ワークスタイル25
「未来のチーム」の作り方
イベントレポート:前編

【前編】自主的に動くチームを作るには?サイボウズ式編集長が語る未来のチームの作り方

指示待ちではなく、自分で動けるようになってほしい。チームのメンバーから報・連・相してもらえないのをどうにかしたい。そんなお悩みはありませんか?

好きな場所からのリモート勤務や、複業採用、週3日勤務など、それぞれが自分の選んだ働き方で働く、「サイボウズ式編集部」は、サイボウズ株式会社のオウンドメディアとして、会社や組織のあり方、多様な働き方や生き方について日々発信し、「成果を出すチーム」として活躍しています。

そんなサイボウズ式の編集長である藤村能光の著書『未来のチームの作り方』が6月に発売され、サイボウズ式内で「はじめに」が全文公開中です。

多様な働き方の個人が、どうやってチームとしてまとまっているのか?それをまとめるリーダーはどう管理しているのか?
8月23日(金)に開かれたイベント「自主的に動くチームを作るには?サイボウズ式に学ぶ、キントーンを活用したチームビルディング術」で語られた、未来のチームの作り方をご紹介します。

サイボウズ式は「新しい価値観を生み出すチームのメディア」

山田:今回は、藤村の書いた『未来のチームの作り方』という本とのコラボレーションでイベントを開催させていただいております。

こちらの本は6月に発売していて、新R25に掲載いただいたり、朝渋さんなどでイベントをやらせていただいています。

こちらが「サイボウズ式」という弊社のオウンドメディアです。

新しい価値観を生み出すチームのメディア」として、組織のことだけでなく、社会の関心事などを絡めながら様々なテーマを伝えるメディアになっております。

その中でも、今年一番のヒットが「「誰のせいにもしない」文化が、組織の多様化と問題解決を進めていく──熊谷晋一郎×青野慶久」の記事ですね。

こちらは「責任」のあり方について、「無責化」という考え方を交えながら、熊谷晋一郎先生という方と青野が議論をする内容になっているのですが、こちらは本当に多くの方に読んでいただけました。

会社で揃っている方が珍しい。多様な働き方を実践する「サイボウズ式編集部」のメンバーたち

正社員が7名、インターンのアルバイトの大学生が3名、合計10名のチームになります。

特徴的なのが、複業としてサイボウズで週に2回新潟からリモートワークで出社しているメンバーがいたり、ふたつの部署を兼務している人がいたり、あとは最近まで週5出社だったのを週3に変更したりといった、そんなメンバーがいることです。

要するに、同じ場所で、同じ時間に、みんなが顔を合わせて働く…ではないバラバラなメンバー構成になっているのが特徴です。

山田:すごいですよね、サイボウズ式のメンバーって。あまり社内にいるイメージがないです。

藤村:ほんと?

山田:オンラインでは見るんですけど、本当にいるんだ!って感じですね。

藤村:会社でそろっている方がレアみたいな、確かにそんな感じかもしれないですね。

一匹狼を「フォア・ザ・チーム」へと変えてくれた部長の一言

山田:私はサイボウズ式に関わっていないので、どう運営しているのかがよくわからないところがあるんです。

会社に来ている人もいれば、自宅で働いている人もいたり、勤務時間が短い人だっているだろうし。それでいて、サイボウズ式では広く読まれる記事を作って成果を出しているので、きっと編集長である藤村さんの統率力がすごいんだろうなと思っているんです。

“マーチングバンド”みたいなイメージで、羊のメンバーが藤村さんに着いて来てるのかなという印象です。

山田:やっぱり藤村さんの天性の才能がそうさせるんでしょうか?

藤村:いやいやいや、なにを仰いますやら。むしろ、もともとは一匹狼タイプだったんです。仕事も一人でやっちゃいがち、チームメンバーのことも頼れない、そんな人だったんですよ、僕。

山田:いやぁ、信じられないです……。

藤村:チームワークを大切にする会社にいながら、最初はチームプレーが苦手で、自分の仕事をやる、自分のアウトプットや成果を出す、そんなことばかり考えていたんです。

それからサイボウズ式の編集長になって、チームを見ていく立場になってからも、なかなか「フォア・ザ・チーム」の精神で仕事ができなかったんですよね。

藤村:実は、大槻部長から「藤村さんは、個人としては成果を出せているけど、それをチームのみんなで出せるようにしてみないか? チームで成果を出すところに視点をあげられない?」というフィードバックをもらったことがあるんです。

