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不登校・行き渋りの子どもがいる親1,000名へのアンケート調査結果

不登校の子どもがいる親には 「家庭や子どもとのコミュニケーション」の支援が必要。最も頼りたい人は「配偶者(パートナー)」

不登校・行き渋りの子どもがいる親1,000名へのアンケート調査

サイボウズ ソーシャルデザインラボは、さまざまな価値観を持つ人々が安心して暮らせる社会を目指し、サイボウズ流のチームワークに基づいた社会実験(育苗実験)を行っています。今回は、不登校・行き渋りの子どもがいる親1,000人を対象にアンケート調査を行いました。


[調査概要]

  • 調査目的:不登校の実態を把握すると同時に、保護者に求められる支援やフリースクール等の第3の居場所の検討傾向を探る。
  • 調査対象:過去または現在、不登校や行き渋りのある小中学生の保護者男女 計1,000人
    【内訳】男性:494人 / 女性:506人
    *割付条件:子どもの属性において男女別、小学生・中学生別で割付
  • 調査期間:2024年11月15日(金)~2024年11月20日(水)
  • 調査方法:パネルを活用したインターネット調査

フリースクール「サイボウズの楽校」の運営等、子どもたちの支援を実施しているサイボウズ ソーシャルデザインラボでは、増え続ける不登校児童・生徒について保護者がどのような課題を抱えており、どのような支援を求めているのかを調査しました。
文部科学省の最新の調査によると不登校の状態にある小中学生は昨年度34万6482人。11年連続で増加しており、この数字は前の年度と比べて4万7000人余り、率にして約15%増えています。
いまや学校と家庭だけにとどまらない不登校問題に対し、企業、自治体、教育機関、そして社会全体が取り組むことができる支援の糸口を探りました。

《 調査結果のサマリ 》 

  1. 親への支援で最も求められるのは「家庭や子どもとのコミュニケーション」。
    子どもが不登校になった理由を明言せず、親が把握できない傾向が背景にある。また、この中には配偶者(パートナー)とのコミュニケーションも含まれる。
  2. 全く学校に登校していない子どもは18.5%。子どもの新たな居場所は「検討したことがない」が最多の40.6%。検討している中では「フリースクール」が一番多く、「学びの多様化学校」は3.6%にとどまった。
  3. 新たな居場所に通ったことで子どもの不登校・行き渋りの傾向が「改善された」「改善傾向にある」と答えた人は68.5%に上った。一方で「悪化傾向にある」「悪化した」と答えた人は3.8%にとどまった。
  4. 新しい居場所の選択で特に重視することは、「子どもが行きたがるか」。
  5. フリースクールの選択基準では「先生とスタッフの質」が最重視されている。価格や場所よりも、教育者への信頼、子どものサポート体制が重要視される。

1.親への支援で最も求められるのは「家庭や子どもとのコミュニケーション」
子どもが不登校になった理由を明言せず、親が把握できない傾向が背景にある
この中には配偶者(パートナー)とのコミュニケーションも含まれる

不登校の子どもを抱える親に対し、どんな支援を希望しているかを尋ねた結果、最多の39.4%が「家庭や子どもとのコミュニケーション」を挙げました【図表1】。

図表1.png

親子間コミュニケーションの難しさの背景には、子どもが不登校になった理由を明言せず、親が把握できない事情が背景にあることが自由回答からわかりました。

「子供が不登校になる原因がよくわからなかった」
「とにかく子どもが部屋にこもりがちになり本音を話してくれないこと。話がすすまない。」
「下手なことは言えないため、腫物扱いのようになってしまったこと」

不登校や行き渋りという事実に向き合うにも塞ぎ込みがちになっている子どもの心情に配慮し対話に悩む様子や、理由がわからないため、親が次のアクションを起こしにくい様子がうかがえます。

また、家庭とのコミュニケーションの中には、配偶者(パートナー)との意思疎通も含まれます。不登校や行き渋り傾向の子どもがいる親として最も頼りたい人を聞いたところ、半数以上が「配偶者(パートナー)」を挙げました【図表2】。

図表2.png

自由回答には以下のような声がありました。

「配偶者と意見があわず、こどもに関する対応を一人でしなければならず、仕事の調整が大変だった」
「特に、配偶者の理解が得られず、何かあるたびに私の行動に問題ありと指摘してきた事」
「妻にまかせっきりであった」
「情報をどこから得たら良いのか、最初のとっかかりに苦労しました。夫婦でパソコンで検索して探しました。」

一番身近な相談相手の配偶者(パートナー)との関係を振り返るコメントが見られました。夫婦間に温度差があったり、負担がどちらかに偏ったりすることが少なくないようです。また、相手に頼りたい気持ちもあるため、このような状況への適切な支援が必要となりそうです。

2.全く学校に登校していない子どもは18.5%
子どもの新たな居場所は「検討したことがない」が最多の40.6%
検討している中では「フリースクール」が一番多く
「学びの多様化学校」は3.6%にとどまった

子どもについて最も不登校や行き渋りの傾向の強かった時期の学校への登校状況を聞きました【図表3】。

図表3.png

「全く学校に登校していない」は18.5%と2割弱にとどまりました。最も多いのは「登校にムラがある(頻度は決まってない)」で41.2%でした。

次に、「不登校・行き渋りの子どもに対し通っている学校以外の新たな居場所を検討したことがあるか」を聞きました【図表4】。

図表4.png

最も多かったのは「検討していない」で40.6%でした。
検討したことがある中では、「フリースクール」が最多の20.7%。次いで、「習い事」「教育支援センター」といった結果となりました。
近く全国的な設置数増加が見込まれる「学びの多様化学校」は3.6%にとどまり、まだ新たな学び場の候補としては挙げられにくい状態であることがうかがえます。

