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理想と戦略
- 「世界で一番使われるグループウェアメーカー」を目指す
- 効率重視から潜在層へのアプローチへシフトしていく
- グローバル展開を強化し、日本のノウハウを海外市場に活かす
技術面の挑戦
- 開発ではレガシー刷新を完了し、AI活用や新しい開発プロセスへの移行を加速していく
- AIを「プロダクト」と「開発プロセス」に組み込み、データ基盤・認証・販売管理など周辺技術も総力戦で整備していく
- 社内ではAIネイティブな開発文化が進化中
組織課題と対応
- 社員数1,400人超で大企業化の壁に直面。部署間の距離や制度設計を見直し、競争力を維持する仕組みづくりを推進している
グローバル展開
- アメリカ・中国・東南アジア・オーストラリアで事業展開
- 現地パートナーや多国籍社員による営業、多言語対応強化
- 日本で培ったノウハウが海外市場でも通用することを確認
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テーマ1:サイボウズが目指す理想
折笠
サイボウズが目指す理想について教えてください。お二人の言葉でぜひお聞きしたいです。
栗山
「チームワークあふれる社会を」という理念を掲げていますが、具体的には 世界で一番使われるグループウェアメーカーになることを目指しています。日本だけでなく世界中で使われる状態を作りたい。
弊社の社長、青野が言っていましたが、例えばブラジルやアルゼンチンで、空港のベンチで隣のおじさんのスマホを見たら kintone が使われていた、そんな瞬間を見られたら、もうやめてもいいくらい(笑)。
社長は本気で「世界一」を目指していますが、僕はまず世界で存在が確認できるレベルまでいけたら満足できそうです。
そして、五つの理想への共感のお話がありましたが、やり方にこだわるのがサイボウズの特徴。単純に M&A して営業にインセンティブを付けて売るそういうやり方ではなく、理想の状態をやり方にこだわって達成する。それが理想です。
佐藤
プロダクトの観点では、サイボウズのプロダクトを使った会社が「チームワークあふれる状態になる」こと。そのような状態がワクワクに感じると思っている。
例えば kintone は“現場主体で業務を改善する”ことを支援するプラットフォーム。
導入した組織で、チームのみんなが“このチームをどうしていくか”“この業務をこうしていこう”を自律的にやっていくそんなチームワークのイメージや世界を作りたい。
自分たちの組織もそうありたいと思っています。
今日も製品戦略の話をメンバーに振ったら、“そんなに鉄平さんに決めないでほしい。もっと抽象度の高い戦略に留めて、その下は自分たちで考える。もっといい方法を見つけるから”と言われた。確かになと思って調整しました。
自分たちでどんどんいいものを作って、社会に貢献する。 そんな取り組みを広げたいです。
テーマ2:サイボウズの課題とこれからの挑戦
効率から挑戦へ、潜在層攻略に向けたマインド転換
折笠
サイボウズの「課題」と「これからの挑戦」について、具体的に教えてください。
栗山
具体的にはいろいろあるんですが、分かりやすい例で言うと、kintoneの今のキャッチコピーは「やりたかったことを簡単に早く」という言葉を使っています。kintoneは、業務改善したい人にとって、簡単に早く実現できるツールなんです。でも、やりたいことが明確になっている人って、世の中にどれだけいるんだろう?と考えると、実は結構限られていて、アーリーなステージの人が中心なんですよね。
現在はその層がそろそろ終わってきたんです。kintoneもだいぶ広まって、今は4万社くらい超えてきました。なので、キャッチコピー自体も変えないといけないかなと思っています。「やりたかったことを簡単に早く」というステージは一旦終わって、今後は「課題に気づかせる」ことに踏み込まないといけないと思っています。
