自分で決める練習「KO旅」
毎日の時間割は、読み、書き、計算などの基礎学力を育てる勉強と、独自の内容を組み合わせて構成しています。ここではユニークな授業の一つである「KO旅」をご紹介します。
「KO旅(こたび)」は、片道1時間くらいのところへ出かける小さな旅です。まず子どもたち自身でどこへ行きたいかを決めるところから始めます。行き先が決まれば、何時の電車に乗るか、なにをするのか、お昼はどうするのかなどをすべて話し合って決めます。
この授業での子どもたちの様子には、本当に驚かされます。それまで行きたい理由を10秒しか話せなかった子が、iPadで作った資料をみんなの前でプレゼンできるようになったり、時刻表が好きな子が積極的に段取りを進めたり、自分の思い通りにならないと癇癪を起こしていた子が、自分の希望が通らなくても涙を飲んで調整する様子を目の当たりにしたり。
「やりたい!」という気持ちが、子どもたちをどんどん変えていきます。
自分の人生のハンドルを自分で握る
"サイボウズの楽校"を作る時に、私たちが持っていた疑問は、「学校に行くことや勉強することは、がまんしなくてはいけないことなのだろうか?」ということでした。本来知らないことを知ることは、楽しい行為であるはずです。
私たちは従来の学校を否定しているわけではありません。しかしこれまでの仕組みでは、子どもたちが主体性を持ちにくい状況が生まれているのも事実です。彼ら彼女らが自信を持ち、やりたい気持ちを発揮し、自分の中にあるものを表現できるように活動をしています。「自分の人生のハンドルを握っている感覚」を持ってくれたらいいですね。
コミュニケーションを円滑にするkintone
私たちの楽校では、スクールと保護者、子どもたちとのコミュニケーションにkintoneを使っています。毎日授業での様子を共有したり、日々の連絡事項をアップしたり。子ども自身が自分の目標を書き込んだりもしています。直感的に使えるため、情報を集約・共有するのに優れています。
"サイボウズの楽校"は、いまのところ東京に一校しかありませんが、日本各地で子どもの自主性を育むフリースクールの取り組みが増えています。多くのフリースクールが子どもの周りのコミュニケーションを円滑にできるよう、この楽校での使用シーンをモデルとして広めていきたいと考えています。
子どもたちにとって、人との関わりや運動量の確保など、外に居場所があることはとても大切です。私たちの取り組みが、子どもたちが安心して外に学びに出る一助になるよう、活動を続けていきます。