一方、実際に通っている居場所について尋ねると以下のような回答が届きました【図表5】。

図表5.png

「新たな居場所には通っていない」が最多の29.0%。次いで「習い事」が21.0%、「教育支援センター」が14.5%、「塾」が13.8%。検討したことがある中でトップだった「フリースクール」は13.6%にとどまりました。

3.新たな居場所に通ったことで子どもの不登校・行き渋りの傾向が
「改善された」「改善傾向にある」と答えた人は68.5%に上った
一方で「悪化傾向にある」「悪化した」と答えた人は3.8%にとどまった

図表6.png

学校以外で現在通っている新たな居場所へ通った結果、子どもの不登校・行き渋りの傾向に変化があったか尋ねたところ「改善された」「改善傾向にある」と答えた人は68.5%に上りました。一方「悪化傾向にある」「悪化した」と答えた人は3.8%にとどまりました【図表6】。
新たな学び場に出会う、または習い事や塾などを継続することで、子どもの行動面・心情面に前向きな変化があらわれると感じる親が多いことがわかりました。

4.新しい居場所の選択で特に重視することは「子どもが行きたがるか」

新しい居場所の選択ポイントとして特に重視することは「子どもが行きたがるか」が最多の41.1%となりました。次に「場所(通いやすさ)」が29.8%、「子どものサポート体制」が24.9%でした【図表7】。

図表7.png

ちなみに登校・行き渋り時の原因や理由について尋ねたところ、「学校が楽しくない」が39.0%、「友達関係」35.6%、「先生との関係」が21.1%でした【図表8】。
これらの回答から、親は子どもの意思を尊重し、子ども自身がすすんで通える環境であるかを重視したい傾向が強いことがわかります。

図表8.png

5.フリースクールの選択基準では「先生とスタッフの質」が最重視されている
価格や場所よりも、教育者への信頼、子どものサポート体制が重要視される

図表9.png

フリースクールの選択で重視するものを尋ねたところ、「先生・スタッフの質」が最多の41.5%。次いで新しい居場所の検討時と同じく「子どもが行きたがるか」が39.1%「子どものサポート体制」が37.2%でした【図表9】。
価格面やアクセス等が取り上げられがちなフリースクールですが、実際に検討する際には最重要ポイントとなるケースは多くなさそうです。

不登校・行き渋り傾向の子どもへの支援で重視することでは以下のような結果となりました【図表10】。

図表10.png

「人間関係構築(対人コミュニケーション)」が46.8%、「学習支援」が36.0%、「特性に応じた支援」が33.5%でした。学習面での支援はもちろんのこと、子どもの心理的な面でのサポートを求める声が多くなりました。

■まとめ

サイボウズ ソーシャルデザインラボは、フリースクール「サイボウズの楽校」を運営し、不登校の子どもたちとその家庭を支援しています。不登校が社会問題として注目される中、私たちはこの課題に関する調査を行い、いくつかの重要な課題を見つけました。

一つ目は、不登校の問題は子どもに目が向けられがちですが、実際には親への支援が非常に重要だということです。
不登校の子どもがいる親の多くは、体系的な支援がない中、仕事を調整しながら相談できる場所を探し、学校の先生や支援施設から情報を集めなければならない状況に置かれています。また、子どもの不登校の原因を探りながらのメンタルケアや、配偶者(パートナー)とのコミュニケーションを模索する必要もあり、親自身も精神的な苦しみや多大なストレスを抱えています。
このような現状を理解し、親への適切な支援を提供することが不可欠です。

二つ目は、新たな居場所として「フリースクール」や「学びの多様化学校」が現在急速に増設されていますが、数を増やすだけでは十分ではないということです。
特に、子どもへ希望する支援では、対人コミュニケーションや個性に合わせた対応が求められています。そのため、親・子ども・先生・学校が適切にコミュニケーションを図れる環境を整えることが重要です。私たちは、従来のコミュニケーション方法を見直しながら、子どもたちに最適な支援を提供する必要があります。

ソーシャルデザインラボは今後も不登校に関する調査を続け、子どもたちとその家族に寄り添いながら、支援の形や情報を発信していきます。

■サイボウズの楽校について

サイボウズの楽校は、チームワークを大切にし、「仲間と一緒にしあわせに生きる力」を育むフリースクール(オルタナティブスクール)です。東京・吉祥寺で、小学2年生〜6年生を対象に授業を行っています。学習指導要領を元に作成したカリキュラムとサイボウズの楽校独自の内容を組み合わせ、子どもたちの個性に合わせた学びを実践しています。
サイボウズのクラウドサービスkintone(キントーン)を活用し、保護者や子どもとスタッフが密にコミュニケーションをとれる環境づくりにも取り組んでいます。詳細や体験の希望は以下のサイトをご覧ください。

サイボウズの楽校サイト

そでらぼサイトのサイボウズの楽校ページでは、以下のような投票を実施中です!ぜひご参加ください。


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■内容についてのお問い合わせ先

サイボウズ株式会社 ソーシャルデザインラボ:なかむら、作内、山本

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※引用について:
本調査の結果を引用いただく際には、出所の明示をお願いいたします。
例)サイボウズ ソーシャルデザインラボ「不登校に関する調査」


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