調査

DX人材不足の解決策として、7割の企業が「ITスキルを持つ障がい者」の採用を検討。「施設外就労」は6割以上が注目も、普及には法定雇用率の壁

IT人材不足と障がい者雇用に関するアンケート調査

サイボウズ株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:青野慶久、以下サイボウズ)の「ソーシャルデザインラボ」は、さまざまな価値観を持つ人々が安心して暮らせる社会を目指し、サイボウズ流のチームワークに基づいた社会実験(育苗実験)を行っています。

今回は、2026年7月から障害者雇用促進法の見直しで障がい者雇用率が2.7%に引き上がることに伴い、企業の人事・採用担当者1,000名を対象に、「IT人材不足と障がい者雇用に関する意識調査」を実施しました。

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[調査概要]

調査目的:企業における障がい者雇用と障がい者就労施設への発注の実態・意向を把握し、IT人材不足の解消につながる可能性と課題を明らかにする

調査対象:企業人事担当者1,000名(IT系・非IT系/従業員300名以上・300名未満)
かつ障がい者雇用または障がい者就労施設への発注に関与・意向のある企業
※従業員数40名未満の企業は対象外
【内訳】IT・情報通信業 481人/非IT・情報通信業 519人
【割付条件】業種(IT・情報通信業/非IT・情報通信業)と企業規模(従業員300名以上/40名以上300名未満)の2軸で割り付け、合計1,000サンプルを回収

調査期間:2025年11月18日(火)~2025年11月26日(水)

調査方法:オンライン調査


現在の企業経営においては、事業成長のための「DX推進」と、組織の持続可能性を高める多様な人材の活躍「DEI推進」が重要なテーマです。
私たちは、このDX人材の確保(DX推進)と、多様な人材の活躍(DEI推進)という2つの課題を同時に解決する鍵として、「ITスキルを持つ障がい者の雇用」に大きな可能性があると考えています。

そこで本調査では、今年7月から施行される法定雇用率の引き上げも踏まえ、IT分野における障がい者雇用の企業の意識と実態、そして「施設外就労」活用の課題を明らかにしました。

「ITスキルを持つ障がい者」の採用に前向きな回答は7割。

企業のIT・デジタル人材の不足感は74.0%にのぼり、別の質問では採用の難易度も76.3%が「難しい」と感じています。

この深刻な人材不足に対し、「一定のITスキルを持つ障がいのある方の採用」を検討する可能性を尋ねたところ、「検討したい」(26.7%)、「どちらかといえば検討したい」(44.7%)を合わせて71.4%が前向きな意向を示しました。

また、障がいのみに限らず、ITスキルを持った「働きづらさを抱える人」への採用に対しても前向きな回答が64.5%でした。

※障がい、病気、引きこもり、フリーター、ニート、LGBTなど、さまざまな理由で働きづらさを感じている人が、日本には現在約1,200万人いると言われています。

これは、障がい者の採用、および障がい者に限らない多様な人材の確保が、企業の成長戦略に貢献する「人材確保策」として認識され始めていることを示唆しています。
日本財団 WORK! DIVERSITYプロジェクトより

「施設外就労」へのニーズと、普及を阻む「法定雇用率の壁」

障がいのある方が自社オフィス等で働く「施設外就労」について、62.1%が前向きな印象を持っており、直接雇用以外の柔軟な連携形態への関心の高さがうかがえます。

※「施設外就労」とは、障がいのある方が通所している福祉施設に所属しつつ、一般企業の職場に出向いて実際に働く仕組みです。

しかし、この高いニーズの前に立ちはだかるのが制度の壁です。現在、施設外就労は原則として法定雇用率の算定対象にはなりません。

もしこれが算定対象となった場合、「検討したい」(18.3%)、「どちらかといえば検討したい」(42.0%)を合わせて60.3%が受け入れに前向きな姿勢を示しました。

また、ITスキルを持つ障がい者が「施設外就労」を経て直接雇用に至るキャリアパスについて、約6割の企業が「魅力的な仕組み」だと回答しました。

業務委託も新たな選択肢に。制度後押しへの期待も

障がいのある方が所属する就労継続支援事業所等へIT業務を委託することにも、約9割の企業が関心を示しました。

制度的な後押しがあれば、こうした新たな形での人材活用が大きく広がる可能性が示唆されました。

導入を阻むもう一つの壁は「実務上の不安」

想定される課題として、「業務指示の方法などコミュニケーションの課題」(54.6%)が最も多く、次いで「職場環境の整備」(44.3%)、「業務の切り出し・マッチング」(40.5%)が続きました。

企業の意欲は高い一方で、具体的な業務設計や現場での運用ノウハウ不足が導入のハードルとなっている実態が浮き彫りになりました。

まとめ

これまでの障がい者雇用は法定雇用率の達成が主目的で、業務は定型作業に偏りがちでした。しかし今回、7割超の企業が「ITスキルを持つ障がい者」の採用に前向きなことが判明しました。これは、障がい者を単なる「支援の対象」ではなく、IT人材不足を解決する「戦力」と捉え始めている大きな潮流の変化を示しています。

この変化を後押ししているのが、DXの進展とIT活用の変化です。専門家でなくとも扱えるkintoneのようなノーコード・ローコードのITツールが普及したことで、求められる能力が大きく変わりました。プログラミングスキルから、ツールを使いこなし課題を解決する論理的思考力へとシフトし、それが企業のDX推進力として評価されるようになりつつあります。障がいを持つ方がITスキルを身につけることは、高付加価値業務に就き、賃金格差の是正にも繋がる可能性があります。

また、施設外就労や業務委託といった柔軟な働き方への高い関心は、企業と障害のある方との関係性が、従来の「雇用主と被雇用者」という枠組みを超え、「価値を共に創り出す共創パートナー」へと進化していく可能性を示しています。

本調査結果は、障がい者雇用が、これまでの「法定雇用率遵守」という守りのステージから、企業の成長に貢献する「戦略的人材活用」という攻めのステージへと移行する転換点にもあると考えます。

サイボウズ ソーシャルデザインラボは、「ITの力は、働きづらさを可能性に変える」と考え、障がいや働きづらさを抱える方々がITスキルを習得する機会を提供しています。
→ 育苗実験「就労困難者支援チーム」
今回の調査結果をもとに、私たちは、企業が「仕事を与える」だけでなく、当事者や支援機関と「共に価値を創る協働モデル」を根付かせるため、調査と実践の両面から活動を続けてまいります。

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■引用について:

本調査の結果を引用いただく際には、出所の明示をお願いいたします。
例)サイボウズ ソーシャルデザインラボ 「IT人材不足と障がい者雇用に関するアンケート調査」

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