って。
資格を持っている人が言ったほうが、それっぽいじゃないですか。(笑)

試験勉強はされたんですか?ある程度実践でカバーできた?

室田さん
アソシエイトを受験するときはテキストを買って、一通り勉強しましたね。

テキスト。あの分厚いやつ。(笑)

室田さん
そうです。(笑)
でもあれやってよかったなって思いました
制限値とか、覚えることがすごく多かったんで。

アプリデザインスペシャリストは、特に勉強せずにさくっと?

室田さん
基本的にはやってきたことが、そのまま問題になっていたというか。
もう本当に、今となれば業務が課題だらけだったので。もうそこらじゅうに練習問題が。みたいな。(笑)

実践してきたことがそのままって感じだったんですね。
ということで、記念にアプリデザインスペシャリストのピンバッチの贈呈を。(笑)

室田さん
嬉しい!ありがとうございます。

楽しく仕事をするために場を整えたい

最後に。お約束の。「あなたにとっての業務改善とは?」という質問をさせてください。(笑)

室田さん
聞かれると思ってずっと考えてるんですけど。難しいなと思って。
「業務改善をやってね」と言われてるわけでもないですし、メインミッションでもないですし。
やって当たり前というか。

当たり前にやってるからこそ、言語化するのが難しいのかもしれませんね。

室田さん
一言でいうとなんだろう。
楽しく仕事をするために場を整えるというか、その土台作りではあるかなと。

自分だけが楽しいんじゃなくて。
周りが楽しくないと自分も楽しくないとか。そういうところなんですかね。

室田さん
もともと、営業外勤で入社したのに、バックオフィスになっちゃって。
ちょっと腐ってたときに、kintoneでいろいろできることがわかって、仕事のモチベーションが上がってという感じなので。
ぜんぜんかっこいい理由でやっているわけではないんですよね。

今後やりたいこととか、どんな風にお仕事したいですか?

室田さん
最近は現場から、「kintoneを使って、もっとこうしたい」という声が出てくるようになっているので、やりたいことが具体的にみえてきたときに、「さあどうぞ。できますよ」って言える状態にしたいですね。

普通にやっていることだから、カッコよくない?いえいえ、ぜんぜん。
意識せず、普通にできることが業務改善を進める強みになっているんですよね。
サービスの発展や成長のため、チームのメンバーが少しでも仕事をしやすい環境を作りたい。そのための業務改善。という熱のこもったお話をうかがうことができました。
ステーキで胃袋も満たされ、心も体も大満足!
室田さん、ありがとうございました!

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