栗山
でも、その層が終わってくると、今度は「業務改善するとこんな良いことがある」と気づいてもらう必要がある。いわゆる潜在層へのアプローチですね。この潜在層向けの活動は、今までの効率重視のプロモーションや営業活動とは違って、結構非効率なんです。だから、効率的な活動から、失敗するかもしれないチャレンジな活動へ発想転換しないといけない。 ここが一番分かりやすい課題です。あと99個くらい課題はありますが(笑)、一番分かりやすいのはこの部分ですね。
武内
発想やマインド面の転換が必要ということですね。
栗山
そうです。
効率的にやることと、まだ見ぬ市場にチャレンジすることでは、マインドだけでなく、具体的な技術やスキルも違います。
これからは、そういった部分もやっていかないといけないと思っています。
レガシー刷新からAI時代へ、開発の次なる挑戦
折笠
ありがとうございます。やりたいことがある人への効率重視から、潜在層へのアプローチという新しい課題に挑戦していくということですね。では佐藤鉄平さんにもお答えいただきたいと考えております。
佐藤
そうですね。今まで開発や技術系の話だと、レガシー技術をどう刷新するかが大きな課題でした。
ここ数年はそこに大きな投資をして取り組んできたんですが、今年くらいでようやくめどが立ってきました。
今は、レガシー刷新が終わりつつあり、これからは新しいことにどんどんチャレンジして、それをスピーディーに回して成功させていくことに開発全体のウェイトが移ってきています。最近はその変化が大きいですね。
佐藤
一番トレンドになっているのはやっぱりAIです。AIをプロダクトにどう取り込むか、そして開発プロセス自体にAIをどう組み込んで効果的にするか、この二つの取り組みを一生懸命やっています。 ただ、AIをプロダクトに組み込むこと自体、世の中でまだベストプラクティスが確立されていないので、どの会社も試行錯誤している状態です。自分たちも同じで、使いながら「こういう使い方だとバリューが出るよね」と発見したり、AI自体の研究開発も進めています。
武内
その中でAI活用の難しさや課題はどんなところがあるのですか?
佐藤
AIだけやっても足りなくて、AIに入れるデータの基盤や検索基盤がすごく大事です。今までの全文検索だけでは足りないので、ベクトル検索やグラフデータベースなど、いろんな技術が必要になっています。 さらに、認証基盤や販売管理システムも今まで通りでは難しいので、そこも拡充していかないといけません。AIのプロンプトだけでなく、周辺の技術や仕組みも総力戦で取り組んでいる感じです。
栗山
クラウドサービスは設計から完成までに大規模なものだと2〜3年かかります。kintoneは2011年発売なので、アーキテクチャが徐々に古くなるのは避けられない。ただ、既に多くのお客様が利用している状態で大規模刷新をやるのは、実際にはとても難しい。業界でも古い設計のまま終わっていくサービスの方が多いのが実情です。
その中で、ここ数年は刷新にかなりの工数をかけていて、正直営業側からは「新機能が出ない」と不満も出る。でも、なんとか耐えて工夫し続けた結果、最近になって刷新が一通り終わりつつあり、新機能が一気に出始める状況になりました。やっぱりそれくらい刷新は重かったんですよね。
佐藤
そうですね。インフラ側やフロントエンド側もいろんなレイヤーで長年、cybozu.comのクラウドサービスできてから10年前のアーキテクチャーをそのまま使い続けると大変なので刷新には何年もかかって、新しい機能がなかなか出せず、でも、ようやく刷新が終わりつつあり、次のステップに進める状況です。
佐藤
あともう一つお話ししてもいいですか?