これが僕の中ではすごく印象に残っていて。それからは一匹狼ではなくチームプレイというかチームに還元することを考えるようになっていったので、すごく感謝しています。

マネジメントの仕方を間違え苦しんだ過去

藤村:2015年にサイボウズ式の編集長になりチームを率いる立場になったわけですが、仕事を「自分でやるもの」と「チームのみんなでやるも」のに分けたときに、このバランスをうまくとるのが難しいなと感じました。

たとえば、自分でどんどん仕事を進めてしまってチームのみんなを置いてけぼりにすることがよくあったんですよ。これ、今回のテーマである「自主的に動くチーム」とは正反対ですよね。

何か仕事を頼むにしても「自分だったらこうするのに」とか、「こういうふうにしたらいいよ」と自分の理想をみんなに押し付けちゃっていたんですよね。みんなの仕事の理想は違うところにあるにもかかわらず……。

なおかつ、あるあるだと思うのですが、リーターやマネージャーといったいわゆる権限のある人が、その情報を自分の中で留めてしまって共有しないということをやっていました。

メンバーは、情報が共有されないため、リーダーやマネージャーの指示を仰がなければ仕事ができなくなってしまう。

山田:なるほど。

藤村:僕自身、本当は管理するとか、されるのが嫌なんです。にもかかわらず、この当時やっていたことは「マイクロマネジメント」と呼ばれるもので、みんなの仕事を逐一確認して聞いて回るような状態でした。

マイクロマネジメントは、事業やチームのフェーズによって機能する時もあれば、しない時もあります。たとえば、チームを立ち上げて、まだ各自が自分のやるべきことすらあまりわかっていないような状態の時にはとても有効なんです。

ただ、僕は2015年にサイボウズ式が4年目くらいのときに編集長になったんですが、チーム、メディアの形はすでにしっかりあって、それを伸ばしていくタイミングでした。

そんな時にマイクロマネジメントをしてしまうと、どうしてもメンバーの仕事の尊厳を奪ってしまいがちなんですよね。なので、相対的にチームのメンバーの雰囲気が悪くなってしまって。ああ、つまらないことやっていたなって……なんか今、悲しくなってきちゃいました(笑)

山田:辛いですね……。

藤村:この時に、今のままだとチームとして絶対にいい仕事ができないなと考え、そこからですね。自主的に動くチームづくり、僕がいなくても、リーダーがいなくても動くチームになるにはどうすればいいのかというテーマと向き合ってきました。

チームで成果をあげるために必要な3つのポイント

藤村:そんな中で気づいたことが3点あります。一匹狼だった自分が、チームのみんなのために、チームで成果を出すために必要な点です。

藤村:まずは、何でも「自分でやる」という発想をやめて、「チームのみんなで成果を出す」。このように視点を変えることですね。

そして2点目、リーダーやマネージャーが持っている暗黙知、特定の人しか持っていないような情報をなるべくチームのみんなに共有して、チームの形式知にするということですね。ここにITとかオンラインコミュニケーションツールが寄与してくると思っています。

3点目は、マイクロマネジメントをやめてITツールに任せられるところは任せよう、ということ。人間同士、細かく確認し合うというのはお互いに辛いものなんですよ。でもこれ、よく考えればITのツールに任せることもできます。もっとツールを活用していこうというお話ですね。

これら3点が重要だと考えています。

過去はこうでした。

藤村:リーダーが一番下になって、みんなを支える。みんなが主役です。僕のノウハウを個人一人ひとりに教えるのではなく、チームに教える。

自分が持っているノウハウで、何か口頭やオフラインで伝えたい場合があっても、必ずキントーンというツールを使ってどんどん一ヶ所に貯めていき、それをみんなが見られる状態にすると。

このスライドの矢印のように、一方向ではなく、リーダー、メンバー、ITツールの3方向ですね。このサイクルがどんどん回るようにするのが、一匹狼からチームリーダーに変わるために重要な点だと考えています。

山田:藤村さんはそうやって変わっていったんですね。でもリーダーが変わるだけで、チームって変われますかね?

藤村:では、今度はリーダーだけでなく、チームが自主的に動くようになるためのプロセスを、3ステップに分けてご説明したいと思います。

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