調査

そでらぼが「被災者台帳」の構築と活用を提案。災害関連死ゼロへ、kintoneで実現する医療・福祉とのデータ連携

kintoneで実現する医療・福祉とのデータ連携

サイボウズのソーシャルデザインラボ(そでらぼ)は、防災DX/kintone活用によって「災害関連死ゼロ」を目指す政策提案ページを公開しました。大規模災害の発生直後から生活再建まで、被災者情報を一元管理し、医療・福祉を含む関係者間で必要な情報を安全に連携するための提案をまとめています。平時の備えから住民参加で運用でき、有事に「誰一人取り残さない」支援を実現する仕組みを、自治体が現場で導入できる形で提示します。

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背景

大規模災害の発生直後、被災者情報は錯綜し、多くの自治体で集約と共有が課題となります。避難所では紙名簿による運営も多く、誰がどこにいて、どのような支援が必要かをリアルタイムで把握することが困難です。

この「情報の断絶」は支援の遅れやミスマッチを招き、「災害関連死」の一因となっています。さらに、自宅や車で避難する「在宅避難者」の存在が、情報把握を一層複雑にし、支援から取り残されるリスクを高めています。

そでらぼでは、災害時の迅速な支援に向けて「避難者登録フォーム」のユーザビリティテストを実施しました。70代以上を対象にスマートフォン入力を検証した結果、全員が送信を完了し、98%が10分以内に登録を終了。回数を重ねるほど操作がスムーズになる傾向も見られ、平時の入力体験が有事の備えとなる可能性が示されました。

国もデジタル技術を活用した防災・減災を推進しており、内閣府ガイドラインでは避難者情報の迅速な把握と共有の重要性が示されています。加えて福祉分野では、法改正によりDWATの支援対象が在宅避難者等にも拡大され、自治体には平時から要支援者情報をデータで管理し、有事に外部支援組織とも連携できる体制整備が求められています。

提案の概要

1.高齢者も活用できる「住民参加型デジタル避難所」の開設

  • 避難所の受付に並ぶことなく、QRコードを読み込むだけで避難者情報を登録
  • 持病や特別な配慮が必要な場合にも対応し、生活状況を考慮した上でより適切な支援を受けやすく
  • デジタル化による多言語入力や翻訳機能の活用で、外国人住民も簡単に情報登録可

スマホとQRコードで避難者情報を登録できる「デジタル避難者名簿」をkintoneで構築し、受付の混雑と職員負担を軽減します。70歳以上を対象にした検証では、多くの方が短時間で入力を完了し、高齢者でも直感的に操作できる可能性が確認されています。
在宅避難、車中泊、二次避難なども含め、被災者の所在と支援ニーズを一元管理し、支援の取りこぼしを防ぎます。平時の防災訓練で入力を体験する運用を推奨し、有事の初動をスムーズにします。

2.組織の壁を越えるデータ連携による、誰一人取り残されない支援

  • 細かい説明をしなくても、専門の支援チーム(DWAT)が訪問し、必要なサポートを判断
  • 罹災証明の申請から給付金、公営住宅の案内まで、生活再建のための行政サービスがスムーズ
  • 必要な情報が関係者に安全に連携されることで、孤立することなく必要な支援を受けられる

災害時要支援者を組織横断で支えるため、平時から要支援者情報をデータで整備し、有事に迅速共有できる「データ連携基盤」をkintoneで構築します。庁内の部署間に加え、外部支援組織との連携も見据えた体制づくりを進めます。
発災後は「罹災証明」等の情報を個人情報に配慮してDWATと共有し、必要な支援が集中するエリアを把握して訪問につなげます。静岡県牧之原市や東京都八丈町の事例でも、有効性が示されています。

3.災害ケースマネジメントを実現する「被災者台帳システム」の構築

  • 誰もが迷わない明確な手順で、発災直後からスムーズに支援が開始される
  • 医療・介護情報が安全に連携され、説明不要で最適な健康管理・サポートを受けられる
  • 申請のたらい回しがなく、生活再建の最後まで一貫したサポートが可能となる

内閣府の手引きを踏まえ、発災直後から生活再建までの支援情報を一元管理する「被災者台帳システム」をkintoneで整備します。関係者間で情報共有の意義や個人情報の取扱いについて共通理解できる状態をつくります。
「被災者台帳アプリ」と「相談記録アプリ」を中核に、罹災証明や住宅、支援金、減免・貸付等の状況と、保健師・福祉職の相談対応履歴を整理します。避難者名簿等と紐づけて要配慮情報を可視化し、同意に基づき外部支援団体とも安全に連携して、退所後も切れ目なく支えます。

今後の展望

そでらぼでは、今回の提案を自治体でいつでも活用できるよう、以下の各種kintoneアプリパックの提供を予定しています。

  • 避難者名簿アプリ
  • DWAT用訓練アプリ
  • 被災者台帳&相談記録アプリ

なお、DWAT用訓練アプリは、実証の場としてすでに静岡県牧之原市や、東京都八丈町の災害現場で活用されています。今後もそでらぼは、自治体・地域社会と連携し、すべての被災者が孤立せず生活再建に踏み込める環境づくりに貢献していきます。

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