
プロフィール
佐藤 鉄平
開発本部長
2007年新卒入社。Garoon、kintoneの開発チームのエンジニアを経て、2016年7月開発本部長に就任。開発組織と製品開発のマネジメントを担う。社外では@teppeisとしてJavaScriptを中心にOSSや執筆など活動
サイボウズは「チームワークあふれる社会」の実現に向けて、グループウェアのサイボウズ OfficeやGaroon、業務アプリ作成プラットフォームのkintoneなどの製品を開発してきました。どの製品も順調に成長し、国内では幅広く利用される製品として実績を重ねてきた今、次のステップとして製品開発がどうなっていくのか、何が求められるのか。開発本部長の佐藤鉄平に聞きました。
主役は製品ではなく、製品が提供するユーザー価値
サイボウズの開発本部では「製品が提供するユーザー価値を最大化することでチームワークあふれる社会を実現する」というPurposeを掲げています。製品とそのユーザー価値を通してサイボウズの理念である「チームワークあふれる社会を創る」に貢献するのが私たちの存在意義です。
製品開発は、実装してリリースしたら終わりではありません。実際に製品がユーザーにどう使われるのか、価値を感じてもらえるのか、リリースされたあとの方がむしろ大切なはずです。だから製品が主役ではなく、製品によって提供するユーザー価値を大きくしていくことが活動の目的なのだということを改めて掲げることにしました。
「ユーザー価値を最大化する」と言うのはシンプルですが、実は奥が深い。なぜなら、それは製品によって、チームによって変わってくるからです。だからユーザー価値=これ、という答えをトップダウンで決めてKPIに落とし込むようなことはしていません。この製品のユーザー価値は何だろう、このチームの価値はなんだろう、とそれぞれが考え続けることが大事だと考えています。
ユーザー価値を考える視点は、人々がどんな課題や悩みを抱えているか、そしてその課題をどうしたら解決できるのかということです。チームによって顧客や提供価値は異なりますが、すべてのメンバーがアウトプットだけでなくアウトカムを意識して活動していってほしいと考えています。
- アウトカム:アウトプットによってもたらされる成果のこと

世界トップのエンジニアと当たり前に戦う環境
サイボウズ製品は、国内で幅広く使われている製品として実績を積み重ねてきました。学生時代の友人からも「うちの会社もサイボウズ使ってるよ」という声をたくさん聞きますし、自社イベントのCybozu DaysやSNS上の反応を見ても、自分たちが作った製品を通して日本中の企業や自治体の情報共有や生産性向上に貢献していることを実感します。
これからのチャレンジは、日本だけでなく世界中で「普通にサイボウズ製品が使われている」状態を作り、チームワークあふれる社会を世界に広げていくこと。今はkintoneを主軸に、北米、中国、東南アジアなどの地域でユーザーを広げる活動をしています。
グローバルで見ると、kintoneの競合と言われるサービスには、MicrosoftやGoogleなどの巨大企業から尖ったスタートアップまでひしめきあっていて、TechCrunchのようなメディアを連日賑わせています。そういう世界に、サイボウズはまさにチャレンジャーとして挑戦しています。
このチャレンジのためには、エンジニアとして高いスキル・技術力を持って深くユーザー価値を探求し素早く提供する、その活動の一つひとつの水準を世界レベルに上げていく必要があります。また海外のメンバーとコミュニケーションを取ったり、現地ユーザーをリサーチする機会も増えています。そういう世界トップのエンジニアと当たり前に戦う経験を楽しみながら挑んでいきたいです。

自立と柔軟性を両立したチームワーク
これまでお話ししたような不確実性の高いチャレンジを成功させるためには、理想に共感したそれぞれのメンバーが自ら考え、自主的に行動できる組織風土が肝になると考えています。
だから、開発本部ではやりたいことは自分で手を挙げて進めることを基本にした制度を設計しています。たとえばチーム間の異動や体験入部も希望を軸に気軽にできる環境ですし、スキルアップに必要な書籍購入、研修や海外カンファレンスへの参加、他拠点へ出張してのチーム合宿など、チームで必要と判断したものはマネージャーの承認を得る必要はありません。資格取得や英語学習の費用補助が制度としてあるものはもちろん、大学院の学費補助など相談があればなるべく実現できるようにしています。これは現場のメンバーの方が必要なものをよく知っているので、誰か別の人に許可を得る必要はないという考えからです。
そんなに自由で大丈夫?と聞かれますが、一部の人の懸念を気にして全体ルールを設計してしまうと、大多数のモチベーションを阻害するルールになりかねない。個々の意思決定はオープンに共有することで問題があっても素早くフィードバックができるようにしつつ、希少な「やりたい気持ち」を削がないことを大事にしています。
もうひとつ開発組織として大切だと感じるのは、専門性を高めると同時に、他の領域にも関心を持つことです。専門知識を持った人が集まれば良いチームができるかというと、そうではありません。専門領域の間にどうしても隙間ができてしまい、そこに落ちたボールを誰も拾わない、あるいは逆にみんなで拾ってうまくいかないことが出てきます。
現在、多くの製品開発チームは、様々な職能が入り混じるクロスファンクショナルなチームになっています。共通のチーム目標を達成するために、他のメンバーの専門領域に興味を持ちながら、自分の専門性や強みをどう活かせるのか?それを考えながら行動し続けることが、優れた成果につながる良いチームワークなのではないでしょうか。
また、サイボウズには特定の技術ドメインに特化した様々なエキスパートチームや、専門分野を持つ研究者が集まったサイボウズ・ラボもあります。そういった専門家と製品チームが協力しながら日々の開発を行なっています。
自立して考え、専門性を磨きながら幅広い領域に興味を持って柔軟に活動できる、そんなメンバーにぜひジョインしてほしいですね。一緒にユーザー価値を探求することで、チームワークあふれる社会を創りましょう。
