人を知る

チームに貢献したいと願うすべての人が使いやすい製品をつくる

杉崎を正面から撮影した様子

デザインテクノロジスト

杉崎 信清

(2020年 新卒入社)

愛知県出身。視覚障害、全盲。筑波技術大学保健科学部情報システム学科を卒業。2020年にサイボウズに新卒入社し、アクセシビリティチームに配属。誰もが使えるグループウェアを目指して、プロダクト横断でアクセシビリティを向上する活動を行っている。

2022年1月に公開

実際に話して分かった、アクセシビリティへの真剣さ

サイボウズに入社した理由を教えてください

サイボウズを知ったきっかけは、大学の教授からの紹介です。アクセシビリティにとても力を入れている企業だと聞いて面談を設定してもらいました。

担当の方と話してみると、CSRや福祉の側面でアクセシビリティを捉えるのではなく、「チームワークあふれる社会を創る」という理想を達成するために必要なミッションと位置づけているのが伝わってきました。企業理念と紐づけてアクセシビリティに取り組む動機づけがされていることが、すばらしいなと感じたポイントです。

あと、製品が社内外から愛されているところも、エンジニアとしては魅力的でした。作ったカスタマイズとか情報をシェアしあうコミュニティ活動や、製品へのフィードバックも盛んで、関われたら楽しいだろうなと思いました。

アクセシビリティには、学生時代から取り組まれていたんですか?

そうです。プログラミングは高校生から始めたんですけど、自分でWebサイトやWebアプリを作るうちに「Webサイトはちょっとしたテクニックで使いやすくなるんだ」と気付いて、アクセシビリティに興味を持つようになりました。

自分は全盲なので、普段の経験から使いやすいサイトを作るスキルの重要さは感じていましたし、実際に改善していくのも面白かったです。できれば仕事もアクセシビリティに関われるものがいいなと、ずっと考えていました。

開発席に座りコーディングをする杉崎と、杉崎の左側に立ち画面を見ている同僚が談笑している様子

当事者の視点で製品を改善できる魅力

杉崎さんが所属するアクセシビリティチームについて教えてください

アクセシビリティチームのミッションは、「すべての人がチームにアクセスできる」です。働き方の多様化でさまざまな事情を抱えている人、障害者や高齢者。すべての人の「チームに参加したい・貢献したい」という願いを尊重するため、アクセシビリティの活動を行っています。チームの主な業務は、社内啓発と社外発信、研究開発の3つです。

社内啓発はアクセシビリティを社内の人たちに知ってもらうための活動で、勉強会やワークショップを開催しています。社外発信は、サイボウズのアクセシビリティの認知拡大活動で、イベントへの登壇やユーザーヒアリングを行っています。

研究開発では、サイボウズ製品をより多くの人にとって使いやすくするための改善を行っています。アクセシビリティチームは各製品の開発チームと連携して、プログラマーとして開発に関わることもあるし、エンジニアやデザイナーにアクセシビリティの観点でアドバイスする立場として参加することもあります。

サイボウズでアクセシビリティ向上を担うからこそ感じられるやりがいはありますか?

グループウェアはその性質上、チームで活動するための必須条件になるツールです。ツールを使えるかどうかによって、チームとつながる可能性が断たれてしまう人もいます。そして、そのチームにアクセスできないかもしれない人たちの中には、サイボウズというチームで働く自分も含まれるんです。

アクセシビリティを向上できたら、昨日よりもっとたくさんの人が、諦めないでチームに参加できるようになります。当事者である自分の視点を製品に反映することで、他の当事者の可能性を広げられるのが、サイボウズという企業でアクセシビリティに携わる一番の魅力です。

サイボウズ製品のアクセシビリティはまだまだ不十分で、お客様から問い合わせが来ることもあるのですが、フィードバックが来ることがとてもうれしいです。今の仕事は関わるすべてが自分ごとでもあり、他人ごとでもある。自分のためと誰かのためがリンクしているので、一つひとつ良くしていくこと自体にやりがいを感じます。

パソコンのキーボードと、点字読み上げ用のキーボードを利用している手元の様子

正直に伝えることが、チームと製品の改善にも繋がる

チームで働くにあたって、入社当時はどんな気持ちでしたか?

入社当時は、目が見えない状態で働くことにめちゃくちゃ不安がありました。周りとの速度差をどうやって埋めようかな、とか。できないことや難しいことを正直に言える空気なのかも心配でした。

でも働き始めてみると、周りの人たちは自分の話を熱心に聞いて、どうしたらいいか一緒に考えてくれました。もちろん、作業をスムーズにするための工夫は欠かしませんが、仕事をするうえで難しいことは遠慮なく言うようにしています。

正直に伝えることの重要性については、製品の改善でも同じことが言えそうですね

そうですね。やっぱり、想像しても分からないことってあると思うんですよ。だから、自分に無い視点を取り入れるためにはフィードバックに耳を傾けないといけないし、フィードバックする側も、自分の視点を伝えていかなければいけないと思います。

製品開発チームではアクセシビリティに関するやりとりを積み重ねた結果、エンジニアやデザイナーの間で「こっちの方がアクセシブルだよね」という会話が生まれたり、「ここについてどう思いますか?」と質問を貰ったりすることが増えています。みんなの意識が高まっているのを感じられて、私も嬉しいです。

こうして障害者や高齢者、さまざまな状況で働く人たちの視点を取り入れられたら、製品はより柔軟で使いやすいものになっていくはずです。

コーディングをする杉崎を正面から見た様子

目標はアクセシビリティチームがいらない会社になること

これからの目標や、挑戦したいことを教えてください

これは長く先を見据えての目標ですが、アクセシビリティリーダーを育成していって、アクセシビリティチームは消滅したいと思っています。

アクセシビリティチームの役割はアクセシビリティを先導することなので、各チームにアクセシビリティに詳しい人がいる状態を作れば、私たちの存在は不要になりますよね。これからのことを考えると、アクセシビリティチームだけでサイボウズのアクセシビリティを向上していくのには限界があります。できる人をどんどん増やしていって、最後は無くなってしまいたいです。

杉崎を正面から撮影した様子

私のオフタイム

お酒をゆっくり飲みながら、鳥とじゃれるのが趣味です。手乗りの文鳥と暮らしていて、好きなだけもふったり、ご機嫌斜めで起こられたりしています。生活の中心に常に文鳥がいます。

梅の花が咲いている枝の上にサクラ文鳥が載っているアイコン画像

杉崎さんとやりとりが多いチーム

サイボウズ Officeチーム

サイボウズ Officeはポカリチームでアクセシビリティを向上する開発を行い、毎回リリースしています。

「開発・運用」について知る

kintoneチーム

kintoneはポカリチームが直接実装するのではなく、開発チームのエンジニアにたくさんフィードバックしたり、朝会(プランニング)に参加したり、密にコミュニケーションを取りながらアクセシビリティの向上を進めています。リニューアルプロジェクトが絶賛稼働中です。

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  • インタビュー内容は取材時点のものです。ご了承ください。

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