社内でもAI活用が盛り上がっていて、それこそ新卒の2-3年目の若手エンジニアはAIネイティブになりつつあります。コード生成もまずAIでやってみて、そこから手を加えるという流れが普通になってきました。半分以上のコードをAIが生成しているチームもあります。こうした新しい開発プロセスややり方が世界中で注目されていて、サイボウズでも一生懸命開発組織でチャレンジしています。
規模拡大がもたらす組織の課題
栗山
もう一個、すごくわかりやすい課題があります。
今、社員数は約1,400人。企業が1,000人を超えると、大企業化に伴う問題が出てきます。
部署間の壁や、ベンチャー時代とは違う課題ですね。
正直、私たちはそうならないと思っていました。
経営陣同士もよく話していたし、青野さんの掲げる理想に共感するメンバーで経営していたので「私たちは大丈夫」と思っていたんですが、やっぱり起こるんです。
世の中の企業が経験してきたことを、私たちだけが避けることはできないんだなと痛感しています。今まさにその問題に直面していて、本部の分け方や役員の管轄範囲など、一度整理しないと、このままでは課題を解消できないまま進んでしまうと感じています。
武内
そうですよね。組織的な問題も増えてきますし、大企業の人事制度や組織設計って、合理的にできているなと思う場面が増えました。
栗山
昔は「そんな面倒なことやるの?」と思っていたことも、規模的に必要なかっただけで、今は「だからこういう制度になっていたんだ」と納得することが多いです。
ただ、そのまま適用すると競争力を失ってしまうので、ただの一企業にならないように、理解しながらどうクリアしていくかが重要です。
現場同士が遠くなると、お互い何をしているか分からない状態も出てきてしまっているので、この辺りをどう挑戦して乗り越えるか、試行錯誤しているところです。
テーマ3:グローバル展開
武内
ちょっと時間ですが、Q&Aでいくつかグローバル展開に関する質問をいただいています。 せっかく栗山さんもいらっしゃるので、先ほど海外で見つかるような話もありましたが、グローバルに向けての課題や挑戦についてぜひお伺いしたいです。
栗山
まず、日本のソフトウェア企業で海外で成功した例は歴史上少ない状態です。世界はアメリカ発のソフトが席巻している中で、私たちはそこに挑戦しています。
現在、アメリカ、中国、東南アジア、オーストラリアの3拠点(APAC含む)で事業を展開しています。ヨーロッパ以外ですね。
アメリカは本場ですが、そこでも月に二桁の販売ができていますし、アジアでも同様です。
最近、ロサンゼルスで現地のお客様に訪問した際に「これは金脈かもしれない」と思いました。
製造業のお客様だったのですが、課題やニーズが日本と全く同じだったんです。
アメリカは先端的なイメージがありますが、人件費が非常に高いため、中堅・中小企業に営業が提案することはあまりなく、「自分でやってくれ」という文化があります。
そのためのツールは充実していますが、実際に提案してみると「こんな提案初めてだ」と非常に喜ばれました。
在庫管理の簡単な提案だけでも大きな反応がありました。
栗山
導入者数を伸ばすだけなら、利益を度外視して丁寧に提案するやり方でかなりいけると思います。 もちろん、その後利益を出すための仕組みは別途考える必要がありますが、ある程度の数まではこの方法で拡大できると感じています。 東南アジアや中国でも同じで、課題やITリテラシーは日本と大きく変わりません。 日本で培ったノウハウがそのまま通用することが分かってきたので、あとは「どうやって現地市場に認知させるか」が最大のポイントです。 ここをクリアできれば、もっと売れると確信しています。
佐藤
プロダクト側も国際化対応を進めています。 販売管理や海外対応の仕組みを強化し、言語もどんどん追加しています。 最近は「タイ語追加してほしい」「マレー語対応してほしい」といった要望にも、すぐ「OK」と言える状態になりました。 これは、過去に国際化基盤を整備していたからです。以前は一言語追加するだけで大変でしたが、今は仕組みを変えたことでスムーズに対応できます。 今後も必要な言語をどんどん追加できますので、栗山さんが市場を広げてくれれば、プロダクト側はしっかりサポートします。
武内
事業もプロダクトも、グローバル展開に向けて非常に楽しみですね。 そこに一緒に挑戦してくださる方は、ぜひ興味を持っていただけたら嬉しいです。
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